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未来を信じ、未来に生きる。

今に流されず、正論を認識し、社会貢献していく人生を切り拓くブログ道。

自民総裁選とテレビ報道-この大騒ぎぶりは何なのか-

2007-09-23 02:10:40 | 国内報道
自民総裁選とテレビ報道
この大騒ぎぶりは何なのか

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 テレビの自民党総裁選報道の大騒ぎぶりはなんなのでしょう。連日、どのチャンネルでも福田康夫、麻生太郎両候補のその日の動向が事細かに報じられる。まさにテレビジャック状態です。

 参院選に敗北しても、続投を決めた安倍首相が、所信表明の直後に政権を投げ出すという前代未聞の異常事態です。なぜこういう事態を招いたのか、まず自民党として謝罪し、国民に明確にすることが当然でしょう。この肝心な問題をすり抜け、「福田か麻生か」を演出する自民党総裁選は“虚偽の争い”としかいいようがありません。

選択を迫る
 この点でテレビの基本的スタンスが厳しく問われます。自民党のスケジュール通りに総裁選になだれ込み、連日「福田か麻生か」と視聴者に選択を迫るような放送をたれ流すことではないはずです。

 しかし、実際は―。NHKは十五日午前の総裁選受け付けの生中継に始まり、昼は両候補の共同会見を一時間にわたり報道、夜には総裁選特集。十六日の「日曜討論」は二人の生討論、午後は「立会演説会」生中継と、自民党のスケジュールどおり逐一報道します。東京・渋谷、大阪、高松の合同演説も、外国特派員協会での会見も細大漏らさず放送。その後のそれぞれの行動もニューストップで指定席のように伝えています。

違いはない
 民放も似たりよったり。「福田VS麻生勝つのはどっち」「政界サラブレッドの一騎打ち」と競馬レースのような報道がほとんどです。しかも、候補者自身が「違いはない、同じ自民党ですから」と語るように、ほとんど違いのない両者の話を、連日報じているのです。参院選の審判をどう受け止めるか、民意にどう応えるのか、安倍辞任の異常事態をどう説明するのか―。テレビ局がこれを問わないのではジャーナリズム失格です。

 自民党のプロモーションビデオのような映像を流し続ける一方、必要な情報は国民に知らせていません。改憲をたくらむ安倍政権は五月の国会で改憲手続き法を成立させました。しかし福田、麻生の両氏に憲法問題の姿勢をただした番組を知りません。麻生氏がかつての侵略戦争を肯定する「靖国」派の中心人物であること。福田氏が自民党の九条改憲案を作った責任者であることなどは、国民としても無関心でいられない情報です。麻生氏の「キャラが立ちすぎ」など表面的なことは繰り返しますが、総理の資質を問う作業をしていません。

 安倍辞任による政治空白は国民に被害を与えています。テレビは、この大被害を不問にし、自民党という一政党の、結果の見えた選挙を国民的大イベントに仕立て上げ、この空白を埋めてみせたのです。政治的公平を定めた放送法や放送基準に照らしても問題です。

 六年前、同じことがありました。当時の森政権は「神の国」発言や、えひめ丸と米原潜の衝突事故の対応を批判され、支持率は一ケタに落ち込んでいました。その自民党を救ったのは総裁選報道でした。小泉純一郎、橋本龍太郎、亀井静香、麻生太郎氏の争いに、田中真紀子氏が小泉支持で参戦。テレビは「純一郎、真紀子フィーバー」を演出しました。二人の強烈な個性があったとはいえ、熱狂的な報道がなければ小泉政権の誕生はなかったはずです。

反省どこへ
 そして二年前の郵政解散選挙。テレビは、刺客だ、ホリエモンだと追いまわし、「改革派」「抵抗派」の二項対決をあおり、自民党勝利に「貢献」しました。このとき多くの放送人から「自民党の広報戦略に乗せられた」と反省の声があがりました。その反省はどこへいったのでしょうか。

 テレビ報道が政治に与える影響はきわめて大きい。新しい政治への国民的模索が始まっている時代、テレビには国民の目線で政治を探求する報道を期待したいものです。(荻野谷正博

(出所:日本共産党HP 2007年9月22日(土)「しんぶん赤旗」)
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欧米諸国の放送制度は?

