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未来を信じ、未来に生きる。

今に流されず、正論を認識し、社会貢献していく人生を切り拓くブログ道。

ある庶民のNHK番組への意見、質問例。

2008-06-01 11:32:43 | 国内報道
NHK解説委員 景山日出夫様
   同     飯野奈津子様
*5月18日付け日曜討論、
*「おはようコラム『高齢者医療見直しで・・・』」-景山日出夫氏
*時事公論『年金試算と制度改革の課題』   ―飯野奈津子氏   に関連して

 5月18日付けの日曜討論視聴しました。また、お二人の上記投稿論文、読ませていただきました。その上で、下記の質問、意見をお届けします。

1.先ず第一に、日曜討論はなぜ、自民党、民主党の幹事長のみで行われたのでしょうか。これでは、二党以外の政党の意見が、視聴者には届きません。また、二党以外の政党支持者の意見も、番組に反映されません。
多分お答えは、二大政党が、他の少数政党の勢力と圧倒的に差があり、二大政党の幹事長の討論で、現時点での民意はほぼ代表されていると考えたからだとお答えになるかと思います。もしそうであれば、根本的に民主主義についての理解が欠けていると言わなければなりません。
「民主主義=多数決」という図式でしか民主主義を捉えておられない事の反映です。これは、最大多数の最大幸福という、ベンサムの理論に基礎をおいた、古典的論拠であり、21世紀の論拠としては、時代遅れと言わなければなりません。
ナチスが政権を奪取したとき、あるいは大政翼賛会が組織された時、それらに反対した人々の意見や人格はどのような扱いを受けたでしょうか。その時の多数派と少数派との意見のどちらが正しく、どちらが間違っていたのでしょうか。歴史の審判は明らかです。しかも、その時少数意見は圧殺され、抹殺されたのです。
ここから出てくる結論は「民主主義=少数意見の尊重」と言うことであり、これが第二次世界大戦を防ぎ得なかった、文明社会の結論だと言わねばなりません。NHKをはじめ、報道機関の戦後の反省は、ここに基礎をおいているのではないでしょうか。
百歩譲って、一般マスコミは、スポンサーの意向、及び視聴率に顧慮しなければならないと言う側面があるとしても、NHKには、それらからフリーの立場を保障すると言うのが公共放送のあり方であり、日曜討論はその立場で運営されなければなりません。
二大政党制も、その立場から見た時、明らかに間違いであり、今、ようやく各方面から、見直しの意見が出始めているのは、正しい方向への回帰といえます。

2.それでは、何も決らず、一定の議論の後、多数決に従うというプロセスを取る以外道はないではないかとの意見があるでしょう。しかし、その前提には、少数意見が徹底的に尊重されているという条件が必要です。
しかし、現実の政治の世界では、二大政党による多数決の強行と、物理的抵抗の応酬であり、論議を尽くして、より正しい結論に接近するというプロセスとは程遠いのが現状です。政治の世界がそうであれば、より一層、言論の世界では、少数意見を尊重し、論議を尽くして正しい結論に達するための道筋を見出さなければなりません。
その立場より、現在のマスコミの現状をみますと、前述の厳しい制約条件があるにもかかわらず、民間報道機関の方が、より民意を反映している事例も数多く存在します。
NHK解説委員会の厳しい、自己点検を求めたいと思います。

3.上記で指摘したNHKの報道姿勢は、日曜討論の討議の進め方や、お二人の主張しておられる論考にも、反映しています。
高齢者医療をどうするか。持続的で安定的な年金制度をどう再構築するかは、まさに国民的課題です。しかし、国会討論でも、日曜討論でも、お二人の解説的論考からも、国民を納得させる議論は見えてきません。
現在の二大政党や、お二人の論説姿勢の示す解決の道筋と、国民の世論の示す解決の道筋とは、大きく食い違っています。

雑誌「世界」3月号掲載の、山口二郎氏と宮本太郎氏による「日本人はどのような社会経済システムを望んでいるか」との論文の中に示されているアンケート結果によると、
日本の国家のあり方として、
アメリカのような競争と効率を重視した社会を望むものは、(わずかに) 6.7%。
北欧のような福祉を重視した社会を望むものは          58.4%、
かつての日本ような終身雇用を重視した社会を望むものは     31.5%
社会保障の財源として
    消費税の引き上げは止むを得ない                17.5%
    消費税ではなく、法人税や裕福な人や企業に負担させるべき    35.4%
    行財政改革を進めるなど国民の負担を増やす以外の方法をとるべき 44,0%
となっています。
ここでは、小泉、安倍政権の目指した競争と効率を重視した構造改革路線は明確に否定されています。
また、社会保障の財源として、消費税の引き上げは止むを得ないとしたものは、17.5%にとどまっています。行革等、無駄を省くことをあげているのは44.0%であり、民主党の主張をある程度裏付けています。しかし、消費税ではなく、法人税や所得税など裕福な人や企業に負担させるべきとしたものは、35.4%に達しているにも拘わらず、二大政党の主張の中にも、お二人の論旨のなかにも入っていません。

