三、総選挙・都議選勝利をめざし、職場支部の総決起をどうかちとるか
報告の第三の主題として、総選挙・都議選勝利をめざし、職場支部の総決起をどうかちとるかについてのべます。
第1回「職場講座」の徹底と、職場支部の活動の到達点について
まず「職場講座」の徹底と、職場支部の活動の到達点について報告します。
第1回「職場講座」から3年。この方針を力に、切実な要求実現のたたかいを前進させ、党勢拡大と選挙戦のとりくみの前進に結実させているすぐれた職場支部が、全国各地に生まれています。同時に、党全体としてみれば、「団塊の世代」の大量退職などのもとでの組織的後退もあり、それを上回って職場支部を力強い前進の軌道にのせたとは、まだいえないというのが現状であります。
第1回「職場講座」の方針は、大会決定、中央委員会諸決定とともに、すべての職場支部が前進するうえで、ひきつづき基本方針であることを強調したいと思います。職場支部への「講座」の徹底は、52・1%と道半ばであり、「政策と計画」をもっている支部は64・8%であります。党員拡大は、この間、前進を切り開いている党組織が生まれているものの、なお成果支部は職場支部の17・0%にとどまっています。「講座」の方針を、すべての職場支部の生きた力にするために、引き続き努力することを、まず強く訴えたいと思います。
「講座」の方針にもとづくすぐれた教訓をすべての職場支部のものに
第1回「職場講座」以降、すぐれた経験をつくりだしている職場支部の経験を聞きますと、共通して「講座」にもとづく法則的活動をおこなっています。もともと「講座」の方針自身が全国のすぐれた経験に中央が学んで作り上げたものでした。ここにこそ法則的前進のカギがあることは、この3年間の活動が証明しています。
3月の幹部会決定でも強調したように、総選挙・都議選で勝利をかちとる最大の保障は、全支部、全党員が、後援会員とともに総決起することにあります。そして職場支部が、目前の政治戦に総決起するカギは、「職場講座」にあります。「講座」を力にして、この間、全国でつくりだされているすぐれた教訓を、全党のものにしながら、総選挙・都議選勝利への流れを職場からつくりだしていきたいと思います。
この点は、ぜひ討論で深めていただきたいと思いますが、全国から聞き取りをおこなって、重要だと考えることを、順不同で提起したいと思います。
労働者との人間的なむすびつき
第1回「講座」では、「まずあいさつから」ということが一つの合言葉となりました。まずあいさつからはじめて、労働者と日常的にむすびつき、人間的信頼関係をつくることが、すべての活動の出発点となることは、第1回「講座」で最も強調した点の一つでしたが、この点で全国ですぐれた経験がつくられています。
西日本の民間職場支部は、党の姿を知らせる「集い」を職場の労働者の3分の1が参加するまで発展させていますが、そのきっかけになったのは、「あいさつ」だったといいます。「連合系の組合員も同じ労働条件で苦しめられている。まずあいさつからはじめよう」と足を踏み出したことがきっかけとなって、憲法9条擁護の署名への協力をよびかけると、管理職もふくめてほとんどすべての労働者と対話ができ、ほとんどの労働者が署名に応じてくれた。「あいさつ」からはじめて、職場に足を踏みだすと、党員の労働者を見る目が変わり、そうした党員の変化がまた職場労働者に好意を持って受け止められるという人間的信頼関係の好循環が始まった。この職場支部では、総選挙にむけた対話・支持拡大目標を達成・突破し、「しんぶん赤旗」拡大でも30カ月連続拡大の「偉業」をいまもつづけているという報告でした。
非正規労働者とのむすびつきを広げている中部地方の製造業の職場支部は、「労働者の全生活にわたってつきあう」という「講座」の方針をその言葉通りに実践し、休日には、非正規労働者とファミリーレストランで食事をしたり、青年の間ではやっているボウリングを一緒にするために、50歳を超えてから初めてボウリングを練習するなどの努力を重ね、スーパー銭湯に非正規労働者と一緒に出かけ、期間工から正規労働者になるためにはどうしたらいいかを、文字通りの“裸のつきあい”でじっくり話しあっています。それが「非正規切り」とのたたかいをすすめる力となり、党への支持を広げることにつながっています。