2007-09-14 00:07:50 | 国内報道
欧米諸国の放送制度は?

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 〈問い〉 NHKは受信料をとっていますが、欧米諸国の放送制度はどうなっていますか?(岡山・一読者)

 〈答え〉 放送事業体は、受信料を主要な財源とする公共放送と、国の直接管理のもと、税金による政府資金で運営する国営放送、広告(CM)料に負っている民間放送(商業放送)の三つに分けられます。

 欧米諸国の放送制度は、公共放送と商業放送の二元制が多数です。アメリカは8割が商業放送で、残り2割の多くが地域公共放送で、寄付や視聴料、政府補助などで運営されます。

 フランスの公共放送には05年に視聴覚受信料という名の税金が創設され、受信料は住民税徴収の際に一括して徴収されるようになりました。ドイツ、イタリア、スイスなどの公共放送は受信料以外に広告料収入を得ています。

 視聴者の受信料が事業収入のほとんどを占めるNHKとイギリスのBBCは、本来のあり方を維持している代表的な公共放送といえます。政府や財界、特定の団体の干渉を受けずに放送することができます。

 BBCの場合は受信許可料といいます。支払いが法律で義務付けられ(支払い義務制)、払わないと罰則があります。BBCは、過去に何度か民営化の危機がありました。ブレア政権ではイラク戦争における政府の情報操作をめぐる報道に絡み、BBCの解体が叫ばれました。BBCは「真実と正確さ」「独立性」など自らの価値を前面に出すことで国民の支持を築き、危機を乗り越えました。その結果、受信許可料納入者の1割が倍額の支払いを申し出たといいます。

 一方、NHKの場合は「放送法」で、国民がNHKと受信契約を結ぶことを義務づけています(契約義務制)が、受信料についてはNHKの放送受信規約に定められ、不払いへの罰則はありません。各国の公共放送がほとんど例外なく支払い義務制をとるなかで、日本の契約義務制は視聴者の信頼を支えにした類例のない制度といえます。

 受信料制度は、1950年制定の「放送法」で導入されました。戦前のNHKが国家管理に組み込まれ、国営放送の役割を果たしたという苦い経験を繰り返さないために、視聴者主権の理念の上に立って制定されたのです。当時、郵政官僚として放送法制定にかかわった荘宏氏は、著書でこう述べています。

 「(支払い義務制では)受信者は単に金をとられるという受身の状態に立たされ、自由な契約によって、金も払うがサービスについても注文をつけるという心理状態からは遠く離れ、NHKとしても完全な特権的・徴税的な心理になりがちである」

 政府は戦後の放送法制を解体し、放送法に受信料の支払い義務を盛り込もうとしています。与党内で調整がつかず4月、国会に提出した放送法改定案では見送られました。(板)

(参考文献・NHK放送文化研究所編『データブック世界の放送2007』、松田浩『NHK』、荘宏『放送制度論のために』)

(出所:日本共産党HP 2007年9月13日(木)「しんぶん赤旗」)
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総務相が脱法的番組チェック

2007-06-14 07:21:30 | 国内報道
総務相
脱法的番組チェック
吉井議員 日常化の実態を追及

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 放送への政府の介入を盛り込んだ放送法改定案が国会で審議されるなか、総務相による脱法的な“番組チェック”が日常化している実態が明らかになりました。十二日の衆院総務委員会で、日本共産党の吉井英勝議員が取り上げたものです。

 過去五年間、電波法八一条に基づいて、総務相が放送局に対して「報告」を求めた事例は、関西テレビの「あるある大事典」番組ねつ造(二〇〇七年一月)など五件。その後、総務省はそれぞれに「厳重注意」などの行政指導を行っています。

