映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【映画】チェンジリング



チェンジリング(取替え子)といえばアイルランドの妖精物語に出て来て子供のとき、面白く読んだ覚えがあるが、1928年、アメリカ、ロスアンジェルス(LA)で起きた実話である。行方不明になった9歳の息子が、数ヵ月後にイリノイの警察に発見され帰ってくるが、別人だった。母親は当然ながら「これは私の息子ではない」と言い張って、体面を気にした警察に精神病院に放り込まれる。当時のLA警察は腐敗しきっていたようである。そこに一人の牧師が立ち上がり、母親の味方をする。外国映画には勇敢で実践的な宗教者がよく登場する。「波止場」「無防備都市」「さよなら子供たち」「マチュカ、僕らの革命」など米、伊、仏、チリの聖職者たちは忘れられない。
私が一番面白かったのは、前半の母親の必死さが警察の必死の糊塗をあぶりだすところ。後半で偽の子がしゃあしゃあと自白して警察のせいにするところであった。よく「女子供」というが、がんじがらめの巨大組織に向こう見ずに立ち向かうのはこういう「わきまえの無い」「ヒステリックな」女や子供なのであろうかと思った。また、宗教が世俗の権力から独立した時の強さを目の当たりにした。
イーストウッドは1930年生まれの78歳だが、いつもながらエネルギッシュな創作活動には感心するばかり。尤も、彼の持前のいかにも不安をそそるような色調は好きになれない。また、後半、怖いシーンが不必要に多いと思う。(精神病院の電気ショック、子供の殺害シーン、絞首刑のシーン)マルコヴィッチの牧師は好感が持てたが、ジョリーの母親はこれも不必要に美しい。この位にしないと観客は満足しないのかも知れないが、私にはちょっと強過ぎる。69点。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 【映画】ル・... | 「百合子、ダ... » |
コメント(10/1 コメント投稿終了予定) |
コメントはありません。 |
![]() |
コメントを投稿する |