民間職場でのたたかい
民間職場では、この間、「非正規切り」とのたたかい、成果主義支配を打ち破るたたかいがとりくまれましたが、どの場合でも、労働者から寄せられた声に耳を傾け、それにもとづく要求と政策をつくったことが力となっています。
東日本の製造業の職場では、「非正規切り」に対して非正規労働者が労働組合を結成して、団体交渉、労働局申告、裁判闘争などにとりくんでいますが、これを支えた土台には、職場支部の長年にわたる粘り強いとりくみがありました。「講座」の方針にそくして、非正規労働者に心を寄せ、労働者から寄せられた声をとにかく大切にして要求と政策にまとめ、会社や労働組合に要請し、その内容を職場新聞を発行して労働者に知らせる活動を徹底して重視しています。メールでの非正規労働者とのネットワークをつくって、情報・意見交換を粘り強くつづけてきています。「非正規切り」が襲いかかってきたとき、この日常のとりくみが力を発揮し、解雇通告を受けた労働者が相談にきたことが労働組合結成につながり、新入党員も迎えました。支部長は、「労働者がたたかいに立ちあがったのは、党支部が存在し、非正規労働者に心を寄せてたたかい続けてきたことがある」と語っています。
西日本の製造業職場では、賃下げ・差別と分断の成果主義への職場の不満が高まるなかで、職場支部が、「講座」が提起した成果主義とのたたかいの方針を生かし、成果主義による賃金格差の拡大に反対して、一律賃上げ要求を掲げてたたかいました。この要求は、成果主義に苦しむ広範な労働者の共感を呼び、連合系労働組合の方針ともなり、春闘要求に一律賃上げ要求が盛り込まれる中で、08年春闘では千円一律賃上げを実現し、党への信頼を高めています。
民間職場でのたたかいは、もとより多種多様ですが、労働者の声に耳を傾け、それにもとづく要求と政策をつくっていく。そしてそれを実現する活動にうまずたゆまずとりくむということが、すべての活動を発展させる原点となっています。
自治体労働者のなかでのたたかい
自治体の職場では、「官から民へ」「三位一体の改革」の掛け声で、福祉、医療、介護、教育などの公共サービス切り捨てがおしつけられるもとで、何よりもまず「住民福祉の増進」という自治体の原点にたって、地方自治のあり方を根本からただす政治の転換を主張するとともに、住民要求の実現を出発点にしたたたかいを、住民と連携してすすめているところで前進をかちとっています。
首都圏の自治体の職場では、保育予算削減をねらった保育園の統廃合や民営化が、保育水準の切り下げにつながることを明らかにし、「犠牲になるのは子ども」と父母と連携したたたかいをすすめ、民営化を最小限に食い止め、民営化されたところでも保育の質の確保に最大限の努力を払っていることが、父母からの信頼を高めるとともに、職場のなかでの信頼を高めています。
住民サービス切り捨てと一体に広がっているのが「官製ワーキングプア」です。民営化・民間委託された職場はもとより、一般職のなかでも非正規雇用労働者が広がるなかで、何よりも住民への質の高い公共サービスを充実させようとすれば、人間らしい労働条件の確保が必要だという見地で要求実現のたたかいを組織し、労働組合を強化・発展させている経験が生まれていることは重要であります。
住民のための仕事にこそ自治体労働者の使命がある、そのためにも安定した労働条件をという自治体労働者論の実践にとりくんだところで、職場での共感と信頼を広げていることが、最大の教訓です。こうしたとりくみのなかで、「仕事でも組合活動でも、尊敬していた人は実は日本共産党員だった」ということがわかって、入党者を迎えているのが共通した教訓であります。
教職員のなかでのとりくみ
教職員のなかでの活動は、子どもの成長と発達を出発点にし、何よりも大切にするところから前進がはじまっています。