 他にも、放送法三条の二(事実を曲げない)や同三条の三(自社の番組基準)に違反したとして、総務相が行政指導を行ったのは二十三件にのぼります。吉井議員の質問にたいして総務省は、いずれも「放送内容について事業者から報告を受けて指導を行った」ことを認めました。

 吉井議員は、電波法八一条は、混信を起こすなど放送局の技術的能力に問題がある場合に報告を求めるものであることを示し、「電波法八一条を根拠に報告や調査を行うのは筋違い」と批判しました。

 放送法五三条の八に資料請求の条項があるのにもかかわらず使えなかったのは、「この条項自体が、政府が放送に不当な干渉をすることができないよう規定してあるからだ」と指摘。これまで総務省が放送局に行ってきた脱法的チェックの記録を提出するよう求めました。

 また、吉井議員は国会議員の要求で総務省が番組のチェックをしているとマスコミが報じた問題をただしました。総務省は「議員であっても一般視聴者であっても話を聞く」と事実上、政治家の求めでもチェックしていることを認めました。

(出所:日本共産党HP 2007年6月13日(水)「しんぶん赤旗」)
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税金で政党CMー電通・博報堂が受注トップー

2007-06-02 11:37:09 | 国内報道
税金で政党CM
自民・民主とも 100億円超
電通・博報堂が受注トップ

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 「政府広報」を二社で六割近く、ほぼ独占的に受注している「電通」(東京・港区)と「博報堂」(同)が、国民の税金である政党助成金を使った自民、民主両党の「宣伝事業」も多額に請け負っていることが、一日、わかりました。日本共産党の吉井英勝衆院議員が「政党交付金使途報告書」で調べたもの。

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 使途報告書によると、自民党は二〇〇一年―〇五年に七百六十四億円の政党助成金を受け取っています。このうち、テレビコマーシャル費用などの「宣伝事業費」がしめる割合は17・9%で百三十六億八千九百万円を支出。電通への支出は、ほぼ二割(19・6%)の二十六億八千万円にのぼります。以下、「アイアンドエス・ビービーディオ」六億三千四百万円(4・6%)、「アサツーデイケイ」三億七百万円(2・2%)など。

 一方、〇一年―〇五年に五百三億八千八百万円の政党助成金を受け取っている民主党は、「宣伝事業費」が23・7%を占め、百十九億五千八百万円を支出しています。発注先は、博報堂が七十三億三千五百万円(61・3%)で断然トップ。読売広告社の十五億五千百万円(13・0%)、電通グループの十億八千四百万円(9・1%)を大きく引き離しています。

 自民、民主両党とも政党助成金の二割前後を「宣伝事業費」に使い、その宣伝を、自民党は電通、民主党は博報堂にそれぞれ依存していることがわかります。

電通・博報堂―――――
政府広報も“独占”
 
吉井議員は五月十一日の衆院内閣委員会で、内閣府政府広報室が新聞に掲載する「政府広報」の広告掲載業者との契約問題をとりあげ、二〇〇一年―〇五年度までの契約総額百三十二億二千八百万円のうち、電通が四十九億七千四百万円で全体の37・6%、博報堂が二十四億七千万円で18・7%にのぼることを明らかにしました。

 吉井議員によると、電通には、内閣府の経済社会総合研究所次長はじめ十二人、博報堂には、同研究所の総括政策研究官はじめ五人の天下り(〇六年四月時点)があります。(本紙五月十二日付既報)

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政治関与は重大問題
 
吉井英勝衆院議員の話 国民の税金=政党助成金が、電通や博報堂の利益の源泉になっているという問題です。

 五月十一日の内閣委員会で取りあげたように、電通などの広告掲載業者が政府企画のタウンミーティングから政府広報、政府の新聞広告の仕事をほぼ独占的に請け負っています。これは、広告掲載業者によるテレビを含むマスコミへの広告料収入を通じた影響力の行使、いわば、政治関与という問題として、日本の民主主義にとっても重大であり、引き続き追及していきたい。

