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「集団自決」軍強制は沖縄戦研究・専門家の共通認識ー検定意見撤回求めるー

2007-11-29 01:40:54 | 国内教育
「集団自決」軍強制
沖縄戦研究の共通認識
専門家が意見書公表
検定意見撤回求める

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 沖縄戦「集団自決」をめぐる記述で教科書会社六社が出した訂正申請について、教科用図書検定調査審議会(文部科学相の諮問機関)が沖縄戦の専門家として意見を求めていた研究者の一人が二十七日、同審議会に提出した意見書を公表しました。「『集団自決』が日本軍の強制と誘導によって起きたことは沖縄戦研究の共通認識」とし、軍の強制性を削除させた検定意見を撤回するべきだとのべています。

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 意見書を公表したのは関東学院大学の林博史教授。同教授によると、今月十六日に意見提出の依頼を受け、二十二日に意見書を郵送しました。文科省は公表しないよう求めましたが、同教授は「秘密裏に検定をおこなうことこそが、今回のようなわい曲された検定がなされた原因である」と考え、自身のホームページで全文を公開しました。

 文科省は、「集団自決」の記述から軍の強制を削除する検定意見を出すにあたって、林教授の著書『沖縄戦と民衆』を根拠の一つにあげていました。林教授は意見書で、同書は「隊長から自決せよという形の自決命令は出されていないと考えられる」などの記述をしているが、結論的部分で「集団自決」は「日本軍による強制と誘導によるものであることは…明確」とするなど、軍に強要されたものであることを繰り返し記述していると指摘。検定意見の根拠にしたことは「全体の結論を無視して、一文のみを持ってきたとしか考えられない」とのべ、審議会への抗議を表明しています。

 意見書ではまた、命令の有無と強制とは「明らかにレベルの異なる問題」であり、捕虜になることを許さない日本軍の教育・宣伝、米軍につかまると残酷な扱いを受け殺されるという恐怖心の扇動、あらかじめ手りゅう弾を配って自決せよと言い渡していたことなど、「日本軍はさまざまな方法を使って住民を『集団自決』に追い込み、強制していった」とのべています。とくに手りゅう弾を配り自決するようにいったことは「住民にとっては命令としか受け取れなかった」とし、「実質的には日本軍による命令だというしかない」としています。

 林教授は「審議会は訂正でごまかすのでなく、検定意見を取り消して、日本軍の強制性を明記した記述を認めるべきです」と話しています。

 検定審議会はほかにも専門家の意見を聞くとしていますが、名前は明らかにしていません。

(出所:日本共産党HP 2007年11月28日(水)「しんぶん赤旗」)
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犬山市教委・中嶋教授の講演要旨(2)&パブコメ募集

2007-11-25 20:15:48 | 国内教育
 犬山市教委・中嶋教授の講演要旨(2)&パブコメ募集 [学校と子ども]  

 前記事で書いたようにこのところ忙しいのですが、かと言って他の方のブログを訪問したり、簡単なメールをしたりする時間がないというわけではない・・・つまり、子育て主婦のように「細切れ時間はあるけど、まとまった時間はなぜか取れない」という状況になっています。って、私もいちおう子育て主婦でした〜(笑)。

さて、何とか時間と体力が残っている今晩、中嶋さんの講演要旨(2)を書いてみます。
前回は習熟度別授業についてなどでした。今回はその続きで、「生活保護家庭の多い学校と正答率の相関関係について」から始めます。

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 学力テストの公表結果では、生活保護を受けている家庭の占める率とテストの正答率について相関を調べています。生保を受けている家庭の多い学校は成績のバラつきが大きくなっています(著者注:「できる」子と「できない」子の差が大きいということですね)。しかし、こういう結果が出ることはテストをするまでもなくわかっていたことです。このことだけを言う必要はなく、問題は「だから、どうするか」ということです。対応策を考えるという視点は見られず、既にわかっていたことを「科学的に」レッテル貼りをしただけのように感じます。


東京の足立区では学力テストと学校選択制を導入しています。東京では、「生保」という直接的な言葉は使わず「都営住宅の多い学区」と言っています。所得の低い家庭が都営住宅に住んでいて、生保を受けている率も高いというわけです。足立区では既に、都営住宅の多い学区は避けられるようになり、生徒数が減少し、廃校や休校さえ出てきています。もともとの経済的なハンディに加えて、「自分の住んでいる地域に公立の小中学校がない」というハンディまで負わされるようになっています。これは二重の重いハンディです。このままの政策が続けば、足立区の状況が全国化することはあり得ます。