4.更に、朝日新聞の世論調査によると、憲法9条は変えない方が良いは、66%に達しており、変える方が良い23%の3倍近くに達しています。これは間接的な世論調査ですが、軍備増強は望ましくないとの判断の意思表示であると受け止められると思います。5月11日(日)のANNテレビのサンデープロジェクトでは、四川省地震で大勢の被害を出した学校倒壊に関連して、日本でも、阪神・淡路大震災の教訓があるにもかかわらず、小中学校の耐震化率は都道府県による差があるが、おおよそ5割前後であることが示されました。国民の生命、財産、福祉を守り、充実させるのに、1兆乃至は2兆円~1千億乃至は2千億円を、軍備増強に回すべきか、医療、福祉、教育に回すべきか、是非NHKでもアンケート調査を実施してほしいと思います。恐らく、国民の多くは、医療、福祉、教育の充実の方を選ぶと思われます。
さらに、アメリカ、ロシア、中国などの軍事大国に、現在五位に当たるとされる同じく軍事大国日本からの、平和憲法の世界化を目指す提案を行うべきだとの主張につながります。
これらの主張も、二大政党の政策や、お二人の論考の中からは、すっぽりと抜け落ちています。ここでは、二大政党の主張や、お二人の解説委員と、国民の主張との間に明確なねじれが存在しています。
それらの意見は、少数政党によって、一部主張されています。このことからも、二大政党のみの「与野党討論」が国民の民意の実態とかけ離れていることを如実に示しています。

5.最後に、今後膨大な軍事予算を必要すると予測される「宇宙基本法」が、衆参それぞれわずか2時間の委員会審議で、5月21日成立し、憲法9条を実質的に骨抜きにする可能性のある、自衛隊海外派兵恒久法も、二大政党の合意を目指しつつ、進行しようとしています。これら、今後国民生活に大きな影響を与える法案についても、国会の場での審議は極めて不十分です。公共放送であるNHKが、他の報道機関に先んじて報道すべきだと思います。

以上の諸点について、お二人のご見解を承りたいと思います。なお、以上の私の意見と、お二人からのご回答は、私のブログで公開し、他に採択してくれるメデイアがあれば、投稿致したいと考えております。なお、お二人のご回答の部分の公開については、お二人のご意向を入れて、検討したいと考えております。

(出所:http://blog.goo.ne.jp/biwalake)
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「慰安婦」番組の改ざんでNHKは編集権乱用かー最高裁で弁論 市民団体が主張ー

2008-04-26 01:40:45 | 国内報道
「慰安婦」番組の改ざん
NHKは編集権乱用
最高裁で弁論 市民団体が主張

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 日本軍の「慰安婦」問題を取り上げたNHK番組が政治的圧力で改ざんされたとして、取材協力した市民団体バウネットがNHKと制作会社二社に損害賠償を求めた訴訟の上告審口頭弁論が二十四日、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)で開かれました。

 NHK側は「憲法二一条の保障のもとにある報道の自由は、国民の知る権利に奉仕するものであり、軽々に制限されてはならない」として、取材を受ける側の「期待権」を認めた東京高裁判決の破棄を求めました。

 原告のバウネット側は安倍晋三官房副長官(当時)が、NHK上層部に「公正中立な番組を」と明言したあと、番組の異常な改変が行われた事実を示し、「編集権を乱用、逸脱したものだ」と訴えました。

 弁論後、バウネットは報告集会を開き、共同代表の西野瑠美子さんが、「NHKは一般論としての『表現の自由』を主張することで、あたかも自分たちが被害者であるかのような弁論をしています。国民の『知る権利』を侵害したのは誰か。公正な判決を求め、最後まで頑張っていきたい」と支援を求めました。

 一審判決はNHKの賠償責任を否定しましたが二審はNHKに、「期待権」の侵害と「説明義務」違反があったとして損害賠償を命じました。

 同小法廷は判決期日を六月十二日に指定。判決では、期待権などについて最高裁の初判断が示される可能性があります。

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解説
「報道の自由」誰が奪った
 NHK側の弁論で奇異に感じられたのは、一言も政治家の関与について触れなかったことでした。NHKが展開したのはあくまで一般的な、憲法上の「報道の自由」の位置づけでした。

 番組がどのような経緯で、日本軍の元加害兵士や、元「慰安婦」の証言を消すことになったのか。放送前から自民党の国会議員の中で同番組が話題になっていたことも、放送前日に国会担当局長と放送総局長が安倍官房副長官(当時)に面会に行った事実も、一切触れず。弁論は空疎で、視点をずらそうとの明確な意図が感じられました。

 しかし、番組をとりまく状況が「極めて異常な状態」だったことは、首相官邸に出向いた国会担当局長自身が、法廷で証言したことです。高裁はこうした「特段の事情」を背景に、「期待権」を認めたのでした。

 一方で、NHKは「報道の自由は、憲法的次元のもので、時に国家的利益と拮抗(きっこう)するほどの重要性を有するもの」と陳述しました。それならなぜ番組改変の過程でも国家的利益と拮抗し、自主自律を貫かなかったのでしょう。

 報道の自由を奪ったのは、取材に全面協力した原告ではなく安倍氏ら自民党の政治家であり、その結果として国民の知る権利までも奪ったことを、NHKは直視すべきです。(板倉三枝)

(出所:日本共産党HP 2008年4月25日(金)「しんぶん赤旗」)
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「光市母子殺害」放送は視聴者の知る権利を大きく阻害するーBPOの放送倫理検証委員会が意見書ー

2008-04-18 01:05:22 | 国内報道
倫理検証委
市民の知る権利阻害
「光市母子殺害」放送 NHKなどに意見

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 BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は十五日、山口県「光市母子殺害事件」の差し戻し控訴審を報じたテレビ番組について、「被告・弁護団」対「被害者遺族」という対立構図を感情的に描き、「視聴者の知る権利を大きく阻害する」とした意見を発表しました。NHKと在京民放キー五局に意見を手渡し、自主的な検証と報告を求めました。