いま子どもの貧困の問題が重大な社会問題になっています。「朝ごはん」を食べてこない、学校でケガをしても医療費が心配で病院に行きたがらないなど、子どもの心に大きな傷をつくる事態が起こっています。改悪教育基本法のもとで、全国一斉学力テストの押し付けをはじめ競争と序列化の教育がいっそうひどくなっていることも、教育現場のゆがみや荒れをいよいよ深刻にしています。このもとで教員の多忙化がすすみ、不安定な働き方をしいられる臨時教職員が増やされるという状況もあります。多くの教職員が、この現実と苦闘し、深い悩みを抱えています。とくに、「団塊の世代」の退職期を迎え、新卒の青年教師が大量に採用されるなかで、若い教師が、よりよい教育をしたい、教師としてどう生きていくのかという悩みと要求を持ち、真剣な模索をおこなっています。
西日本のある教職員の職場では、こうした悩みや要求に全面的にこたえる活動をすすめ、多面的な前進をかちとっています。労働組合として青年フェスタにとりくみ、青年自身を主役に、教育実践を持ち寄り、悩みや苦しみを出し合い、そこから学び合ってお互いに成長する場にしています。教職員支部は、このとりくみを成功させるために奮闘し、党員の教師が「こうやってみたらどうか」とアドバイスしています。参加した青年教師は、「教職員評価があるので、校長に気に入られようとばかり考え苦痛だったが、『だれのために先生になったんや。管理職の目なんか気にするな』の一言で頭の中がスカッとした。仲間がいるから大丈夫。組合は心の安定剤」と発言し、このとりくみで成長した青年が、各地で青年部再建の中心になって奮闘しているとの報告でした。
首都圏の教職員支部は、党員教師も教育実践で苦闘している。第1回「講座」で強調した「党員の苦しみはみんなの苦しみ」という立場で、この問題をとらえて、支部会議でまず党員自身の悩みを出し合おうじゃないか。こうやって、支部会議で党員の悩みや困っていることを出し合うことから出発し、みんなで解決方向を考えていくように運営していったことが、職場を変えるうえで大きな力となっています。問題を、個人の殻に閉じ込めないで、教師集団、学校全体、さらに保護者の問題ととらえ、みんなで考え支えあう関係をつくろうとなって、実践をはじめてみたら問題解決の糸口が見えてきた。そこから教訓を引き出し、民主的な教職員と地域の民主団体が協力して開いてきた「地域の未来集会」という数百人規模の教育研究集会を、さらに発展させているとの報告でありました。
全国の民主的教職員は、第1回「講座」以降、教育基本法改悪反対の歴史的闘争を、国民とともに堂々とたたかいぬきました。悪法は強行されましたが、このたたかいは今に生きています。教職員のなかに日本国憲法に依拠した民主的な教育実践をすすめる生命力を広げています。教職員のなかで新しい党員を迎える力ともなっています。ここに確信をもって前進のうねりを大きく広げていこうではありませんか。
党勢拡大と党生活、後継者問題について
この間、全党は、17カ月連続で党員拡大で増勢をつづけ、この間に、新たに1万7千人の新規党員を迎えましたが、こうした党員拡大の新たな前進傾向は、職場支部のなかでも生まれています。
この間の全党の奮闘によって、「日本共産党こそ労働者の味方の党」という評価は、社会的にも広がりつつあります。企業や工場の門前での党の宣伝にたいしても、これまではほとんどの労働者がビラの受け取りを拒否するような職場が少なくありませんでした。守衛さんが立っていて、ごみ箱が置いてあって、せっかく受け取った人がいても、ごみ箱に直行するということも多かった。ところが今では、そういう職場でも、自動車で出勤する労働者が、車を列をなして止めて、窓を開けてつぎつぎにビラを受け取る状況が各地で生まれていることが、報告されています。労働者階級は日本の人口の7割を占めるわけですが、これまでは企業や工場の門前で、なかなか宣伝が入らなかった。声が届かなかった。ところが、そこに声が届くようになった。これは本当に大きな変化であります。
いま労働者との人間的むすびつきを強め、雇用破壊に反対し、人間らしい労働のルールをつくるたたかいと一体に、広大な労働者に、日本共産党への入党を呼びかけ、「しんぶん赤旗」の購読を呼びかけるならば、職場に強く大きな党をつくり、後継者を獲得する、大きなチャンスであります。このことを正面からつかみ、広い労働者のなかに思い切って足を踏み出し、職場に強く大きな党をつくることを、強く訴えるものです。
