urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

Cocco 「音速パンチ」

2006年03月02日 | listening
日本に帰って来たら、Coccoが復活してた。

前から「音速パンチ」ってシングル切るのは知ってたけど。そのコミカルな語感からして、第二期CoccoはSINGERSONGERからの流れを引き継いだ音を鳴らすのだろうと漠然と考えていた。あれはあれで好きだけど。そんな風に考えながら聴いてみた。

復活してた。

ザックリしたギターのリフに不穏なメロディ、一転して高揚感のあるサビ。エロくて攻撃的な詞。「カウントダウン」を思い出した。彼女のメジャーでのキャリアの嚆矢。こういう曲がないと、彼女は始まらないのだと思う。
懐かしさと新鮮さ。矛盾した感情を伴って想起させる唄。そして③「流星群」、正直言って号泣した。

《愛してる?/わがままな歌だよ》

上野三樹がいいこと言ってる。その通り、自分の傷をさらけ出すような詞を裸足で唄うようなアーティストは何人かすぐ思い出せるけど、そのどれに対しても、(それなりに惹かれながら)僕が良いリスナーと成り得ていないのは、この曲でのCoccoのような、ただ一音で涙腺を決壊させるヴォーカリストとしての魔法を、彼女たちの誰もが持ち得ていないからだ。まずなにより歌い手として、彼女は傑出している。
時に強く、時に優しく、あるいはひたすらに美しい高音の響きで、彼女の声はこの曲の起伏ある美しいメロディを操っている。恥ずかしい比喩だけれど、それは情感に満ちた舞踏を連想させる躍動だ。

《たかが 愛の歌よ 響け/窓を 開けて 放て》

第一期の彼女の情念の唄と、SINGERSONGERで聴かせた軽やかな空気の邂逅は、これからの彼女の音楽に、なにかとんでもない表現の結実を見せるのではないか。そんな予感を抱かせるに十分な、復活劇。
根岸孝宗のサウンドとの相性も抜群。このコンビはマジで無敵だと思う。新作を心待ちにするアーティストがまた一人、それがCoccoであるということが何より嬉しい。

日本に帰って来たら、Coccoが復活してたよ。

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Cocco 根岸孝旨 長田進

曲名リスト
1. 音速パンチ
2. どしゃ降り夜空
3. 流星群

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