 同委員会は、二〇〇七年に放送された光市事件関連の三十三番組(八放送局)を検証し、番組制作スタッフから聞き取り調査を行ってきました。

 意見では、「集団的過剰同調番組」とも呼ぶべき横並びな番組づくりに憂慮を表明。裁判制度に照らして見るとき、その際立った特徴として(1)被告と弁護団に対する反発や批判の激しさ(2)弁護団が法廷を勝手に動かしているイメージを強調するなど、裁判所や検察官の存在の極端な軽視があるとのべています。

 「背景に、番組制作者に刑事裁判の仕組みについての認識が欠けていた」と指摘しました。

 また、被告人の報じ方についても「断片的で一面的」であるうえ、スタジオの司会者やコメンテーターが「被告・弁護団を強く非難し、被害者・遺族に同情・共感を示す―その繰り返しが基本になっている」と批判。「公正性・正確性・公平性の原則を十分に満たさない番組は、視聴者の事実理解や認識、思考や行動にもストレートに影響する」と警告しています。

 記者会見で川端委員長は「来年の五月に一般市民が参加する裁判員制度が始まるが、もし、テレビが不当な影響を与え、誤った裁判が行われれば重大な問題になる。これを機会に、自局の番組をよく検討してほしい」と語りました。

(出所:日本共産党HP 2008年4月16日(水)「しんぶん赤旗」)
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ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映問題

2008-04-14 13:35:01 | 国内報道
「靖国」上映中止:「圧力」じわじわと 週刊誌報道、議員向け試写きっかけに

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映を予定していた東京、大阪の5館(4社)が相次いで中止を決めた。映画館側は今月12日の封切りを控え、なぜ断念したのか。経緯を検証した。【臺宏士、本橋由紀、鈴木隆】

 ◆街宣、怖がるスタッフ

 「現場は若い女性スタッフばかりだ。彼女たちは携帯電話の着信音にも右翼団体が来たのではないかとおびえる状況だった。しかし、会社としては上映を支える人的配置は困難だった」。「靖国」の上映中止を決めた「銀座シネパトス」。運営する「ヒューマックスシネマ」(東京都新宿区)の担当者は、苦渋の選択だったことを強調した。

 同社によると、右翼団体が、映画館周辺で初めて街頭宣伝活動を行ったのは先月20日午後。3人が乗った1台の街宣車が映画の上映中止を訴えた。22日にも別の団体が来た。いずれも文書での申し入れはなかったが、98年公開の「南京1937」が街宣活動のため相次いで中止に追い込まれたケースを挙げ「同じようになる」と主張したという。脅迫めいた抗議電話もあった。同社は26日、配給協力・宣伝会社「アルゴ・ピクチャーズ」(港区)に上映中止を申し入れ、ポスターも取り外した。その日、別の団体が来たが、中止決定を告げると引き揚げた。

 同社関係者は「過剰な自粛と言われるが、安心して上映できる環境を確保できなかったことに尽きる。昨年、試写を見たときは中止に追い込まれることは想像もしなかった。『反日』という言葉が独り歩きしている気がする」と明かす。

 ◆「近隣の施設に迷惑」

 最も早く上映中止を決めたのは、東京・新宿の「バルト9」を運営する「ティ・ジョイ」(中央区)。同社は「番組編成上の総合的な判断」としているが、自民党の稲田朋美衆院議員らの意向を受ける形で、アルゴが先月12日に国会議員向け試写会を開いた直後だった。アルゴ側は「右翼団体の街宣車が来る恐れがある。映画館は、商業地の真ん中にあり、近隣施設に迷惑がかかる、という説明だった」と明かす。銀座シネパトスと異なり、右翼団体などからの具体的な抗議はないという。

 「Q-AXシネマ」(渋谷区)も「直接的な抗議や特定の団体、個人などからの働き掛けはなかったが、商業施設として万一のことがあってはならない。上映中止は初めてだがやむを得ない」とコメントする。

 「シネマート」を東京、大阪で運営する「エスピーオー」(港区)は今月1日、ホームページに経緯を説明する文書を掲載。国会議員による試写会後にアルゴ側に「安全な上映環境の整備」を申し入れたが「中止にすることで了承を願いたい」と申し出があったとしている。これに対し、アルゴは「エスピーオーは、左右両派を招いた試写会を開くことなど実現が難しい条件を提示した」と、ニュアンスが異なる説明をする。両社は公開に向けて話し合いを再開した。

 ◆「表現の自由の担い手」

 上映を予定している新潟市の「市民映画館シネ・ウインド」は、「個人が会費を払って自由を維持している。23年間、公開を中止した映画はない。自粛ムードが全国に広がった昭和天皇の大喪の礼の時も営業した。大丈夫です」と言い切る。同館では、上官の戦争責任を追及する故・奥崎謙三氏を描いた「ゆきゆきて、神軍」(原一男監督、87年)を上映した時も問題なかったという。

 アルゴの岡田裕社長は「映画は上映して初めて事業が成り立つ産業だ。映画館は重要な表現の自由の担い手だ。頑張れるところまで、頑張るべきではないか」と話す。

 上映中止が広がるきっかけになった国会議員対象の試写会は、文化庁が製作者側に打診し、会場を手配するなど深く関与した。公開前の議員向け試写に対しては「事前検閲だ」と疑問の声もある。同庁は「稲田事務所から助成金についての問い合わせがあった際に視聴の要望を受けた行きがかり上だ」(芸術文化課)と説明。今回の対応が中止につながったことについては「心外だ」としている。

 ◇右傾化、戦前の歴史から学べ--ノンフィクション作家・保阪正康氏
 最も懸念されるのは、面倒なことに巻き込まれたくないと言って靖国問題について議論することを敬遠する風潮が日本社会に広がることだろう。