1960年代、アメリカはケネディ、ジョンソン大統領の時代ですが、彼らは対外的にはベトナム戦争を推進したりどうも感心できないことをしていますが、国内の政策にはけっこう良いものがありました。"war for poverty"「貧困との戦い」として、生活保護を受けている家庭の多い学校には援助をしました。それまで、アメリカの教育は資金も内容も全部州任せだったのですが、内容には口を出さないが連邦が資金援助をするという方針にしました。"head start"つまり、恵まれない家庭の子どもにはハンディをつけて前からスタートさせてあげるということです(著者:日本の方向は残念ながら正反対で、生まれた時の格差が広がるような政策になってきています)。有名なテレビ番組のセサミ・ストリートも、あれは日本など外国向けに作ったのではなく、家庭で英語を使う環境にない子どもたちのために、英語を修得してもらおうとして製作したものです。

今回の学力テストでも「朝食を食べてくる子どもの方が成績が良い」という結果が出ていますが、家庭で親がきちんと食事をさせられない、経済的・働き方の事情で食べさせられないという家庭だってあるわけです。60年代のアメリカでどうしたかというと、「では、学校で朝食を出しなさい」ということにして、昼食は貧しい家庭にはクーポン券を出したりしました。つまり、経済的格差があっても乗り越えられる仕組みを作るということです。今回の学力テストの結果を見ても、そういう発想は見えてきません。

それどころか、給食費を生活保護費から天引きするという案まで出てきています。生保を受けている家庭が本当に給食費が払えるかどうか、そういう検証が必要ですが、なされていません。一方、北九州市のニュースにあるように生保を受ける資格があるのに受給されないという例もあります。いまの政策は一方的で、経済的弱者に対するいじめに近いと思います。公の場でサポートできていません。

1週間ほど前に報道されたのですが、教育振興基本計画の策定が始まっています。新教育基本法の17条に記されたもので、内閣が策定するということになっていますが、実際には文科省が案を作っています。これによって教育予算が増えると思っている人もいると思いますが、基本的に別のところから削って持ってくるものです。政府の考える教育政策を決めて、例えば習熟度別学級とかですね、それをするためのお金を割り当てるものです。

文科省の案がでましたが総花的でどこに力点があるのかよくわかりません。どこにポイントを置くかはこれからの問題です。あるものは手厚く、他のものは薄くなるでしょう。国民の批判が弱ければ、国がやりたいことをそのまますることになります。学力テストの結果を教育振興計画に利用するならば、低所得層への援助などが行われるべきです。

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講演要旨(2)はここまでとします。中嶋先生が話された「教育振興基本計画」については、現在、パブリックコメントを受付中です。締め切りは12月11日です。

募集の詳細は、文科省のホームページにあります。

また、新教育基本法に反対の立場で活動している教育基本法「改正」情報センターのページには、各種資料も一緒に載っています。

私も保護者の一人として、このパブコメは何としても提出するつもりです。教育に関心のある方々、どうか一人でも多く、文科省にコメントを寄せてください。中嶋先生のおっしゃるように、「国民の批判が弱ければ、国がやりたいことをそのまますることになります」。文科省の案を読んで、疑問や批判を感じた方は、どうかお願いします。

また、新しい学習指導要領「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」に対する意見募集も行われています。こちらは12月7日までで、教育振興基本計画の締め切りより早くなっています。

なんで、こんな同時期に慌ただしく募集するのでしょう?さらに、「意見を出してもどうせムダでは?」という懸念もあると思います。しかし、上記の中嶋先生の言葉を思い出して、「国民の意見、批判」をぜひ送ってください。子どもたちが今よりも健やかに育ち、学ぶことができるように。お願いします。


2007-11-21 23:56 nice!(1) コメント(0) トラックバック(1)

(出所:教育基本法の再改正を求める会
http://blog.so-net.ne.jp/kyoikushiminnokai_in_shiga/2007-11-21)
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犬山市教育委員・中嶋教授の講演要旨(1) 習熟度別授業について

2007-11-25 20:13:52 | 国内教育
 犬山市教育委員・中嶋教授の講演要旨(1)−習熟度別授業について [学校と子ども]  

