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大和都市管財訴訟:国に15億円賠償命令 「監督放棄」と救済拡大--大阪高裁

2008-09-28 03:41:04 | 行政裁判
 大和都市管財訴訟:国に15億円賠償命令 「監督放棄」と救済拡大--大阪高裁

 抵当証券などの販売で1112億円もの被害が出た大和都市管財グループによる巨額詐欺事件の被害者が、抵当証券業の登録更新を拒否しなかった近畿財務局の対応が被害拡大の原因として国家賠償を求めた控訴審の判決が26日、大阪高裁であった。小田耕治裁判長は「登録更新は著しく合理性を欠き、購入者保護を目的とした監督規制権限の恣意(しい)的不行使」として、1審の大阪地裁に続いて国の責任を認め、6億7444万円の支払いを命じた1審判決を変更し、15億5880万円の賠償を命じた。個人財産の被害について、高裁が国の責任を認めたのは初めて。

 1審は原告260人の請求を認めたが、2審は1審で敗訴した原告を含む631人のうち627人の請求を認めた。訴訟では、大和都市管財グループ全体が債務超過に陥った中、近畿財務局が97年10月に業務改善命令を出しながら、2カ月後に登録を更新した判断が適切だったかが最大の争点となっていた。

 判決は「局長(当時)の介入により業務改善命令の内容が大幅に後退した。更新拒否を回避してあえて漫然と更新し、裁量権逸脱の程度は著しい」と局長に過失があったと判断。1審で請求を棄却された原告371人については「更新後も代金を払っていることが認められる」として、払い込みが確認できなかった4人を除き請求を認めた。【北川仁士】

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 ■ことば

 ◇大和都市管財事件
 融資先の不動産の抵当権を基に法務局から交付された抵当証券を販売していた「大和都市管財」を中心とするグループ11社が、実質的に破綻(はたん)していることを隠し「元利金保証で安全・確実・高利回り」などと偽り、金融商品を販売した詐欺事件。債務超過に陥り、近畿財務局の申し立てを受けた大阪地裁が01年4月、会社整理を命令。約1万7000人から集めた資金は1112億円に上ったが、保全された資産は約35億円にとどまった。

(出所:毎日新聞 2008年9月27日 東京朝刊)

 大和都市管財訴訟の判決要旨 大阪高裁
 大和都市管財国家賠償訴訟で、大阪高裁が26日言い渡した判決の要旨は次の通り。

 大和都市管財はグループ6社を利用し、カラ融資や担保の過大評価による高額の抵当証券の販売など不適正な業務運営を続け、高金利で資金を集めて元利金の支払いに充てる詐欺的商法を組織的、継続的にしていた。

 グループ全体では1994年ごろ、約72億円の累積欠損を抱えていたが、抵当証券業規制法上の登録を受け続けるため、経理操作で大和都市管財のみは資本欠損でない状態を仮装した。

 近畿財務局は94年ごろには大和都市管財の実態を知り、95年にはいったん業務改善命令を発したが事実上撤回し、問題を先送りしていた。

 97年時点では96年経営健全化計画が大幅未達で、グループの財務状態は105億円以上の債務超過となった。改善の見込みはなく、営業を継続すればさらに悪化し、被害者が多発する危険性が切迫していることを近畿財務局は認識した。抵当証券購入者が自ら危険を回避する可能性に期待することは困難だった。

 近畿財務局長は3年に1度の更新登録で財務状況を検査し、監督規制権限を行使して、大和都市管財が更新登録拒否事由に該当していないか審査すべき注意義務を負っている。

 にもかかわらず、近畿財務局は97年検査で帳簿類の検査を放棄し、預貯金口座の検証すら怠るなど、グループ全体の財務状況及び資金の流れを解明するための基本というべき検査を怠った。

 近畿財務局次長は警察の強制捜査が近いとの情報を得たこともあり、更新登録前に大和都市管財の破たん処理に入ることを考え、業務改善命令を準備した。

 ところが、業務改善命令の発出は局長の介入で約50日も遅らされ、内容も後退させられた。大和都市管財が97年経営健全化計画を提出するや、近畿財務局は受理。融資の架空性や抵当証券受取利息の未収受の認定も回避し、漫然と更新登録をした。監督規制権限の恣意的不行使ともいえ、その過程は不可解というしかなく、裁量逸脱の程度は著しいというほかない。

 近畿財務局長による更新登録は、抵当証券購入者の保護を目的とした抵当証券業規制法の趣旨に照らし、許容限度を逸脱して著しく合理性を欠く。大和都市管財から抵当証券を購入することで被害を受けた国民との関係で、国賠法の適用上違法となると解すべきである。近畿財務局長には少なくともこの点で過失があるから国は損害を賠償する義務がある。

 大和都市管財の営業継続を許さない場合にいかなる対応や措置を取るべきかは、近畿財務局長の裁量にかかる。本件では少なくとも55億円の融資の架空性とグループ6社からの抵当証券発行特約付き融資の利払い約37億円中の相当部分の仮装を認定することで、容易に更新登録拒否事由である重要事項の虚偽記載を認定することができたといえる。

 損害については、実損害に対し購入者が本来自ら負うべき抵当証券購入の固有のリスクを考慮すると、1審同様、6割を過失相殺する。

(出所:2008/09/26 19:01 【共同通信】http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008092601000794.html) 
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