 言論の自由は、新聞記者や作家が書く自由のみでなく、新聞を運ぶ運転手さんや本を販売する書店員の方たちを含めて社会全体に自由が確立されていなければならない。映画館の従業員が圧力団体の脅しにおびえたり、近隣に迷惑をかける恐れがあるから中止するという理由のみを論じたら社会のあらゆる自由はその段階で最初に制約を受けてしまう。

 文化庁は封切り前の映画を、問題視する一部の自民党議員の声に押される形で、事前検閲のような異例な試写会を事実上おぜん立てした。表現の自由の制約についてあまりに鈍感過ぎる。「公開されるので見てください」と断るべきではないか。

 太平洋戦争に至った昭和10年代は、台頭する軍部におもねる言論が増幅していった歴史だ。そういう社会の中であたりまえのことがだんだん発言できなくなった。ときに一部雑誌などで右派の主張が大きく取り上げられる今日、近隣に迷惑がかかるという限定された状況でのみ上映中止問題をとらえると本質を見誤る。社会の右傾化という大状況をどう認識するかの能力が試されている。ただ、上映する映画館が出てきたことは、日本社会にはまだ復元力があるという健全性を示した。

 <映画のあらすじ>

 8月15日。靖国神社周辺は、戦没者を静かに弔うというよりも大勢の参拝者らで喧騒(けんそう)に包まれる。旧日本軍の軍服を着込み、境内で「天皇陛下万歳」と叫ぶ人たち。星条旗を掲げて「小泉純一郎首相を支持する」と靖国参拝に賛意を示した米国人男性は、警察の指導で神社の外に追いやられる。追悼集会に抗議した青年は、支持者に殴られて血まみれに。被害者にもかかわらず、警察官がパトカーに乗せて連れて行く。今回、助成金を問題視した稲田朋美氏が靖国神社参拝を呼びかけるシーンも登場する。

 カメラは、日本在住19年に及ぶ李纓監督が10年にわたり見つめた神社境内の現実を映し出す。「イデオロギー的見方を打ち消すためにナレーションを一切排除」(李監督)する手法が全編を貫く。

 日本刀は靖国神社の「御神体」で、戦前には、境内で「靖国刀」が製作された。作品には90歳の現役最後の刀匠、刈谷直治さんが登場し、李監督によるインタビューが随所に織り込まれる。小泉元首相の参拝を理解し、戦争を否定する刈谷さんの姿を通じ、靖国の魂と日本人の心情に迫ろうと試みる。

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 ■「靖国 YASUKUNI」をめぐる主な動き■

06年10月    文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」の審査委員会が「靖国 YASUKUNI」を製作した「龍影」(ドラゴンフィルムズ)に対して750万円の助成を決める。

07年12月    「週刊新潮」(12月20日号)が「反日映画靖国は『日本の助成金』750万円で作られた」と報道。

08年 2月上旬  東京4館、大阪1館での上映が確定。

      12日 自民党の稲田朋美衆院議員の事務所が文化庁に対して週刊新潮の記事内容の確認と、映画の視聴を要望。これを受け同庁は議員側の意向を仲介する形で、製作した龍影側に上映会の開催を要望。

    3月上旬  東京、大阪の封切りを除く北海道から沖縄までの地方14館での上映が内定。

      12日 配給協力・宣伝会社の「アルゴ・ピクチャーズ」が全国会議員と秘書を対象に試写会を開催。自民、民主党などから議員ら約80人が出席した。

      15日 「新宿バルト9」が中止をアルゴに通告。

      20日 「銀座シネパトス」で、右翼団体が初めて街頭宣伝活動。その後、同22、26日にも別の団体が来る。

      26日 銀座シネパトスが中止を決定。

      27日 参院内閣委員会で、有村治子議員(自民)が助成金支出の妥当性について取り上げる。

      31日 「渋谷Q-AXシネマ」「シネマート六本木」「シネマート心斎橋」が上映中止を決める▽アルゴが東京、大阪の計5館での今月12日の封切り上映の中止を発表▽稲田氏は「上映の是非を問題にしたことは一度もない」とのコメントを出す。

   4月上旬   日本新聞協会、日本民間放送連盟、日本ペンクラブなどが上映中止について懸念を示す談話などを相次いで発表。

       2日 福田康夫首相が「嫌がらせとかの理由で上映中止になるのは誠に遺憾だ」と表明。

       4日 アルゴが5月から東京、大阪を含む17都道府県の計21館で順次、上映すると発表。

(出所:毎日新聞 2008年4月7日 東京朝刊)

「靖国」上映中止:仙台弁護士会が声明「表現の自由尊重を」 /宮城

 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(李纓(リイン)監督)の上映中止が東京や大阪の映画館で相次いだ問題で、仙台弁護士会(荒中(あらただし)会長)は11日会見し、「不当な圧力による上映中止という事態が生じないよう、関係機関に対し、表現の自由を最大限尊重するよう求める」などとする会長声明を発表した。

 声明は同弁護士会の常議員会で賛成多数で採択。問題の発端とされる稲田朋美衆院議員(自民)が文化庁に要請し、上映前に国会議員向けの試写会を開催したことについて「表現行為に対する事前抑制につながる恐れがあり、検閲を禁止した憲法の趣旨に照らし合わせても慎重な配慮が求められる」と指摘。

 さらに、試写会後、上映予定館周辺で街宣活動などがあり、上映自粛が相次いだことを受け、政府と国会に対し、試写会開催の経過とその後の経緯について調査を求めている。

 同映画は今のところ、東北地方では山形、福島、盛岡、青森県八戸の4市の映画館「フォーラム」で上映する予定。【比嘉洋】

(出所:毎日新聞 2008年4月12日 地方版)

