144; 『怖い絵 3』 中野京子 著 朝日出版社 2009年 (写真 16枚)
中野 京子 (著)
ドイツ文学者、西洋文化史家。 北海道生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。オペラ、美術などについて多くのエッセイを執筆し、『怖い絵』で注目され。新聞や雑誌に連載を持つほか、テレビの美術番組にも出演する。早大講師。
オペラでたのしむ名作文学 さ・え・ら書房 1996.12 /「おとなのための「オペラ」入門」講談社+α文庫
映画の中のオペラ 未來社 1997.12
かくも罪深きオペラ スキャンダラスな名作たち 洋泉社 1999.12
紙幣は語る 洋泉社新書y 2001.9
情熱の女流「昆虫画家」メーリアン波乱万丈の生涯 講談社 2002.1
恋に死す 清流出版 2003.12 「歴史が語る恋の嵐」角川文庫
恋するヒロイン オペラにみる愛のかたち ショパン 2004.1
メンデルスゾーンとアンデルセン さ・え・ら書房 2006.4
怖い絵 朝日出版社 2007.7
怖い絵 2 朝日出版社 2008.4
危険な世界史 角川書店 2008.7
ハプスブルク家12の物語 名画で読み解く 光文社新書 2008.8
怖い絵 3 朝日出版社 2009.6
恐怖と愛の映画102 2009.7 文春文庫
ブルボン王朝12の物語 名画で読み解く 光文社新書 2010.5
「怖い絵」で人間を読む 日本放送出版協会 (生活人新書) 2010.8
残酷な王と悲しみの王妃 集英社 2010.10
朝日出版社
2007年
246ページ
1890円
★★★★★
作品1 ボッティチェリ『ヴィーナスの誕生』
作品2 レーピン『皇女ソフィア』
作品3 伝レーニ『ベアトリーチェ・チェンチ』
作品4 ヨルダーンス『豆の王様』
ヨルダーンス『王は飲む』 印象深い作品であったが、本書には残念なことに白黒で載せられていた。
作品5 ルーベンス『メドゥーサの首』
作品6 シーレ『死と乙女』
作品7 伝ブリューゲル『イカロスの墜落』
作品8 ベラスケス『フェリペ・プロスペロ王子』
作品9 ミケランジェロ『聖家族』
上:ラファエロ『カニジャーニの聖家族』
下:フィレンティーノ『歳暮の結婚』
作品10 ドラクロワ『怒れるメディア』
作品11 ゴヤ『マドリッド、一八〇八年五月三日』
作品12 レッドグレイヴ『かわいそうな先生』
作品13 レオナルド・ダ・ヴィンチ『聖アンナと聖母子』
作品14 フーケ『ムーランの聖母子』
作品15 ベックリン『ケンタウロスの闘い』
作品16 ホガース『ジン横丁』
ホガース『ビール街』
一対 ( を思わせる三つの◯看板に注目)
作品17 ゲインズバラ『アンドリューズ夫妻』
作品18 アミゴーニ『ファリネッリと友人たち』
作品19 アンソール『仮面にかこまれた自画像』
作品20 フュースリ『夢魔』
あとがき
参考文献
中野京子先生の『怖い絵 3』を読了。
これで怖い絵シリーズ全三冊を読んだことになる。
今回も、こんな見方があったのだと各作品に感心し続ける。
レッドグレイヴ『かわいそうな先生』やゲインズバラ『アンドリューズ夫妻』など、今までならさほど興味が無かった絵だが、本書を読んで背景の深さに驚く。
ベラスケス『フェリペ・プロスペロ王子』などはハプスブルグ展でも記されていたことと一部重複するが、当時の子ども服までの説明は無かったと記憶している。
今はわが子も成人したとはいえ、子を持つ親として、こんなに恐ろしいことは無い。
ミケランジェロ『聖家族』を読んで、お気の毒とは思いながらも、ブラックユーモア的内容にほくそ笑む部分あり。
ある意味、『仮名手本忠臣蔵六段目』の切腹に観客の目が向き、名は加えられたが参加できない本当の悲劇がぼやけた感と相通じる部分がある。
本書各作品についての説明は、ここでは省きたい。
肖像画に注目し始めたのは遅ればせながらパプスブルグ展を二度観てからのこと。
会場の説明を丹念に読み、大きな肖像がに取り囲まれ、中央でぽわわぁあんと見とれていたわたし。
あれ以来肖像画も面白いものなんだと知った。
絵はモチーフや構図や色彩やタッチや他色々なことでも楽しめる。
しかし本書を読むと、予備知識は必要だと痛感した。
中野京子先生は本書で次のように締めくくられている。
絵はーーーもちろんどんな芸術でも同じですがーー歴史と無関係ではありえません。その時代特有の常識や嗜好のもと、地域ごとの文化の影響を色濃く受け、注文主の思惑や画家の力量に従って生まれています。 251(あとがき)
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