党生活については、第1回「講座」が強調した「綱領学習と支部会議こそ困難打開のカギ」という教訓を重ねて強調したいと思います。東日本の学校給食職場の支部では、この5年間に6人の新入党員を迎えていますが、支部長の同志は、「安心・安全の学校給食へどうしたらいいのかを議論する支部会議が“力の源”」という報告を寄せています。仕事がきつくて、へとへとになっても、定例の支部会議に出席して、お互いがよりよい学校給食、どうやったらおいしくて安心・安全な給食をつくれるか、そのためにどういう奮闘をしているかを交流すると、明日の活力がわいてくる。そんな支部会議をつくり、学習を徹底して重視していることが、支部の活性化につながっているとのことでした。
党生活にかかわって、すべての労働者党員が「しんぶん赤旗」の日刊紙を読むことを、心から訴えたいと思います。労働者階級は、日本国民の圧倒的多数を占め、日本社会と経済の動向を決定的に左右する階級であります。労働者階級のなかで多数者となってこそ、民主連合政府の道は開かれます。そのためには、労働者党員が、世界の動き、日本の動きを、日々の「しんぶん赤旗」でつかみ、労働者の中で知的・政治的な信頼をかちとることが不可欠であります。そして、「しんぶん赤旗」が、全国で苦労して頑張っている職場の仲間のたたかいを、克明に伝え、全国の労働者のたたかいの連帯をすすめる唯一の日刊紙であることも強調したいと思います。すべての労働者党員が、「しんぶん赤旗」日刊紙を読み、労働者に明日への希望をつたえ、温かい連帯を広げる、この素晴らしい国民的メディアを労働者・国民のなかに広げようではありませんか。
党機関の職場支部への指導と援助――2つの点について
党機関の指導と援助について、二つの点をとくに強調したいと思います。
一つは、党機関の指導と援助の基本姿勢についてであります。この点では、第1回「講座」でのべた次の三つの点が、心を通わせ、ともに前進を築く上で、ひきつづき最大のカギだということを強調したいと思います。
すなわち、(1)「職場で困難な条件のもとで不屈に奮闘してきた同志に心からの敬意をもって接し、実情を聞くこと、謙虚に学ぶこと」、(2)「職場支部を、直面する課題に役立つかどうかという短期の目でみずに、長期の目で職場支部を強め、継承していくための手だてを、一緒になってとること」、(3)「職場支部の活動をはげます党機関としての独自のとりくみをおこなうということ」であります。
「知恵は現場にある」――この言葉を合言葉にして、職場の同志とともに考え、ともに前進をつくるという態度を堅持して奮闘しようではありませんか。
いま一つは、指導と援助の体制を崩さず、中断せず、成果をあせらず、粘り強くという立場を堅持することです。第1回「講座」を受けて、41県と175地区で職場支部援助委員会が確立しています。こうした体制を確立したことが、職場支部の困難に心を寄せ、困難をともに打開する気風を広げています。この指導体制を総選挙にむけて絶対に崩さず、強めながら、すべての職場支部が立ちあがるよう援助を強めたいと思います。
「労働者選対」を確立し、選挙戦での職場支部への援助を強めている地区の経験が生まれていますが、選挙戦でこそ、職場支部援助委員会の活動を継続し、職場支部への援助を強めることを訴えるものです。
むすびに――全労働者・国民を視野に入れた活動で、職場から勝利のうねりを
いよいよ総選挙・都議選が目前にせまりました。第1回「講座」以来、積み重ねてきた成果と教訓をさらに発展させながら、すべての職場支部が、全労働者・国民を視野に、「比例代表で650万票以上」という全国目標にふさわしい得票目標・支持拡大目標を決め、職場後援会と力をあわせて、この歴史的政治戦に立ちあがり、「全国は一つ」の立場で、宣伝・対話で飛躍をつくろうではありませんか。「集い」を繰り返し開き、すべての職場支部で新しい党員を迎え、「しんぶん赤旗」読者を増やして選挙をたたかおうではありませんか。
労働者のなかで多数になってこそ「国民が主人公」の民主的政権への道は開かれます。その第一歩を刻む選挙にするために、全国の労働者党員のみなさんが、総選挙勝利の先頭にたつことを心からよびかけて報告といたします。
(出所:日本共産党HP 2009年4月28日(火)「しんぶん赤旗」)