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マスメディア時評-読売と産経は、無法な戦争をなお正当化かー

2008-03-23 00:06:06 | 国内報道
マスメディア時評
無法な戦争をなお正当化か

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 アメリカがイラクへの侵略戦争を始めてから、五年になりました。

 開戦から五周年の二十日を中心に、各紙が社説を掲げ、あるいは特集や連載などで取り上げています。共通しているのは、「大失敗をどう克服するか」(「朝日」十八日付)、「不安定さを増した世界」(「毎日」十七日付)、「『誤り』のつけが市民に」(「東京」十九日付)などの社説見出しが示しているように、イラク戦争が出口のない泥沼に陥っていることへの、きびしい現状認識です。

侵略者の論理で
 それにもかかわらず、アメリカが戦争を始め日本が支持したこと自体は、やむをえなかったとして弁護する論調が依然として残っています。代表的なのは「読売」十七日付社説で、大量破壊兵器がなかったのならそれを挙証すれば戦争を回避できたはずなのに、「それをしなかったフセイン政権の側に、戦争を招いた非がある」、国連安保理が機能していなかったのだから、米英が武力行使に踏み切り日本が支持したのは「やむを得ない選択だった」というのがその言い分です。「大義なき戦争」という判断は、「あまりに短絡的」という「産経」二十一日付主張もほぼ同じ立場です。

 一方的に戦争を始めたアメリカの肩を持って、攻撃された方が悪いというのは、侵略する側の論理です。「読売」をはじめ日本のマスメディアの多くは開戦のさい、同じような論理でアメリカを擁護しました。

 実際には、国連の監視検証査察委員会が大量破壊兵器の査察を継続することで事態を解決する見通しを示し、国連安保理はアメリカなどの武力行使容認の要求を拒否していたのに、一方的に開戦に踏み切ったのはアメリカとその「有志連合」です。悪いのはフセインだ、開戦はやむをえなかったと弁護するのは、歴史の事実に反します。

 なぜ五年もの長きにわたって十数万もの大軍がイラクに駐留し大きな犠牲を生んでも、治安の維持も復興の見通しも立たないのか。それは戦争そのものが大義のない無法な戦争でイラク国民の反発を買っているからです。戦争そのものが間違っていたからこそ、暴力の応酬が繰り返されるのです。

 この点では「朝日」社説が、ブッシュ大統領のことしの一般教書演説を引きながら、「この歴史的な大失敗をまだ正当化しようとする人々がいる」と批判しているのは正論です。本来ならアラブ・イスラム世界の支持を得つつ、国際テロ組織アルカイダを孤立させ、追い詰めなければならなかったのに、「敵」を間違えて、アルカイダと無関係のフセイン政権を相手に説得力のない戦争を起こしたために、国際社会を分裂させ、穏健なイスラム教徒まで敵に回してしまったという指摘は、説得力があります。

 残念なのは、その「朝日」にも、事態をどう打開するのかという点になると、確かな立場がないことです。

米の消耗を心配
 「朝日」社説は、「この混迷をただすのに特効薬はありそうにない」といいます。「米軍の大部隊が駐留したままでは反米テロはおさまらない。だが、現地が安定しないままでの撤退は、内戦の引き金になりかねない。文字通りのジレンマである」として、「心配なのは…米国自身が消耗していくことだ」「日本にとっても、唯一の同盟国である米国の衰えは好ましくない」と論じます。

 長引く戦争によって最も被害を受けているのはだれよりもイラクの国民ではないのか。イラク国民のことを考えるなら、最優先すべきなのは、無法な戦争をやめ、暴力による応酬をやめることではないのか。その問題には正面から向き合わないで、アメリカと日米同盟への影響を心配するというのでは、事態を打開するまともな立場に立っているとはいえません。

 実はこの「朝日」の立場は、戦争そのものの評価は違っても、「読売」の立場と大きな違いがありません。ずばり「米国の力の低下が心配だ」と見出しを立てた十七日付「読売」社説は、イラクでの戦争をやめさせることは一切言及せず、問題は「イラクの混迷」による「米国の指導力低下」であり、「米国がイラク情勢に足をとられ、東アジアでの影響力が減退していく状況は、日本として看過できない」ので、「日米同盟強化が大事」と結論付けています。

 ここにあるのは、世界でどんな大問題が起きても、日米同盟の立場からしかものを見ず、日米同盟さえ強化すれば安心だという究極の保守主義です。軍事同盟ではなく平和の共同体へという世界の流れに目を向けずこうした論調を繰り返す限り、アメリカのブッシュ政権や日本政府と同じく、日本の巨大マスメディアも、世界から孤立することになるのは避けられません。(宮坂一男)

(出所:日本共産党HP 2008年3月22日(土)「しんぶん赤旗」)
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BPOが霊視番組は倫理違反と発表

2008-01-23 07:29:28 | 国内報道
霊視番組は倫理違反
江原啓之氏出演のフジTV
BPO

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 フジテレビが昨年七月二十八日に放送した「FNS27時間テレビ『ハッピー筋斗雲』」が放送倫理にふれると指摘を受けて審議を重ねてきたBPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会(川端和治委員長)は二十一日、記者会見を開き、同番組は「制作上の倫理に反すると判断した」と発表しました。判断結果はフジテレビに自省を促す「意見」として公表されます。

 同番組は、東北地方で美容院を経営する女性を“ドッキリカメラ”的手法で、自称スピリチュアルカウンセラー(霊能者タレント)の江原啓之氏が「霊視」し、「亡き父親の言葉」を伝えるというもの。その中で江原氏は、女性が取り組んでいる被災者などにリンゴを贈る活動が美容院を経営難にしていると、一方的に断定しています。

