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中国・四川大地震:自衛隊機派遣見送り 「成果」焦った日本

2008-06-01 01:29:32 | 国内政治
 中国・四川大地震:自衛隊機派遣見送り 「成果」焦った日本

 ◇少佐からの「打診」----「政府要請」に変質
 政府が中国・四川大地震の被災地への自衛隊機派遣を見送った背景には、中国側の「要請」をめぐるボタンの掛け違いがあった。その中で、政府内には歴史的な外交成果を狙う焦りも存在し、それが「自衛隊派遣」の独り歩きを招いた側面もありそうだ。

 「昨日、北京の日本大使館に中国政府から要請がありました」

 中国からテントや毛布などの物資の輸送のための自衛隊派遣を要請されたと発表したのは28日午後の町村信孝官房長官の会見。町村氏は「輸送手段について自衛隊によるものを含めて要請があった」と説明した。

 ところが、ある政府関係者は「要請したのは中国軍の少佐」と明かす。少佐は防衛省だと3佐に相当し、陸海空幕僚監部の課長にも満たないレベル。初の自衛隊派遣という歴史的局面で、課長にも満たない軍人が要請してきたことになる。

 「少佐と聞いた時、この話は大丈夫なのかと感じた」と政府関係者。首相周辺も「中国政府が意思決定したものでも、権威あるものでもなかった。その意味では最初から自衛隊派遣の要請はなかったとも言える」と語る。

 つまり、単なる打診だった可能性があるのだが、中国軍の一部による一つのアイデアは日本政府に伝わる過程で要請に姿を変えていったようだ。

 そのころ、米軍はC17輸送機でハワイから支援物資を四川省・成都まで空輸していた。「米軍も受け入れているわけで、過去の経緯からあまり自衛隊を特別扱いしすぎる必要はない」(外務省幹部)との楽観論が広がり、大々的に報道されたこともあって政府はどんどん前のめりになっていった。

 政府関係者は「中国から求められた」と口をそろえたが、実際には日本側が持ち出していた。12日の地震発生の直後、政府は(1)資金援助(2)物資援助(3)緊急援助隊の派遣(4)医療チームの派遣--の4提案とともに「自衛隊の派遣を要請してはどうか」と提案した。

 検討されたC130輸送機での支援内容は、数千万人規模という被害に比べ、テントや毛布の量がかなり限定的。外務、防衛両省には「実現すれば日中関係にとって画期的で、関係改善の象徴的出来事になる」と色めく幹部がいた。自衛隊派遣案がもともと人道支援ではなく、政治的意味合いから出発していたわけで、政府関係者からは「最終的に見送られたのは必然」との声も聞かれる。【古本陽荘】

 ◇ネット世論、割れる中国
 中国政府は公式には受け入れに慎重姿勢は示していない。外務省の秦剛副報道局長は29日の会見で「関係国と軍が緊急支援物資を提供する意思があるなら歓迎を表明したい」と述べていた。

 しかし、インターネットの言論サイトには「断固拒否する」「自衛隊と援助隊は違う」といった書き込みが散見され、宮本雄二駐中国大使は30日、記者団に「ネットを含めていろいろな意見が出ている。中国側から国内状況への説明があり、『理解してほしい』ということだった」と語った。

 主要メディアが自衛隊派遣の検討と見送りを報じていない中、国際情報紙・環球時報(電子版)が「中国が希望していると日本のメディアが報道。在日本中国大使館は取材に『そうした情報は聞いていない』と答えた」と伝え、見送り決定も日本メディアを引用した。

 これを受け、反日的な書き込みが多い言論サイト「強国論壇」には「日本政府が中国侵略を本当に謝罪するまでは受け入れるべきではない」といった意見が投稿された。一方で日本の援助を評価する書き込みも多く、受け入れ賛成意見も投稿されていた。【北京・浦松丈二、大塚卓也】

(出所:毎日新聞 2008年5月31日 東京朝刊)

空自機派遣の見送りを正式表明…町村官房長官

四川大地震

 町村官房長官は30日午前の記者会見で、四川大地震の被災者に向けた緊急支援物資輸送のための航空自衛隊機の派遣見送りを表明した。

 中国政府が国内世論の反発から受け入れに難色を示したためで、民間のチャーター機を使い、テントや毛布などを運ぶ。

 町村長官は「今回は自衛隊機派遣を行うことはない。中国側と相談する過程で『自衛隊機活用も一つのアイデアだ』と先方から内々の打診があったが、現実に合意したことはない」と述べた。派遣取りやめの理由は「中国で一部、慎重論が出始めていることも考慮し、日中間で協議した結果、見送ることにした。摩擦が起きてまでやる話ではない」と説明した。

 石破防衛相は30日午前の記者会見で、「日本への信頼を獲得する努力を、今後も地道にやっていかないといけない」と強調する一方で、日中防衛交流に関しては「影響はない。淡々と進める」と述べた。

 外務省によると、中国のインターネットサイトでは自衛隊機派遣に関する緊急世論調査が実施され、「受け入れ反対」が過半数を占めた。ただ、「賛成」との差はわずか10ポイント程度で、これが逆に、「せっかく対日感情が改善されているのに、あえて無理することもない」(外務省筋)との判断に傾いた面もあるという。

(出所:2008年5月30日13時36分 読売新聞)

 自衛隊機派遣を見送り、世論配慮の中国側が受け入れ難色

 政府は29日、四川大地震の被災者に向けた緊急支援物資の輸送について、航空自衛隊機の派遣を見送る方針を決めた。

 世論の反発に配慮した中国政府が、受け入れに難色を示したためだ。日本政府は民間のチャーター機による輸送を検討する方針だ。実現すれば自衛隊部隊の戦後初の中国派遣だったが、見送りとなったことで過去の歴史に対する中国国内の複雑な感情を浮き彫りにした。