報告の第三の主題として、総選挙・都議選勝利をめざし、職場支部の総決起をどうかちとるかについてのべます。
第1回「職場講座」の徹底と、職場支部の活動の到達点について
まず「職場講座」の徹底と、職場支部の活動の到達点について報告します。
第1回「職場講座」から3年。この方針を力に、切実な要求実現のたたかいを前進させ、党勢拡大と選挙戦のとりくみの前進に結実させているすぐれた職場支部が、全国各地に生まれています。同時に、党全体としてみれば、「団塊の世代」の大量退職などのもとでの組織的後退もあり、それを上回って職場支部を力強い前進の軌道にのせたとは、まだいえないというのが現状であります。
第1回「職場講座」の方針は、大会決定、中央委員会諸決定とともに、すべての職場支部が前進するうえで、ひきつづき基本方針であることを強調したいと思います。職場支部への「講座」の徹底は、52・1%と道半ばであり、「政策と計画」をもっている支部は64・8%であります。党員拡大は、この間、前進を切り開いている党組織が生まれているものの、なお成果支部は職場支部の17・0%にとどまっています。「講座」の方針を、すべての職場支部の生きた力にするために、引き続き努力することを、まず強く訴えたいと思います。
「講座」の方針にもとづくすぐれた教訓をすべての職場支部のものに
第1回「職場講座」以降、すぐれた経験をつくりだしている職場支部の経験を聞きますと、共通して「講座」にもとづく法則的活動をおこなっています。もともと「講座」の方針自身が全国のすぐれた経験に中央が学んで作り上げたものでした。ここにこそ法則的前進のカギがあることは、この3年間の活動が証明しています。
3月の幹部会決定でも強調したように、総選挙・都議選で勝利をかちとる最大の保障は、全支部、全党員が、後援会員とともに総決起することにあります。そして職場支部が、目前の政治戦に総決起するカギは、「職場講座」にあります。「講座」を力にして、この間、全国でつくりだされているすぐれた教訓を、全党のものにしながら、総選挙・都議選勝利への流れを職場からつくりだしていきたいと思います。
この点は、ぜひ討論で深めていただきたいと思いますが、全国から聞き取りをおこなって、重要だと考えることを、順不同で提起したいと思います。
労働者との人間的なむすびつき
第1回「講座」では、「まずあいさつから」ということが一つの合言葉となりました。まずあいさつからはじめて、労働者と日常的にむすびつき、人間的信頼関係をつくることが、すべての活動の出発点となることは、第1回「講座」で最も強調した点の一つでしたが、この点で全国ですぐれた経験がつくられています。
西日本の民間職場支部は、党の姿を知らせる「集い」を職場の労働者の3分の1が参加するまで発展させていますが、そのきっかけになったのは、「あいさつ」だったといいます。「連合系の組合員も同じ労働条件で苦しめられている。まずあいさつからはじめよう」と足を踏み出したことがきっかけとなって、憲法9条擁護の署名への協力をよびかけると、管理職もふくめてほとんどすべての労働者と対話ができ、ほとんどの労働者が署名に応じてくれた。「あいさつ」からはじめて、職場に足を踏みだすと、党員の労働者を見る目が変わり、そうした党員の変化がまた職場労働者に好意を持って受け止められるという人間的信頼関係の好循環が始まった。この職場支部では、総選挙にむけた対話・支持拡大目標を達成・突破し、「しんぶん赤旗」拡大でも30カ月連続拡大の「偉業」をいまもつづけているという報告でした。
非正規労働者とのむすびつきを広げている中部地方の製造業の職場支部は、「労働者の全生活にわたってつきあう」という「講座」の方針をその言葉通りに実践し、休日には、非正規労働者とファミリーレストランで食事をしたり、青年の間ではやっているボウリングを一緒にするために、50歳を超えてから初めてボウリングを練習するなどの努力を重ね、スーパー銭湯に非正規労働者と一緒に出かけ、期間工から正規労働者になるためにはどうしたらいいかを、文字通りの“裸のつきあい”でじっくり話しあっています。それが「非正規切り」とのたたかいをすすめる力となり、党への支持を広げることにつながっています。
民間職場でのたたかい