(出所:日本共産党HP 2007年6月2日(土)「しんぶん赤旗」)
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放送の独立 世界の流れ-日本共産党・吉井議員 政府の介入を批判ー

2007-05-19 21:28:30 | 国内報道
放送の独立 世界の流れ
吉井議員 政府の介入を批判

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 放送を政府から独立させるにはどんな仕組みが必要か。十八日、衆院総務委員会で質問に立った日本共産党の吉井英勝議員が提起しました。政府が国会に提出した放送法「改正」案が、放送内容への政府の介入につながる条項を含んでいることから、この問題を取り上げました。

 吉井議員は、「放送への政府の介入に対して、国際的にはそれを防ぐ工夫がなされている」と述べました。アメリカのFCC(連邦通信委員会)やイギリスのOFCOM(通信庁)、フランスのCSA(視聴覚最高評議会)などを挙げ、OECD(経済協力開発機構)加盟国三十カ国のうち二十六カ国が「政府から独立した規制機関」だと指摘。「OECD加盟国では、政治からの独立を保障する制度を作り上げている。放送法改正で政府の介入権限強化を考える前に、日本の大臣独任制がふさわしいか、真剣に考えるべきだ」と迫りました。

 菅義偉総務相は「各国の行政機関のあり方は、歴史的経緯や政治体制、事情によってさまざま。現在の独任制が適当」と答弁。吉井議員は「放送の政治からの独立は世界の流れ」とのべ、OECD加盟国の放送行政機関の調査を要求しました。

 吉井議員は二〇一一年のアナログ放送停止問題を取り上げました。政府は、一一年までに一億台のアナログテレビがすべてデジタルテレビに買い替えられる、としてきました。吉井議員は、業界がデジタルテレビの一億台普及は不可能で、アナログテレビが千四百二十八万台残ると予測していることを示し、「達成不可能と突きつけられているに等しい。アナログ放送停止を再検討するように」と強く求めました。

(出所:日本共産党HP 2007年5月19日(土)「しんぶん赤旗」)
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政府広報・電通が契約額の4割ー日本共産党・吉井衆院議員 裏に天下りの構図ー

2007-05-13 07:58:22 | 国内報道
政府広報
電通が契約額の4割
吉井議員追及 裏に天下りの構図

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 内閣府政府広報室が新聞に掲載する「政府広報」の広告掲載業者との契約で、電通が契約額全体の約四割を占め、実質上「政府広報」を独占受注している実態が十一日の衆院内閣委員会で明らかになりました。日本共産党の吉井英勝議員の調査によるものです。

 それによると、二〇〇一年度から〇五年度までの新聞の「政府広報」の契約総額約百三十二億三千万円のうち、電通は約四十九億七千万円で全体の約38%にのぼりトップ。二位の博報堂は約二十四億七千万円・約19%で、そのほかの会社の割合はすべて一ケタ台です。

 吉井氏が入札予定価格の開示を求めたのに対し、政府広報室の高井康行室長は「一般競争入札をしている」と釈明し、開示を拒みました。

 吉井氏は、入札には参加しながら入札を辞退する広告掲載業者が多すぎると指摘しました。同じ〇一年度から〇五年度までで日本経済社は最多の百十一回も辞退。落札件数が少ない会社ほど入札辞退件数が多くなっています。吉井氏は「あまりに不自然だ。電通の一極支配構造を維持するための広告業界ぐるみの談合の疑いがある」と批判しました。高井室長は「辞退理由は入札業者の判断だ」と繰り返しました。

 衆院調査局の調査では〇六年四月時点で、電通に十二人、博報堂には五人が天下っていることが判明しています。吉井氏は談合入札の裏に天下りがあると指摘、「公務員制度改革というなら、そのまえに天下りの実態の徹底的な解明をすべきだ」と強調しました。

(出所:日本共産党HP 2007年5月12日(土)「しんぶん赤旗」)
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自民党・菅総務相:電波利用料値上げ検討 NHK受信料研も設置へ