 委員会審議の結果、霊能師ありきの企画・構成や、美容院を「経営難」と断定している二点について、「倫理上の疑義がある」と指摘。「放送倫理基準が慎重な扱いを求める『スピリチュアルカウンセリング』なるものを、『おもしろく』見せるために、一方的に出演させた人の生活状況を十分な裏付けも取らずにおとしめている」と判断理由をのべています。

 フジテレビに対しては、「裏づけに欠ける情報の作為」「スピリチュアルカウンセリングの押しつけ」などに自省を求めています。

 フジテレビは同日、「今回の意見書を真摯(しんし)に受け止め、今後の番組制作に役立てていく所存です」とのコメントを出しました。

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解説
“霊”番組への警鐘
 マスコミ界はBPO・放送倫理検証委員会の指摘を、当該番組だけでなく「スピリチュアル」番組全体への警鐘と受けとめるべきです。

 意見書によると、局側が事前に女性に関する片寄った情報を伝え、江原氏はその誤りにも気付かないまま亡父の「言葉」を紹介しています。

 守護霊や先祖霊の言葉は、霊能者がそう「感じた」「思った」だけのもの。それを断定的、短絡的に伝えるところに、一連の番組の共通した特徴があります。民放連の放送基準は「占い・運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない」と述べています。

 全国霊感商法対策弁護士連絡会が昨年二月に節度ある放送を申し入れて以後、一部番組では「科学的に立証されていない」という趣旨のテロップを流していますが、それだけでよいのか。

 弁連は、番組には「霊界や死後の世界を安易に信じこませ」る効果があり、霊感商法などの犯罪を生み出す温床になっていると指摘しました。実際、統一協会は洗脳施設のビデオセンターでこれらの番組のビデオを教材に使っています。占いやヒーリングを看板にして高額商品を買わせたり、法外な「祈祷(きとう)料」を巻き上げる事件も急増。昨年末に発覚した「神世界」は氷山の一角です。

 金銭被害だけではありません。人々の悩みや社会の不安に霊界を使った短絡的な結論を押しつけ、なぜそうなるのか考える努力を放棄させていることです。弁連の紀藤正樹弁護士は「こうした思考放棄を社会にまん延させ、本当の知への努力ができない人たちを大量に生み出す」ことの怖さを指摘しています。

 番組の「癒やし」効果を主張する人もいますが、その「癒やし」は「脅し」と表裏一体です。悩みや不安の原因はなにか。それを科学的に、視聴者とともに検証することこそがメディアの役割ではないでしょうか。(柿田睦夫)

(出所:日本共産党HP  2008年1月22日(火)「しんぶん赤旗」)
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放送法改定 どこが問題か-日本共産党・塩川衆院議員に聞くー

2007-12-15 20:26:43 | 国内報道
放送法改定 どこが問題か
塩川衆院議員に聞く

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 放送の公共性や自主自律等を掲げた放送法が、大きく改定されようとしています。自民・民主・公明の提案により修正され衆議院を通過し、現在参議院で審議中です。総務委員会で質問した塩川鉄也衆院議員に聞きました。

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政府介入の仕組みつくる
 ――日本共産党は、放送法等改定の修正案に反対しました。何が問題なのでしょうか。

 第一は、NHKの経営委員会のあり方を変質させることです。経営委員会は、公共放送の自主自律を守り、独立性を確保するために設けられました。民主的な決定が行える合議制機関として位置付けられています。

 ところが、放送法改定では経営委員の一部が常勤化され、監査委員も兼任し、強い権限を有することになります。非常勤の委員との間に格差を持ち込み、合議制をゆがめることになります。常勤で強い権限を持つ経営委員の任命は、内閣総理大臣が行うことも明らかになりました。NHKに対する政府の介入の仕組みがつくられることは重大です。

 四日の参考人質疑で、この改定で会社法と同じ監査委員会を新設することについて、郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授が「株式会社と公益的な使命を担うNHKとはガバナンスのあり方は違う。個々の職員の努力を生かすあり方を考えるべきだ」と答えました。まったく同感です。

放送事業寡占化の恐れ
 第二に、民間放送局に対して「認定放送持株会社制度」を新たに導入することです。現行の放送法では、表現の自由ができるだけ多くの者に享有され、多様性や地域性を保障するため、放送を一社に独占させないよう「マスメディア集中排除原則」を定めています。新制度はこの原則を空洞化させ、持株会社は複数の放送事業者の子会社化が可能となり、キー局の放送の寡占化・集中化をもたらす恐れがあります。

 また、国際放送の命令制度の問題では、「命令」から「要請」に名前を変えました。しかし、NHKに努力義務を課すなど、政府の介入を排除できません。

政府与党方針の具体化
 ――改定案は「あるある大事典」のねつ造問題をきっかけにした新たな行政処分を導入しようとしましたが、表現の自由を脅かすものとして、反対の声が広がり、修正案で削除されました。これをもって修正案を評価する報道もあります。

 ねつ造は問題ですが、新たな行政処分は政府が恣意(しい)的に運用できるもので、報道と表現の自由を侵害するものです。番組の適正化は、放送事業者の自律、世論の力によって確立すべきで、行政の関与を行う新たな処分の削除は当然です。

 もともと、放送法改定の政府・与党の主な目的は、竹中元総務相の諮問機関「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇)や、「政府与党合意」を進めることです。具体的には二〇一一年のデジタル化に向かって、NHKのガバナンス強化や、民放には認定放送持株会社制度を導入することでした。一部修正がありましたが、大筋はそのままで問題点は残されています。

