行きかふ年もまた旅人なり

日本の歴史や文学(主に近代)について、感想等を紹介しますが、毎日はできません。
ふぅ、徒然なるままに日暮したい・・・。

平成ウルトラシリーズ②

2008-10-28 23:02:56 | Weblog
 3000万年前の超古代人類を守った光の巨人が、平成シリーズの原点である。光とは、これまでのシリーズであったM78出身者たる異星人がもたらすものではなく、人間自身が成り得るもので、可能性であり、未来を創造し得るものである。
 ウルトラマンティガは1996年9月から翌97年8月まで全52話が放送された。「ティガ」とは、インドネシアで聖なる数字「3」を意味する。状況に応じて、身体能力のタイプを3つに変化する事ができる。青を基調にしたスピード重視の「スカイタイプ」、赤を基調としたパワー重視の「パワータイプ」、そして、青と赤が混じり、最もオーソドックスな「マルチタイプ」である。
 人間としてのウルトラマンが平成シリーズの大きな特徴である。東北地方で3体の光の巨人の石像が発見されたが、3000万年振りに蘇った怪獣に破壊され、残る1体に、超古代人の遺伝子を受け継いでいたマドカ・ダイゴが光となって、現代に蘇らせた。「怪獣はなぜ出現するのか」、「ウルトラマンとは、光とは、人間とは何なのか」、ウルトラマンが人間であるが故に苦悩する。人間は光と同時に闇をもたらす。人類に滅びの時が近付くと出現する花・ギジェラの花粉に包まれると、人々は「苦しんで生きるより、楽に死ぬほうが良い」と考えるようになり、超古代人は闇に包まれ、その文明は消滅した。本編でも終盤の第45話「永遠の命」に登場する。
 「ティガ」のテーマである「ウルトラマンとは、光とは、人間とは何か」は、怪獣を倒せば解決と言うわけでも、必ずしもウルトラマンが人類の守護神ではなく、容易に解決できる答えは無い。滅亡させないため、人類はまず希望を持たねばならない、が、それだけではどうにも・・・、この先が現実世界に提示された課題ではないのだろうか。

 かつて「ウルトラセブン」では、人類こそが地球の侵略者であり、先住民の地球人(ノンマルト)を海底に追いやったという件がある。「人間とは何か」という「ティガ」のテーマを考える時、また、後に続く「ウルトラマンガイア」でウルトラマンアグルが人類を地球から取り除くべき存在とした点を併せると、答えは出なくなるが、サルトルの「実存は本質に先立つ」という言葉を思うのは飛躍しすぎだろうか?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 闘将逝く | トップ | いろんな意味で、寒い »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事