2007-05-05 19:22:53 | 国内報道
菅総務相:電波利用料値上げ検討 NHK受信料研も設置へ
 
 ドイツ訪問中の菅義偉総務相は4日、同行記者団に、放送事業者の電波利用料を値上げする方向で見直す考えを表明した。菅氏は「受益者負担の関係から、大幅な見直しを図っていきたい」と強調した。またNHKの受信料の引き下げ論議に関連し、受信料支払率の算定基準となる世帯数や事業者数など基本的なデータを検討する研究会を月内にも設置する方針も明らかにした。

 電波利用料は07年度の見込みで、民放とNHKの支払いが約38億円なのに対し、国側の放送関係の歳出は約212億円。菅氏は「放送局は高給だという批判もある」とも指摘し、電波利用料の値上げは可能との認識を示した。

 NHKは07年1月末の推計で、世帯数を約4990万世帯とした上で、受信料支払率を7割としているが、より世帯数が多いデータもある。世帯数が増えれば支払率も低下することから、支払いの不公平感が広がり、受信料義務化の議論に影響する可能性もある。(ウィースバーデン共同)

(出所:毎日新聞 2007年5月5日 1時01分)
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放送法改定案-ニュースもドラマも政府が監視-

2007-04-14 15:20:02 | 国内報道
2007年4月14日(土)「しんぶん赤旗」

放送法改定案
ニュースもドラマも政府が監視

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 放送局への公権力の介入を一段と強める放送法の改定案が六日、国会に提出されました。放送の自由、多様な放送を定めた、現在の放送法の根幹を変更する内容です。その狙い、問題点を探ります。

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 きっかけは今年一月にわかった関西テレビ「発掘!あるある大事典II」のねつ造問題。発覚当初から、菅義偉総務相は厳重処分をする意向を表明。新たな法整備の必要性を強調しました。関テレに対しては、三度にわたって報告書を提出させ、三月三十日、行政指導としては異例の総務相名による「警告」を出しました。

 政府による放送への介入は今に始まったことではありません。近年、放送局に行政指導する例が頻発し、二〇〇五年には四件、昨年は五件出されています。介入の拡大をねらってきた菅総務相にとって「あるある」問題は絶好の機会となったのです。ある民放のOBは「関テレは総務省の放送法改定に利用された」と言い捨てます。

行政自ら判断
 
 菅総務相は今月六日、「(行政処分は)放送局がねつ造したと認めたものに限る」と説明しましたが、法案には明記されていません。さらに、報道・情報、教養、娯楽の別なくすべての番組に適用するといいます。「虚偽の説明」や「事実でない事項」を行政自らが判断し、際限なく放送に踏み込んでくる危険性を内包しています。

 日本弁護士連合会・平山正剛会長は、三月二十八日に談話を発表。「放送事業者に委縮的効果をもたらすおそれが強く、国民の知る権利を損なう」と改定案を批判しました。ジャーナリストの原寿雄氏は、一日、大阪で開かれた「あるある」問題を考える市民集会で「法案が成立すると、介入が法的に保障されてしまう」と警告しました。

 改定案からは、NHKに対し、政府の影響力をより強めようとしている意図も読み取れます。

動き出す市民
 
 そんな政府の動きに対して、放送界や市民が自主的・自律的な解決に向けて歩み出しています。NHKと日本民間放送連盟(民放連)でつくった第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」は三月七日、ねつ造問題の対応策を発表。放送局への調査や報告を求める権限を持つ、機能を強化した委員会を五月に発足させます。三月十六日には、メディア研究者やジャーナリストら十人が呼びかけ人となって、政府から独立した行政委員会の設立を求めました。

 民放連の広瀬道貞会長(テレビ朝日会長)は四月六日、新たな行政処分は「報道と表現の自由という市民社会の基盤を損ない、豊かな番組づくりを阻害する」として反対を表明。「自主的に再発防止に取り組む」ことを強調しています。