 ――衆院では、審議はたった六時間で打ち切られてしまいました。国民の多くは知らされないままです。

 放送のあり方を定め、国民にとって大きな影響を及ぼす放送法の審議を短時間ですませてしまうなどは、あってはならないことです。私は反対討論の中で、厳しく指摘し遺憾の意を表明しました。

 論戦の舞台は参議院に移りました。政府案も修正案も含めて放送法改定には反対、廃案にするという日本共産党の考えを国民的にさらに明らかにしていきたいと考えています。

(出所:日本共産党HP  2007年12月15日(土)「しんぶん赤旗」)
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政府介入の仕組み導入する放送法改定ー衆院委 審議は2回 きょう採決ー

2007-12-06 18:38:07 | 国内報道
検証 放送法改定
政府介入の仕組み導入
衆院委 審議は2回 きょう採決

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 放送法改定が、国会で与党と民主が合意し一気に推し進められようとしています。放送の政府からの独立や、言論の自由・多様性を掲げた現行放送法を崩そうとするものと、市民団体やジャーナリストらから声があがっています。放送法改定を検証します。

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 放送の自主自律という放送法の根幹にかかわる改悪が、たった二回の審議で質疑終局となりました。四日の衆院総務委員会では、自民、民主、公明が共同提出した修正案を質疑。自民、民主の大連立の動きのもとで、修正案の合意に至ったものです。修正案は、わずか三時間の審議で六日に委員会採決という猛スピードです。

 傍聴席で審議を見守っていたNHK・OBの松原十朗さんは、「目の前で自公民の『出来レース』を見せられてしまった思いです。言論表現の自由に深くかかわる改悪が、こんなに簡単に決められていいのでしょうか」と怒りをあらわにします。

 改悪の中心は、NHK経営委員会の権限強化を軸にしたNHKのガバナンス(統治)強化です。

 「NHK改革」と称し、NHK職員の不祥事やETV番組への政治介入など国民の不信を逆手にとり、NHKに対する政府のコントロールを強めようとの動きが強まっていました。

 昨年、「規制改革・民間開放推進会議」は「公共放送の在り方の見直し」としてNHK事業の民間開放をうたい、竹中総務大臣(当時)の下での「通信・放送の在り方に関する懇談会」では、経営委員会の抜本的改革を提案。これらは、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」に反映されました。二〇一一年のデジタル化へ向かって公共放送NHKを解体していこうとするものです。その方針を法文上に規定し直したのが、今回の改悪です。

 最大の問題は、NHK経営委員会の権限強化の名の下に、行政がNHKの業務運営に間接介入する仕組みをしいたことです。経営委員会は、戦前のNHKが国策宣伝機関と化したことへの反省から、政府からの独立を保障する機関として設けられたものであり、今回の改悪は経営委員会本来の性格を百八十度変えるものです。

 一方、民放に対しては認定放送持株会社制度を導入し、言論の多様性、多元性をめざすマスメディアの集中排除原則に風穴をあけました。

 日本ジャーナリスト会議など七団体は二日、「原案修正でも行政介入の仕組みはなくなっていない」として、衆院総務委員にアピールを送付。「あくまで反対」と廃案を求めています。

政府与党の「NHK改革」
 「通信・放送の在り方に関する懇談会」、いわゆる竹中懇の最終報告(二〇〇六年六月六日)。冒頭にNHK経営委員会の抜本的改革を置き「監督の中核となるようにすべきである」として「一部委員の常勤化」を例示しています。

 「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」(〇六年六月二十日)「NHKのガバナンス強化に向け、経営委員会の抜本的な改革を行うこととし、一部委員の常勤化」を定めています。

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改定のポイント
経営委の監視色は濃く
 改定案の大きな特徴はNHKの「ガバナンス(統治)強化」を名目にした経営委員会の権限強化です。現行法は一四条で「次の事項は、経営委員会の議決を経なければならない」とし、「収支予算、事業計画及び資金計画」から始まる十三項目を挙げていました。改定案はそれを「経営委員会は次に掲げる職務を行う」としました。「議決」から「職務」へ変えました。政府案は職務の一として「次に掲げる事項の決定」とし十八項目を列挙しました。NHKのすべてを経営委員会が取り仕切る構成です。

 修正案は「事項の議決」としましたが、職務に「会長、副会長及び理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制」などを挙げ、職務の二として「役員の職務の執行の監督」と明記。全体としてNHKへの監視色の濃いものになっています。

監査委が日常業務点検
 経営委員会の権限をさらに強化するのが、経営委員会内への監査委員会の新設です。二三条は「監査委員は、経営委員会の委員の中から経営委員会が任命し、そのうち少なくとも一人以上は、常勤としなければならない。…監査委員はいつでも、役員及び職員に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、協会の業務及び財産の状況の調査をできる」となっています。

 NHKの全職員と経営委員も監査の対象になります。経営委員会は月に二度開かれますが、「常勤」の監査委員は、毎日NHKに来て、役員や職員の職務を点検することになります。

 この三月、当の経営委員会が「常勤委員と非常勤委員との間で情報量の面で格差が生じ、合議機関である経営委員会の独立性と多様性を損なう懸念」という見解を発表しています。

 四日の衆院総務委員会で日本共産党の塩川鉄也議員は「たいへん強い権限をもつ経営委員を常勤として政府・与党が任命する仕組みになっている」と批判しました。

持株会社、キー局が支配
 民放に対して「認定放送持株会社」を新たに設けました。総務大臣の認定を受ければ、一社が複数の放送局を持つことが可能になります。

 現行の放送法は「放送をすることができる機会をできるだけ多くの者に対し確保する」(二条の二)として、「マスメディア集中排除原則」を定め、一社が一つの局しか経営支配できないことになっています。情報の独占や画一化を避け、放送の多様性、地域性を保障するためです。具体的には、他社の株式の保有を一定の割合以下に制限していました。

