歌舞伎
歌舞伎を見ていて、腰を抜かしてしまったことが何度かある。
腰が抜ける。
「デジタル大辞泉」によれば「腰が抜ける」は次のように載っている
1 腰の関節が外れたり、腰に力がなくなったりして立てなくなる。
2 驚きや恐怖で立っていられなくなる。「びっくりして―・けた」
わたくしの場合歌舞伎を見ていて、腰を抜かしてしまった場合には共通点がある。
今回はどういう場合にそれが起きたのか、思い返してみたい。
名舞台を築き挙げられている。
わたくしの感情移入が激しく、いつも以上に感動していること
会場が熱気に包まれていること。あるいは、舞台と観客が一体となっている場合。
片岡仁左衛門丈がなみなみならぬ感情移入されている場合
いつもかっこいいが、仁左衛門丈が驚くばかりにかっこいいい場合
仁左衛門丈(孝夫時代も含む)が主演であること
仁左衛門丈の『河内山』はこれまでにも名度か楽しんだことがある。
今年に入り私が観た日の『河内山』で、まさに私は腰を抜かしてしまった。
『河内山』の前!の芝居の黄色い空気(笑)が消えやらず、『河内山』が始まっても初めの数分は試行錯誤されていたように感じた。
しかし流石!の仁左衛門丈、以前にも増して細やかで丁寧なセリフと表情で、観客を虜にする。
そうなれば、仁左衛門!さんのお舞台
流れに流れ、一つ一つの表情を
ため、止め、かたちづくられ、デフォルメ…して
見せてくださるわ見せてくださるは…。
会場は熱気に包まれ、舞台全体を漠然と頭に入れつつ仁左衛門一点集中で凝視して芝居観劇にのめり込む。
こうなれば大向こうに関係なく、ちょうどの場面で自然に沸いた、声、声、声
会場のあちらこちらから
「きゃぁ~」
「ひゃぁ~」
といった感嘆が簡単に飛び交う。
それも、あの『河内山』でですよ。
数々の役者で演じられる『河内山』
幸四郎丈の『河内山』も味わいがあって良いです。
ですが、今回の仁左衛門丈の重厚で尚且つ並々ならぬ『河内山』のかっこよさを きらり!
「きゃぁ~」
「ひゃぁ~」
女心を捉えられるまでの表現をコマを追って表現された仁左衛門には脱帽いたしました。
私が観た日の新春歌舞伎『河内山』の仁左衛門丈は素晴らしかったと、今も余韻に浸っているのです。
この舞台もわたくしは一生思い出すことでしょう…。
『河内山』が終わり、席を立てず。
先ほど仁左衛門丈が立っておられた花道の名場面にまどろみ、気がつけば周りには夫以外は、誰一人としていらっしゃいませんでした(…って、のめり込みすぎやろ?)。
良いお舞台を見せていただきました。
これまでにも、そして今回も、立てないまで感動する経験を味あわせてくださいました。
仁左衛門さんのおかげです。
仁左衛門さん、ありがとうございました。
昨年暮に見た南座の顔見世の昼夜の記録もままならぬうちに、1月の『河内山』(松竹座)を記録してしまいました。
幸運でした。良いお舞台に当たりました。
あくまでも私が観た日の『河内山』の記録でございますので、たまたま違うご意見の方お許しください。