春待。

我が家には、数日前からずいぶんと気の早いお客様がおいでである。
あれこれと家族一同、おもてなしに心を砕いているのだが、どうもお気に召さないらしい。


おりしも外は悪天候。
猛スピードで真横に雪片が吹き飛んでいく。
じっとみていると眩暈がしてくるので、レースのカーテンを一枚だけ閉める。
遮光カーテンまで閉めてしまうと、お客様まで閉め出してしまうからだ。


春と待ち合わせをなすっていらっさるのは、一頭の蝶である。
「頭」という助数詞は蝶にしてはごついと思うが。


形は紋白蝶なのだが、全体的にレモンイエローがかっているので、紋黄蝶との交雑種かもしれぬ。
せめてご用意した砂糖水でも、側に持ってきた花瓶の花の蜜でも、口にしてくれればいいのだが。





はらはらしながら蝶越しに見る雪景色の雛祭りである。