民間職場では、この間、「非正規切り」とのたたかい、成果主義支配を打ち破るたたかいがとりくまれましたが、どの場合でも、労働者から寄せられた声に耳を傾け、それにもとづく要求と政策をつくったことが力となっています。
東日本の製造業の職場では、「非正規切り」に対して非正規労働者が労働組合を結成して、団体交渉、労働局申告、裁判闘争などにとりくんでいますが、これを支えた土台には、職場支部の長年にわたる粘り強いとりくみがありました。「講座」の方針にそくして、非正規労働者に心を寄せ、労働者から寄せられた声をとにかく大切にして要求と政策にまとめ、会社や労働組合に要請し、その内容を職場新聞を発行して労働者に知らせる活動を徹底して重視しています。メールでの非正規労働者とのネットワークをつくって、情報・意見交換を粘り強くつづけてきています。「非正規切り」が襲いかかってきたとき、この日常のとりくみが力を発揮し、解雇通告を受けた労働者が相談にきたことが労働組合結成につながり、新入党員も迎えました。支部長は、「労働者がたたかいに立ちあがったのは、党支部が存在し、非正規労働者に心を寄せてたたかい続けてきたことがある」と語っています。
西日本の製造業職場では、賃下げ・差別と分断の成果主義への職場の不満が高まるなかで、職場支部が、「講座」が提起した成果主義とのたたかいの方針を生かし、成果主義による賃金格差の拡大に反対して、一律賃上げ要求を掲げてたたかいました。この要求は、成果主義に苦しむ広範な労働者の共感を呼び、連合系労働組合の方針ともなり、春闘要求に一律賃上げ要求が盛り込まれる中で、08年春闘では千円一律賃上げを実現し、党への信頼を高めています。
民間職場でのたたかいは、もとより多種多様ですが、労働者の声に耳を傾け、それにもとづく要求と政策をつくっていく。そしてそれを実現する活動にうまずたゆまずとりくむということが、すべての活動を発展させる原点となっています。
自治体労働者のなかでのたたかい
自治体の職場では、「官から民へ」「三位一体の改革」の掛け声で、福祉、医療、介護、教育などの公共サービス切り捨てがおしつけられるもとで、何よりもまず「住民福祉の増進」という自治体の原点にたって、地方自治のあり方を根本からただす政治の転換を主張するとともに、住民要求の実現を出発点にしたたたかいを、住民と連携してすすめているところで前進をかちとっています。
首都圏の自治体の職場では、保育予算削減をねらった保育園の統廃合や民営化が、保育水準の切り下げにつながることを明らかにし、「犠牲になるのは子ども」と父母と連携したたたかいをすすめ、民営化を最小限に食い止め、民営化されたところでも保育の質の確保に最大限の努力を払っていることが、父母からの信頼を高めるとともに、職場のなかでの信頼を高めています。
住民サービス切り捨てと一体に広がっているのが「官製ワーキングプア」です。民営化・民間委託された職場はもとより、一般職のなかでも非正規雇用労働者が広がるなかで、何よりも住民への質の高い公共サービスを充実させようとすれば、人間らしい労働条件の確保が必要だという見地で要求実現のたたかいを組織し、労働組合を強化・発展させている経験が生まれていることは重要であります。
住民のための仕事にこそ自治体労働者の使命がある、そのためにも安定した労働条件をという自治体労働者論の実践にとりくんだところで、職場での共感と信頼を広げていることが、最大の教訓です。こうしたとりくみのなかで、「仕事でも組合活動でも、尊敬していた人は実は日本共産党員だった」ということがわかって、入党者を迎えているのが共通した教訓であります。
教職員のなかでのとりくみ
教職員のなかでの活動は、子どもの成長と発達を出発点にし、何よりも大切にするところから前進がはじまっています。
いま子どもの貧困の問題が重大な社会問題になっています。「朝ごはん」を食べてこない、学校でケガをしても医療費が心配で病院に行きたがらないなど、子どもの心に大きな傷をつくる事態が起こっています。改悪教育基本法のもとで、全国一斉学力テストの押し付けをはじめ競争と序列化の教育がいっそうひどくなっていることも、教育現場のゆがみや荒れをいよいよ深刻にしています。このもとで教員の多忙化がすすみ、不安定な働き方をしいられる臨時教職員が増やされるという状況もあります。多くの教職員が、この現実と苦闘し、深い悩みを抱えています。とくに、「団塊の世代」の退職期を迎え、新卒の青年教師が大量に採用されるなかで、若い教師が、よりよい教育をしたい、教師としてどう生きていくのかという悩みと要求を持ち、真剣な模索をおこなっています。
