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〔映画〕岸壁の母

1976年 東宝映画 1h23(10月25日高槻松竹で見る)
監督:大森健次郎 原作:端野いせ 
出演:中村玉緒 江藤潤 林寛子 二葉百合子

 この映画が作られたのは、当時二葉百合子の歌が大ヒットしたためだ。そのころ、「母」と聞くと反射的に「母は来ました~」と歌い出す、男の子がいたのを思い出す。この歌は、ある世代のある人々には冗談の種でしかなかったのだ。
 
 あまり期待せず見たのが良かったのか、いい映画だった。

これは端野いせさんの原作 「未帰還兵の母」(1974年 新人物往来社) に基づいている。

 母1人子1人で育て上げた息子への、深い愛着があの姿になったのである。
家族制度に刃むかって幼な子と共に家を出た若い日の彼女は、老いてから、子を奪った国家(を代弁する厚生省)に怒りの矛先を向ける。

 丁寧に作ってあって、時代考証がしっかりしている。ここでこんなセリフはとか、この時代にこんなものはとかいう、神経に引っかかる所が殆んど無い。

 監督の経歴をしらべて見て、納得が行った。
黒澤明の助監督として「天国と地獄」「どですかでん」「赤ひげ」を、
監督になってからは「二十歳の原点」!を撮っている。

 それにしても浪曲は、若い者たちはバカにしがちだが、日本人の中にふかく根付いている感覚を表現している、すご~いモノだと思い知った。
コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (フリージア)
2006-10-26 12:04:07
チョット年下の私も、歌をワンフレーズ知っているだけです。 映画の紹介を読んで、なんだか興味がわいてきました。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2006-10-26 13:33:43
フリージアさん、そういって頂けると、ブロガーとしてうれしい限りです。お宅のブログこそ、文章の面白さ、選択の妙に、常々感心して拝見しております。広く皆さんに知って戴きたいのですが・・・・とても慎重でURLを出されないのですね。そういうご方針なのでしょうか?
 
 
 
真実 (Bianca)
2006-10-26 19:29:33
この話には後日談があります。

実は、息子は、赤紙で引っ張られたのではなく、進んで満州に渡り、軍隊には志願したのだとか、戦後は中国で家庭を持ったとか・・・

一筋に息子を求める母親と、その強力な磁力から離れて行きたい息子と。悲劇は、国の強い権力からだけでなく、母親の権力?からも生じていたのでした。そして今も・・・・・

 
 
 
Unknown (kazuko_kawamoto)
2006-10-26 20:02:33
終戦後の岸壁の母。当時のおかあさんたち思い出します。わが息子の帰りを待ちつづけて、歌った親の心今にも耳に残ります。
 
 
 
Unknown (Bianca)
2006-10-26 21:42:50
戦後すぐの「岸壁の母」は、菊池章子が歌っていたようですね。あのころのど自慢の一番人気は「異国の丘」。出る人出る人「異国の丘」と言っていました。ほかに「泣くな小鳩よ」を、幼い子が何も分らず歌っていました。
 
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