映画『自殺サークル』 2002年 監督:園子温 脚本:園子温 石橋凌 永瀬正敏 嘉門洋子 他
映画『自殺サークル』を見る。
先日見た『紀子の食卓』は、映画『自殺サークル』のもう一つの話であったらしい。
冒頭のさとう珠緒と宝生舞あたりで、恐怖映画化と感じ、肩をすごめ、断念しようかと思ったぐらいに怖かった(笑)
ところがその部分を過ぎると、恐怖映画ではなくなり、園子温氏本欄の持つ興味深さと真の人間の怖さを引き出した内容になってくる。
本来の怖い作品となれば、こっちのものだ。見続けてよかったと、胸をなでおろす・
映画の題名は『自殺サークル』なのに、いかにせん、話の流れでは何度も会話として【自殺クラブ】と出てくる。
更には、ほぼ一色に近いくらいに【自殺クラブ】と発せられる。
これはどういった意図があるのか、おそらく園子温氏はそこに二面性を持たせての意図的な詞選びだとは思うが、私にはわからなかった。
園子温氏がこの映画で言以来事は分かった。
それは刑事の口にピストルを入れて自害する前の、電話でのやたら咳払いした男の子の会話で見概ねわかる。
また、舞台上でのコウモリと子供たちの問答でもわかる。
この問答は大人、或いはおとなになりゆく人間への裁判にとさえも感じられる。
あるいはうがった言い方をすれば、魔女狩り。
地下アイドルたちの意味は大きい。
はじめは、現在禁止されている電波の中に洗脳される信号を送っているのかと考えたが、そんな単純な話ではなかった。
前後するが、
「あなたは奥さんと関われていますか。」
「ああ(肯定)」
「あなたは子供さんと関われていますか。」
「ああ(肯定)」
「あなたはあなた自身と関われていますか。」
「ムムム、、、、、」
「あなたはあなた自身と関われているのですか。」(青字、要約)
園子温氏が言いたいことは分かるような気がする。
しかし、私は園子温氏の意見には反対である。
意見が異なることを認めたうえで、私は園子温氏の作品群が好きである。
人はそれぞれの考え方があることを理解し、此処で私が園子温氏の意見にそぐわない意見を持っていようとも、ご理解いただきたい。
なぜならそれこそ
【私は私自身と関わるを持っているのだから】
子どもが大人にメタモルフォーゼを遂げる段階の途中で、やたら咳ばらいをしていた子供やその仲間たちのような心理状態になるがある場合もあることは、科学的に証明されている。
なので、この映画はそれをうまく引き出し練り上げられたのであろうと感じた。
ところで、以前『紀子の食卓』でも書いたが、園子温氏は安部公房先生がかなるお好みであることをこの映画『自殺サークル』でも感じた。
コウモリがとらえられ、ボウリング場に連れゆかれ、そのあと 他の部屋に連れ込まれる。
ボウリング場と他の部屋では、人や犬などが白い光を通す根の袋に入れられる。
白い布の袋は大きめで、逆光を当て、中の人は手を伸ばしたり救いを求めるのだが、その光に映し出された人の動きを安部公房先生はすでにその戯曲を書き、演劇を作り出している。
園子温氏は今回の劇場でもコウモリと子供たちの問答でも戯曲的であるが、逆行に光を当てた手法は安部公房先生の演劇『イメージの展覧会』で使われた技法ん青である。
私は園子温氏の安部公房好きに、親しみを感じた。
わたくしの拙い見方では、間違っているかもしれませんが、お許しください。
今回も見たという簡単な記録のみにて失礼いたします。
最後に
この映画を教えて下さいました御方に心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
自殺サークル
2002年
99分
監督
園子温
脚本
園子温
主題歌/挿入歌
出演者
石橋凌
永瀬正敏
さとう珠緒
宝生舞
佐藤二郎
ROLLY
嘉門洋子 他
ROLLYが出てくる「ようこそプレジャールームへ!」のところの歌とか、あのシーンって物語上必要あったのかなと感じつつも、あの変な歌が耳にこびりついていたり(笑)
最初の女子高生100人集団飛び込みが圧巻なのに対して、何か終わり方がイマイチすっきりしないなあというのが自分の感想です。
ホラーで観て良かったなあと思ったのが、『予言』という漫画のつのだじろう原作『恐怖新聞』がモチーフになっているんですが、三上博史、酒井法子が出演していて、この映画が良かったと感じました。
>この映画、何とも言えない不思議な映らた画だなあと思いながら、何度か見ているんです... への返信
なんだか、不思議な映画ですね。
子どもたちと大人の関連性も分かりにくいし。
若い子たちが自殺する進路状態は、ぼぁぁんと感じ取れるのですが、、、
子どもとの問答によって、大人が追いつめられる気持ちは理解できないんです。
私って、きっと、ノー天気なんでしょうか?と思います。
岩上さまにはいつもお優しくしていただき、感謝しております。
ありがとうございます。
お料理、ほんとに、ホントに、
本当に、おいしそうですね!
最高っす
>この映画、何とも言えない不思議な映らた画だなあと思いながら、何度か見ているんです... への返信
つのだじろう原作『恐怖新聞』がモチーフで、三上博史、酒井法子が御出演ってすごいじゃないですか!
教えていただき、ありがとうございます
見知らぬ黄色い犬が僕らの仲を裂いていつも笑う
Because dead
Because dead
Because dead it's a shine all night long
ブレッソンの映画に出てくるジャンヌのように美しく死にたい
レッスン1でシェービングクリーム塗りたくって
笑いながら心削ぎ落とす
Because dead
Because dead
Because dead it's a shine all night long
涙の乾いた頬の後濡らす 春雨のぬめりよ
何にも知らない5歳の坊やが切り刻まれて死んでゆく
Because dead
Because dead
Because dead it's a shine all night long
Because dead
Because dead
Because dead it's a shine all night long
>空は何度も青く 人はなぜかいつも恋に落ちてゆく... への返信
死んだから、一晩中輝いている
↓
死んだから、一晩中輝いていられるんだ
歌の部分だけですが、VTR見てみました。
うーん
哲学してて、難しい(笑)
もう一度、映画を、預言と共に見てみます。
岩上さま
きっかけをくださいましてありがとうございます。
私の気づかない未知の世界、、
勉強になります。
ありがとうございます!
>空は何度も青く 人はなぜかいつも恋に落ちてゆく... への返信
『予言』を拝見させていただき、感謝しております。
話も役者も相当興味深く、面白く感じ、一気に見させていただきました。
評価を付けるのはおこがましいのですが自分の中では、4,7★/5 と非常に関心のある、面白い作品でした。
教えていただきましたことに、感謝しております。
いずれブログに見たというだけの簡単な記録はいつも通り核と思うのですが、あまりにも感動したので、とりあえずお礼までと思い、コメントをしています。
ありがとうございました!!
>『予言』... への返信
主人公三上博史が何度も繰り返される惨劇の中、自己犠牲を最後に選んで満足そうな表情をするじゃないですか
自分はあのシーンにこの映画のすべてが詰まっているなあと感じたんです
恐怖新聞も元々好きな漫画でしたので、俺も飽きる事なく最後まで観れた作品でしたね