西日本のある教職員の職場では、こうした悩みや要求に全面的にこたえる活動をすすめ、多面的な前進をかちとっています。労働組合として青年フェスタにとりくみ、青年自身を主役に、教育実践を持ち寄り、悩みや苦しみを出し合い、そこから学び合ってお互いに成長する場にしています。教職員支部は、このとりくみを成功させるために奮闘し、党員の教師が「こうやってみたらどうか」とアドバイスしています。参加した青年教師は、「教職員評価があるので、校長に気に入られようとばかり考え苦痛だったが、『だれのために先生になったんや。管理職の目なんか気にするな』の一言で頭の中がスカッとした。仲間がいるから大丈夫。組合は心の安定剤」と発言し、このとりくみで成長した青年が、各地で青年部再建の中心になって奮闘しているとの報告でした。
首都圏の教職員支部は、党員教師も教育実践で苦闘している。第1回「講座」で強調した「党員の苦しみはみんなの苦しみ」という立場で、この問題をとらえて、支部会議でまず党員自身の悩みを出し合おうじゃないか。こうやって、支部会議で党員の悩みや困っていることを出し合うことから出発し、みんなで解決方向を考えていくように運営していったことが、職場を変えるうえで大きな力となっています。問題を、個人の殻に閉じ込めないで、教師集団、学校全体、さらに保護者の問題ととらえ、みんなで考え支えあう関係をつくろうとなって、実践をはじめてみたら問題解決の糸口が見えてきた。そこから教訓を引き出し、民主的な教職員と地域の民主団体が協力して開いてきた「地域の未来集会」という数百人規模の教育研究集会を、さらに発展させているとの報告でありました。
全国の民主的教職員は、第1回「講座」以降、教育基本法改悪反対の歴史的闘争を、国民とともに堂々とたたかいぬきました。悪法は強行されましたが、このたたかいは今に生きています。教職員のなかに日本国憲法に依拠した民主的な教育実践をすすめる生命力を広げています。教職員のなかで新しい党員を迎える力ともなっています。ここに確信をもって前進のうねりを大きく広げていこうではありませんか。
党勢拡大と党生活、後継者問題について
この間、全党は、17カ月連続で党員拡大で増勢をつづけ、この間に、新たに1万7千人の新規党員を迎えましたが、こうした党員拡大の新たな前進傾向は、職場支部のなかでも生まれています。
この間の全党の奮闘によって、「日本共産党こそ労働者の味方の党」という評価は、社会的にも広がりつつあります。企業や工場の門前での党の宣伝にたいしても、これまではほとんどの労働者がビラの受け取りを拒否するような職場が少なくありませんでした。守衛さんが立っていて、ごみ箱が置いてあって、せっかく受け取った人がいても、ごみ箱に直行するということも多かった。ところが今では、そういう職場でも、自動車で出勤する労働者が、車を列をなして止めて、窓を開けてつぎつぎにビラを受け取る状況が各地で生まれていることが、報告されています。労働者階級は日本の人口の7割を占めるわけですが、これまでは企業や工場の門前で、なかなか宣伝が入らなかった。声が届かなかった。ところが、そこに声が届くようになった。これは本当に大きな変化であります。
いま労働者との人間的むすびつきを強め、雇用破壊に反対し、人間らしい労働のルールをつくるたたかいと一体に、広大な労働者に、日本共産党への入党を呼びかけ、「しんぶん赤旗」の購読を呼びかけるならば、職場に強く大きな党をつくり、後継者を獲得する、大きなチャンスであります。このことを正面からつかみ、広い労働者のなかに思い切って足を踏み出し、職場に強く大きな党をつくることを、強く訴えるものです。
