goo

〔本〕女子大生・曲愛玲

 著者 瀬戸内晴美 初出 1955年
 発行所 新潮社 2001年
「瀬戸内寂聴全集・第1巻」所収
 (図書館より借入)  

 先日の毎日新聞で、瀬戸内寂聴さんの文章を読んだ。
そこに彼女の最初の作品の名が書いてあったので、すぐ図書館に予約する。
現在、尼僧として、人生を語り、尊敬を集めている彼女だけに、作家としての出発点に興味がわいた。

 端的にいえば戦前の北京における女性同性愛が題材だ。
日本人女教師とその相手の中国人の女学生。彼女の妖艶で人を惑わす
ことは、谷崎潤一郎の「卍」の光子を彷彿とさせる。

たまたま、以前、その教師の回想録を読んでいた。

田村総(たむらふさ)著「いきいき老青春」学習研究社1990年刊

同じ事柄でも、作文技術のあるなしではこうも違うかと思った。
晴美さんの文章からは、愛玲の服の藍色の香りさえ感じられる。
だが、一面、必要以上に官能的に思われるし、
総さんの方は対照的に中性的でサバサバし過ぎの感じだ。

ヘルマン・ヘッセは「デミアン」の中で「予言者になる準備として、大酒飲みや放蕩者の生活は非常に役に立つ」と言う意味のことを言っていた。晴美→寂聴さんの人生を見ると納得がいく。

だが、すべての放蕩者、必ずしも予言者になれず、なのでそのへんは間違えないようにしたい。
 

「ひとりでも生きられる」 9-6-23
「孤高の人」 11-2-8
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 〔映画〕信子 〔映画〕岸壁の母 »
 
コメント
 
 
 
寂聴信者の方々に (Bianca)
2006-10-26 21:33:06
この文を書いたところ、何故か、ここではなく、よそについたコメントの中に気になるものがあった。寂聴さんを師と仰ぐ人からのもの。

 寂聴さんは、今、どういう立場におられるか知らないが、聖人のごとく奉られるのを望んではおられないと、確信する。

そうでなければ、自薦全集にこの作品をのせたり、新聞でわざわざこの作品に触れたりはしないはずだから。宗教は、人間には煩悩があることを無視したりはしない。

本であれ、人であれ、絶対化して崇拝するところに勘違いが生じる。もっと楽に行きましょうよ。ねっ?
 
 
 
観音様が下さった? (Bianca)
2006-10-28 10:06:07
 きのうの夕刊で文化勲章の受章者の中に寂聴さんの名があり、この小説の名も紹介されていた。われながらタイムリーなUPだと思ったが・・

 新聞社では前もって知っていて、あの寂聴さんのエッセイを出したのだろ。わたしが慧眼を自慢する事ではない。

 しかし、これが寂聴さんの文学者としての側面がもっと多くの人に理解されるいい機会になればいいと、受章をうれしく思う。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。