 政府は中国側の物資提供の求めを受け、自衛隊派遣の準備を進めるとともに、中国側との調整を続けていた。29日午前には、斎木昭隆・外務省アジア大洋州局長が北京市内の中国外務省で武大偉外務次官と協議した。武次官は席上、自衛隊機派遣に対する中国国内の厳しい空気を伝えたと見られる。

 政府筋は29日夜、「『自衛隊でもいい』と言った意見が中国政府のコンセンサス(合意)ではなかったという、向こうの縦割りの問題だ」と指摘した。外務省関係者も「自衛隊派遣が報じられたことで中国に副作用が出ている。物資を届けるという本来の目的と両立しなくなっている」と述べた。

 救援物資の提供は、27日に北京市内で行われた、日本の防衛駐在官と中国国防省との協議で、中国側から要請された。

 テントや毛布の提供を求める中国側に対し、自衛隊に対する反発を懸念した日本側が運搬手段について相談すると、中国側は、北京や成都などの空港まで自衛隊機が物資を運搬することを認める意向を示したという。

 中国では、インターネット掲示板で自衛隊を旧日本軍と結びつけ、派遣に反対する意見が相次ぐなど、強い反発が出ていた。今回の地震ではすでに米国、ロシア、パキスタンの空軍機が被災地向けの援助物資を運んでいるが、中国政府も国内世論の反応を見て、日本の自衛隊機の受け入れは難しいと判断したと見られる。

 北京の日本大使館関係者にも、中国側から「自衛隊が派遣されると国内世論が持たない」という声が寄せられていた。

 防衛省は、C130輸送機3機が四川省成都に陸上自衛隊や兵庫県などのテント計約200張り、毛布約3600枚、食料などを運ぶことを計画していた。政府はこうした物資を運ぶため、民間のチャーター機数機を早急に準備する方針で、時期や航路などを今後、中国側と調整する。

「軍用機はダメだ」「恨みはひとまずおけ」空自機派遣で中国賛否
 【北京=杉山祐之】中国のインターネット掲示板では29日、四川大地震の被災地援助を目的とした自衛隊機の中国派遣に反対する声が続出した。一方で、日本の支援に対する感謝、歓迎を示す意見も多数寄せられており、賛否両論があふれる熱い議論が繰り広げられている。

 民族主義的傾向が強いサイトの掲示板は、「断固反対! 日本帝国主義打倒!」「オオカミを部屋に入れるようなものだ」「被災地は困っているが、日本のテントは不要」などという声がほとんどだ。

 大手ニュースサイトでも、「軍用機はだめだ」「国の尊厳を捨てるな」といった反対論は多い。

 しかし、「ありがとう日本」も次々に書き込まれる。「恨みはひとまずおけ。今は救援だ」という被災地優先の訴え、狭隘(きょうあい)な民族主義から脱した「大国の風格」を求める意見もある。四川大地震以降、中国のネット世論では排外色を薄め、日本の緊急援助隊に対する感謝も広まった。現時点では、単純な「愛国・反日」論に一気に傾く状況ではなさそうだ。

(出所:2008年5月30日03時03分 読売新聞)

中国への空自機派遣、早ければ週内にも…支援物資輸送

中国に派遣される見通しの航空自衛隊C130輸送機(2005年1月6日撮影) 政府は28日、中国からの要請に基づき、四川大地震の被災者用テントなど緊急支援物資の輸送のため、航空自衛隊の輸送機を中国に派遣する方針を固めた。

 早ければ週内にも派遣する。自衛隊の部隊が中国に派遣されるのは初めてとなる。

 町村官房長官は28日夕の記者会見で、中国政府から27日、北京の日本大使館に救援要請があったことを明らかにした。要請の内容については「自衛隊のテント、毛布などを自衛隊機で中国の空港まで運んでもらいたいという趣旨だと理解している」と述べた。また「国内の(被災地への)輸送までは望んでいないようだ」と語った。

 政府は、国際緊急援助隊法に基づき、空自のC130輸送機を、準備が整い次第派遣する考えだ。先遣隊を一両日中に派遣することも検討している。空輸先は北京、西安、成都などの空港を想定。援助物資は、政府が四川大地震への緊急支援として表明した5億円の枠外で無償提供する方針で、大半は自衛隊の装備品をあてる。自衛隊は28日、陸上自衛隊など各部隊が保管するテントで中国に提供できるものを移動させる準備に入った。

 輸送機の運用を統括する空自の航空支援集団司令部(東京都府中市)は28日、愛知・小牧市の第1輸送航空隊に派遣準備を指示した。国際緊急援助隊法では、命令後48時間以内に派遣することを目標としているが、空自幹部は「命ぜられれば、24時間以内に離陸できるようにするため」としている。

 同航空隊では現在、イラク国内で多国籍軍や国連を支援する空輸活動を実施している。機数に限りはあるが、小牧基地で待機するC130輸送機のうち2~3機を派遣することにしている。

 テントや毛布などの援助品を満載した場合、成都までなら飛行時間は約14時間で、途中で給油が必要になるという。北京であれば約5時間だが、経路にあたる韓国政府から自衛隊機の領空通過許可を受けなければならない。

 同法に基づき自衛隊が海外に派遣されたのは過去に9回あり、うち6回は航空自衛隊が参加している。最近では、2006年のインドネシア・ジャワ島中部地震の際、空自のC130輸送機2機が派遣された。

(出所:2008年5月29日03時02分 読売新聞)
 
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