党生活については、第1回「講座」が強調した「綱領学習と支部会議こそ困難打開のカギ」という教訓を重ねて強調したいと思います。東日本の学校給食職場の支部では、この5年間に6人の新入党員を迎えていますが、支部長の同志は、「安心・安全の学校給食へどうしたらいいのかを議論する支部会議が“力の源”」という報告を寄せています。仕事がきつくて、へとへとになっても、定例の支部会議に出席して、お互いがよりよい学校給食、どうやったらおいしくて安心・安全な給食をつくれるか、そのためにどういう奮闘をしているかを交流すると、明日の活力がわいてくる。そんな支部会議をつくり、学習を徹底して重視していることが、支部の活性化につながっているとのことでした。
党生活にかかわって、すべての労働者党員が「しんぶん赤旗」の日刊紙を読むことを、心から訴えたいと思います。労働者階級は、日本国民の圧倒的多数を占め、日本社会と経済の動向を決定的に左右する階級であります。労働者階級のなかで多数者となってこそ、民主連合政府の道は開かれます。そのためには、労働者党員が、世界の動き、日本の動きを、日々の「しんぶん赤旗」でつかみ、労働者の中で知的・政治的な信頼をかちとることが不可欠であります。そして、「しんぶん赤旗」が、全国で苦労して頑張っている職場の仲間のたたかいを、克明に伝え、全国の労働者のたたかいの連帯をすすめる唯一の日刊紙であることも強調したいと思います。すべての労働者党員が、「しんぶん赤旗」日刊紙を読み、労働者に明日への希望をつたえ、温かい連帯を広げる、この素晴らしい国民的メディアを労働者・国民のなかに広げようではありませんか。
党機関の職場支部への指導と援助――2つの点について
党機関の指導と援助について、二つの点をとくに強調したいと思います。
一つは、党機関の指導と援助の基本姿勢についてであります。この点では、第1回「講座」でのべた次の三つの点が、心を通わせ、ともに前進を築く上で、ひきつづき最大のカギだということを強調したいと思います。
すなわち、(1)「職場で困難な条件のもとで不屈に奮闘してきた同志に心からの敬意をもって接し、実情を聞くこと、謙虚に学ぶこと」、(2)「職場支部を、直面する課題に役立つかどうかという短期の目でみずに、長期の目で職場支部を強め、継承していくための手だてを、一緒になってとること」、(3)「職場支部の活動をはげます党機関としての独自のとりくみをおこなうということ」であります。
「知恵は現場にある」――この言葉を合言葉にして、職場の同志とともに考え、ともに前進をつくるという態度を堅持して奮闘しようではありませんか。
いま一つは、指導と援助の体制を崩さず、中断せず、成果をあせらず、粘り強くという立場を堅持することです。第1回「講座」を受けて、41県と175地区で職場支部援助委員会が確立しています。こうした体制を確立したことが、職場支部の困難に心を寄せ、困難をともに打開する気風を広げています。この指導体制を総選挙にむけて絶対に崩さず、強めながら、すべての職場支部が立ちあがるよう援助を強めたいと思います。
「労働者選対」を確立し、選挙戦での職場支部への援助を強めている地区の経験が生まれていますが、選挙戦でこそ、職場支部援助委員会の活動を継続し、職場支部への援助を強めることを訴えるものです。
むすびに――全労働者・国民を視野に入れた活動で、職場から勝利のうねりを
いよいよ総選挙・都議選が目前にせまりました。第1回「講座」以来、積み重ねてきた成果と教訓をさらに発展させながら、すべての職場支部が、全労働者・国民を視野に、「比例代表で650万票以上」という全国目標にふさわしい得票目標・支持拡大目標を決め、職場後援会と力をあわせて、この歴史的政治戦に立ちあがり、「全国は一つ」の立場で、宣伝・対話で飛躍をつくろうではありませんか。「集い」を繰り返し開き、すべての職場支部で新しい党員を迎え、「しんぶん赤旗」読者を増やして選挙をたたかおうではありませんか。
労働者のなかで多数になってこそ「国民が主人公」の民主的政権への道は開かれます。その第一歩を刻む選挙にするために、全国の労働者党員のみなさんが、総選挙勝利の先頭にたつことを心からよびかけて報告といたします。
(出所:日本共産党HP 2009年4月28日(火)「しんぶん赤旗」)
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