(出所:日本共産党HP 2007年4月14日(土)「しんぶん赤旗」)
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自公政権が国会に提出する放送法改定ー放送を国家権力が統制する危険ー

2007-04-12 21:23:29 | 国内報道
主張
放送法改定
放送を国家が統制する危険

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 安倍内閣が放送法の改定案をまとめ、国会に提出しました。

 テレビやラジオなど国民だれもが接することができる放送は、政府や権力の規制を受けず、言論・表現の自由が確保されていることが重要です。今回の改定の背景となったのは、関西テレビ・フジテレビの番組「あるある大事典」のデータねつ造などの問題ですが、放送事業者にきびしい倫理が求められることと、政府がそれを口実に放送に介入することとは、まったく性格が違います。放送内容への政府の介入拡大は、放送を国家が統制する危険を持ちます。

総務相主導の改定
  
 この間の経緯を見ると、政府の介入を拡大する放送法改定案づくりは、菅義偉総務相の主導でにわかに持ち出されたものです。

 改定案には、ねつ造などがあった場合、総務相が放送局に再発防止計画の提出を求め、意見を付けて公表する行政処分を導入しました。問題がある番組と判断するのも、再発防止計画を点検するのも総務相です。これでは、総務相が放送内容をチェックできる権限を与えられることになり、検閲にもつながります。

 現行の放送法・電波法は放送局の施設などが基準に反した場合は電波停止や免許取り上げとなっていますが、放送内容に関して処分するのは異常です。今回の改定はそれを制度化しようとねらうものです。

 菅総務相は昨年NHKの国際放送にたいし、放送法にもとづいて、拉致問題を取り上げるよう、「命令」を出しました。改定案ではこの命令放送についても、「命ずる」を「要請する」に変えて残し、「NHKはこれに応じるよう努めるもの」を付け加えました。総務相の要請に、NHKが従うことを明文化したものです。

 戦前の放送が、政府とくに軍部の支配下に置かれたことを踏まえ、戦後定められた放送法は、放送は国民に貢献するものであること、そのために表現の自由が確保されなければならないことを規定しています。放送法成立までの国会の論議では、放送が国家や権力の支配を受けることがないようにするのが放送法の主眼であり、当時の大臣もそれが新憲法の精神と答弁しています。今回の放送法改定は、それを根底から掘り崩し、国民の知る権利を侵すものです。

 放送はジャーナリズムとして権力を監視する役割をになうとともに、娯楽の手段としても、その機能を発揮する社会的な責任を負っています。視聴者から俗悪低劣とか人権侵害だという批判を受けたり、公正・公平に欠けることがあってはならないものです。ましてや番組データのねつ造など、論外です。

 表現の自由は、裏返せば放送の自主・自律です。送り手の放送関係者、とくに経営陣は自らが決めた放送基準を守って臨むことが必要です。

国民の信頼こそ重要
 
 「あるある」のねつ造では、NHKと民放連の第三者機関である「放送倫理・番組向上機構(BPO)」が、再発防止のために権限を強化した新委員会を五月に発足させると発表しました。いま必要なのはこうした自主的努力を強化することです。

 現行の放送法の意義を認めた上で、メディア関係者、学者、研究者、市民から放送改革のための問題提起が出ています。一つは、視聴者の視点で放送制度を問い直そうとする議論、もう一つは、独立行政委員会に放送行政を委ねる提案です。

 政府の介入を強化する放送法改定を許さず、国民参加の議論で放送の将来を決めていくことが大切ではないでしょうか。

(出所:日本共産党HP 2007年4月12日(木)「しんぶん赤旗」) 
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放送法等の一部を改正する法律案の提出について-社民党・又市征治参院議員の談話ー