 地上デジタル化への投資の増大でローカル局の経営が悪化しています。これを口実に「グループ全体の資金調達を円滑に行う」ためとしています。政府与党合意は「マスメディア集中排除原則の緩和」を掲げ、放送を産業として東京キー局の支配を強めようとしています。

(出所:日本共産党HP  2007年12月6日(木)「しんぶん赤旗」)
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衆院総務委員会/放送法改定案の審議開始

2007-11-30 17:27:06 | 国内報道
放送法改定
「報道の自由を侵害」
衆院委で塩川議員 処分規定削除求める

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 通常国会に提出されていた放送法改定案の審議が二十九日、衆院総務委員会で始まりました。日本共産党の塩川鉄也議員が質問に立ち、放送局への公権力の介入を強める新たな行政処分を改定案に新設したことに対し、「報道と表現の自由を侵害する」として、同規定の削除を求めました。

 行政処分は、番組にねつ造が発覚した場合、総務相が放送局に再発防止計画の提出を求め、意見を付けて公表するとしています。今年一月に発覚した関西テレビの「あるある大事典」のねつ造問題を口実にして盛り込まれたものです。

 この運用にあたって増田寛也総務相が「(放送事業者)自らの判断を尊重し、運用を抑制的におこなう」としたのに対し、塩川議員は「その規定を条文に盛り込まないのは、なぜか」とただすと、「社会的要請も考えて、せばめる明文化はしない」(小笠原倫明局長)と答弁。大臣の判断で規定を発動することが明らかになりました。

 総務省が「BPO(放送倫理・番組向上機構)の対策が機能している場合は発動しない」と説明していることについても、塩川議員は「機能しているか判断するのも大臣。行政処分を発動する判断基準が大臣の考えに左右されかねない。きっぱり規定は削除すべきだ」と要求しました。

 塩川議員は「ねつ造問題の背景になっている放送業界の不当な下請けいじめの構造こそメスを入れるべきだ」として、下請取引適正化のためのガイドラインをつくるよう求めました。総務相は「公正取引委員会とも連携して適正に対処したい」と答えました。

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解説
自律掲げる現行法の改悪
 言論・表現の自由、政府や権力からの自律は放送の生命線です。それを掲げた現行の放送法は、戦前のNHKが準国営放送の道をたどった反省から、主権者である国民の手に放送を取り戻すことを眼目にしています。

 今回、政府が主導して国会に提出した放送法改定案は、現行の放送法の精神を百八十度転換させようとするものです。

 改定案の柱は三つ。一つがNHK経営委員会の強化。二つ目が、「あるある大事典」のねつ造をきっかけにした行政処分、三つ目が民放に対する認定放送持株会社制度の導入です。

 改定案の趣旨には「NHKに係る事項を中心として放送制度を改正」とあり、NHK経営委員会が「NHKの経営に関する基本方針」をはじめ十九項目の職務を行うことを定めています。中には「番組基準、放送番組の編集に関する基本計画」など、表現の自由に直接かかわる事項も含まれています。

 持株会社制度は、言論の多様性を保障したマスメディア集中排除原則(総務省令)を大幅に緩和して、東京キー局の支配を強めようとするものです。

 NHKのETV番組への政治介入や制作費流用などの不祥事、「あるある大事典」でのねつ造問題と、視聴者の放送への不信が大きくなっているのも事実です。これらの問題は、「政治的に公平」「事実を曲げない」放送をすることを掲げた現行の放送法からの大きな逸脱こそが問われなければなりません。

 放送法改定案の三つの柱は、昨年の「通信・放送の在り方に関する政府・与党合意」の主張そのままです。そこには、公共放送としてのNHKの解体や民放を再編成する内容が記されています。

 民主主義社会の形成に及ぼす放送の役割を考えるとき、それに反する改定案を成立させるわけにはいきません。

(出所:日本共産党HP 2007年11月30日(金)「しんぶん赤旗」)
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市民に役立つ情報発信-弁護士らホームページ開設-

2007-11-28 00:10:11 | 国内報道
市民に役立つ情報発信
弁護士らホームページ開設

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 市民メディアの声まきおこれ―。二十代、三十代を中心にした弁護士やジャーナリスト、主婦、学生、大学教員ら二十人が二十六日、インターネットホームページ「NPJ(News for the People in Japan)」を立ち上げました。

 マスメディアが取り上げない情報やニュースを市民の側から数多く発信し、平和、環境、日常生活を守る市民運動に寄与したいと始めたもの。

 「NPJ」には、政治・国会情報、平和、憲法や、注目裁判資料、弁護士会等の声明など多彩なメニューとともに、事件の担当弁護士が、訴訟の進行状況やその裏側などについてリポートする「訟廷日誌」があります。

 同日、弁護士会館(東京都千代田区)で記者会見した、編集長の日隅一雄弁護士は「市民・平和運動にとりくむ人たちがすぐに情報がとれるようなサイト」で「平和、基本的人権にストレートに偏ったメディアです」と紹介。

 代表の梓澤和幸弁護士は、政府の情報に頼るマスメディアの現状を批判し、「市民メディアが市民が主人公になる場にしたい」と発言。「マスメディアは、憲法改正をめぐる市民運動の情報を伝えていない。ネットを利用する若者に伝えたい。憲法を考え行動したい人は見てほしい」と語りました。

(出所:日本共産党HP 2007年11月27日(火)「しんぶん赤旗」)
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