 昨年4月に実施された全国統一学力テストに唯一不参加であった犬山市。市の教育委員で名古屋大学大学院教授である中嶋哲彦さんの講演を聴いてきました。中嶋さんの講演については、今年7月にも友人のくるみわりのケイトさんがまとめてくださった記事があります。今回は10月に行われた結果の公表を踏まえてということで、前回の続編的なお話になっていました。とても興味深く、かつ勇気の出るお話でしたので、メモを元に紹介します。

 なお、今日はあまり時間がなく走り書きのようなかたちになり、不十分な点もあるかと思いますがご了承ください。
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講演のタイトルは「基礎学力の平等保障と人格の完成を目指して」です。

今年の学力テストの参加・不参加については「右へならえ」的な感じで、結局、不参加は犬山市だけでしたが、全国学力テストを巡る情勢は動いており、10月の結果公表を受けて、見えなかったことが見えてきたり、わからなかったことがわかったりしました。そういうことを踏まえてお話しします。

まず、結果の子どもたちへの返し方ですが、順位をつけて返すのではないかと心配していましたが、それはありませんでした。それぞれの問題について正解か不正解かを書き、各問について全国の正答率を添えていただけでした。学力テスト実施の理由として「生徒の今後の指導に役立つ」ということを文科省が挙げていました。つまり、生徒、担任、教師のためになると言っていたのですが、毎日子どもと接している担任はそのくらいの学力状況はすでに掴んでいるはずです。


業者のテストでさえ結果には分析がついてきて、「ここは良くできました」とか「ここはもうちょっと頑張りましょう」とか、子どもへのコメントがついています。そういうコメントをつけることは、コンピューター処理をすれば簡単にできます。しかし、今回のテストでは子どもたちに返す言葉はありませんでした。「指導の資料として役立てる」というのは実施時の理由付けの言葉だけだったという印象を受けました。

学力テストの結果はいまは文科省のホームページから見られます。マスコミには公表される1週間前に渡っていました。私は公表前に何社かのマスコミからコメントを求められたのですが、その時点では結果を知らなかったので、「ファックスしてください」と頼むとどのマスコミも渋るのです。なぜかと思って聞いてみると多すぎるのです。全部で300ページにも及ぶものでした。

それは丁寧に公開したことになるでしょうか?私は逆に、データがあまりにもたくさんであって、ポイントが絞れていないと思いました。

実際に結果を見て、まず思ったことは
・あまりにも大部すぎる。データが整理されていない。
・したがって、私のほしいデータがあるのか、ないのか、あるとしてもどこにあるのか、最後まで見ないとわからない
ということです。

例えば、人の目につかないように物を隠す時、きちんと整理された机の上に置くとすぐにわかってしまいますが、ゴチャゴチャの机の上など雑然としたもののなかに置くと見つかりにくいです。こういうデータの公表のしかたはフェアではないと思いました。

私が知りたかったことの一つは「習熟度別授業の実施率と正答率との関連」です。習熟度別授業を推進している文科省としては、当然、正の相関を期待していたはずです(注:犬山市教委および中嶋氏個人は習熟度別学級に反対しています)。それでデータの海のなかを一生懸命探したのですが、どこにもなかったのです。

そもそも習熟度別授業が有効であるという研究結果は出ていません。アメリカでは70年代にトラッキングという名称でそういう教育方針がとられていたことがありますが、学力向上に効果がなく、むしろ差別意識を助長するということで、いまでは行われていません。私は毎年、春にはアメリカかニュージーランドに視察に行っているのですが、むこうの教育関係者に尋ねても怪訝な顔をされるばかりです。そういう根拠のない教育法が日本では推進されています。

それで、習熟度別授業について学力テストでの結果ですが、公表された中にはなかったのですが、マスコミが質問していました。すると文科省は「相関は出なかった」と答えています。しかし、全く相関がなくバラバラだったのか、逆相関が出たのかはわかりません。文科省は「(結果を)出すと習熟度別授業に対する国民の誤解が生じる」と言っています。77億円もかけて行ったテストですが、そのデータを信用できないということを自ら告白したようなものです。

都合の悪いデータは出されていません。どうして誤解を与えるかという説明もされていません。「データは見せられないけれど、習熟度別学級には効果があると信用しろ!」と言っているようなものです。しかし、教育学者で習熟度別学級に効果があると言っている人はいません。