2007-04-10 01:24:19 | 国内報道
放送法等の一部を改正する法律案の提出について(談話)
社会民主党幹事長
又市征治

 本日、政府は放送法等の一部を改正する法律案を決定し国会に提出した。大きな焦点とされたNHK受信料の義務化問題は見送られたが、NHKガバナンスの強化、ねつ造番組を流した放送局への行政処分の新設、認定放送持株会社の導入、命令放送の見直しなど多岐の論点にわたる内容となっており、拙速な審議は認められない。


 NHKのガバナンス面の改革策として、経営委員会の監督権限の強化や一部委員の常勤化、外部監査制度、監査委員会の設置なども盛り込まれる。しかし、放送法を所管する行政当局が放送メディアのガバナンスに次々と介入しようとしてきてよいものかどうか。NHK自体の改革は必要だが、今回の手法は、政府の意向がNHKに強く反映される可能性がある。


 大きな焦点として浮上してきたのが、行政処分の新設である。民放の番組ねつ造問題を受け、「虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解させるような放送」をして「国民経済または国民生活に悪影響」を及ぼしたと認めた場合、総務大臣が放送局に対して再発防止計画の策定と提出を要求できることとし、提出された計画は総務大臣の意見をつけて公表する仕組みを導入しようとしている。当初検討されていた、業務改善命令などの強い行政処分は見送られたとはいえ、今回の制度についても、判断する主体が行政当局であり、権力が番組内容にまで立ち入ることになり、表現と報道の自由の侵害、公権力の乱用のおそれがある。

 総務省は、新制度について、放送業界の第三者機関である放送倫理・番組向上機構(BPO)が自主的な再発防止策に取り組んでいる間は施行を凍結する方針であると説明しているが、条文自体は新設されることに変わりなく、伝家の宝刀として機能することがメディア規制の強化につながるものとして懸念される。ねつ造や「やらせ」番組等の不祥事については、あくまでも世論の批判とテレビ事業者及び放送業界の自浄努力に委ねるべきであって、政府や行政権力が安易に介入すべきではない。ねつ造の背景にある、番組外注とチェック体制の問題、放送局と制作会社、下請けプロダクション等の格差・上下関係の問題など、放送業界の構造的な問題にもしっかりとメスを入れ、視聴者の信頼回復を図るべきである。


 地上デジタル対策として、認定放送持株会社を導入し、グループ経営をしやすくしようとしている。これによって、キー局と地方局、更にはBS、CSという系列のように、縦方向での「マスメディア集中排除の原則」が緩和され、民放キー局5社を中心にローカル局が番組・ニュースの提供を通じて緩やかに連携する系列放送網に再編を迫る可能性がある。しかし、「マスメディア集中排除の原則」は、地域の特性など多様な言論を保つために特定の企業が複数の放送局を支配するのを防ぐためのものであり、安易な緩和は禍根を残すといわざるをえない。


 命令放送を要請放送とし、応諾義務も努力義務化する。しかし、実質的な中身は変わらない。NHKに対して、法的にも事実上も権力を持つ総務大臣からの要請となれば、条文の内容に関わらず、事実上の義務付けになり、報道の自由を侵害する懸念が残ることには変わりない。


 NHK受信料の支払い義務化は、NHKの受信料引き下げへの対応を見ながらということで今回は先送りになった。そもそも受信料不払い問題、未契約問題の解決のためには、受信料でNHKを支えようという視聴者の意識を培うNHKの努力をおいてほかに方策はない。国民に対し受信料の支払いだけを義務化して、契約者としての権利を与えないようなあり方は認められない。公共放送の根本に立ち返った論議を行っていくべきである。


 拉致問題の命令放送に加え、NHK不祥事や「あるある大事典」問題を契機に、権力側がしきりにメディアへの介入を試みてくる安倍政権の手法はきわめて問題がある。放送法等改正案は、全体として政府・行政によるメディアへの権限が強まる内容になっている。日弁連や自由人権協会、民放連はじめ多くの専門家、メディア関係者、市民団体等から反対や疑問の声が寄せられている。政府・与党はこのことについて真摯に向き合い、慎重に取り扱うべきである。
以上

(出所:社民党HP 2007年4月6日)
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