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ここまでで、全体の3分の1弱というところです。長くなるので、(その1)としてアップします。


2007-11-17 13:49 nice!(1) コメント(13) トラックバック(2)

(出所:教育基本法の再改正を求める会
http://blog.so-net.ne.jp/kyoikushiminnokai_in_shiga/2007-11-17)
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学習指導要領改定 中教審部会の「審議のまとめ」について共産党国会議員団 -石井文部科学部会長-

2007-11-09 00:43:02 | 国内教育
学習指導要領改定 中教審部会の「審議のまとめ」について
教育統制強める
共産党国会議員団 石井文部科学部会長

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 中央教育審議会教育課程部会が七日公表した「審議のまとめ」について、日本共産党国会議員団の石井郁子文部科学部会長は同日、次の談話を発表しました。


 「まとめ」は、国が直接「重点指導事項」を教員に示し、その指示どおりに実施されたかどうかを全国学力テストなどでチェックすることにしています。さらに、本来多様であるべき「学力観」や「指導法」についても、特定の内容をしめしています。

 これらは、改悪された教育基本法の具体化として、学校の教育課程への国家統制を強めるものにほかなりません。このようなことは憲法と教育の条理に反し、教育の自主性や創造性をうばうものであり、やめるべきです。

 一、「まとめ」は、「習熟度別授業」など、競争と格差をひろげ、子どもを選別しようとする施策をあらためて強調しています。いま必要なことは、競争と選別をやめ、学力の底上げを進めることです。

 また、「まとめ」は「家庭の責任」なるものを強調しています。「貧困と格差」で傷ついている家庭への公的支援にはまったく触れずに「責任」だけを押しつけるのでは、問題の解決にはなりません。

 一、「まとめ」がこれまでの「学習内容の三割削減」をあらため、多位数の計算や生物進化など必要な事項を復活させたことは、現場の声をある程度反映したものです。

 しかし全体として、不必要な学習内容も含んでおり、いま以上に深刻なつめこみ授業になる危険をはらんでいます。内容を精選・再編成して、総授業時数増なしで必要な学習ができる方向で見直すべきです。

 小学校の外国語活動と中学校の武道必修化は、国民の間で意見が分かれており、強行すべきではありません。

 一、「まとめ」は改悪教育基本法にそって、「愛国心」などを上から子どもに押しつけようとしています。国家による内心の自由の侵害は許されません。しかも、沖縄「集団自決=日本軍による強制」を教科書から削除せよとの検定意見に一言もふれない姿勢は、歴史の改ざん、特異な戦争観の強制を容認するものとして厳しく批判されなければなりません。

 また「道徳」では、「学校生活で子どもの人権を尊重する」との視点を欠いており、子どもの声を聞き取る姿勢もありません。

 一、「まとめ」は、教職員の定数増や教科書・学校図書館の充実に言及しています。現在、教員は総じて過労死ラインで働きながらも、授業準備など子どもと向き合う時間が確保できない状態にあり、教職員増は急務です。ところが政府・財務省は、増員どころか削減を計画しています。

 国民の力でこうした自公政権の動きにストップをかけ、教育条件を前進させることをよびかけます。

(出所:日本共産党HP 2007年11月8日(木)「しんぶん赤旗」)
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全国学力テスト結果-教育むしばむ危険直視を-

2007-10-27 02:01:55 | 国内教育
主張
全国学力テスト結果
教育むしばむ危険直視を

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 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果が公表されました。

 基礎的な知識についてはおおむね理解はあるが、知識の活用には課題があるというのが主な内容です。朝食を家族と一緒にとる子どもの割合など、生活面のデータもあります。

全員受けさせる必要なし
 結果の多くはすでに知られていることです。どうみても抽出調査で十分でした。テストの結果自体が、七十七億円もの税金をつかい、子どもや家庭のプライバシー侵害の危険までおかして全員に受けさせる必要がないことを証明したといえます。文科省は全員参加の理由に「子どもに答案を返して指導する」を加えましたが、「四月のテストの結果を今ごろ返されてもしょうがない」という声があがっています。

 直視すべきは、国が全員参加型学力テストを計画・実施したことが、県や市独自の同様の学力テストの呼び水となり、全体として競争と序列化、授業の統制などの深刻な実態をうんでいることです。

 東京都足立区はホームページで区独自の学力テストの学校順位を公表し、平均点を各学校の予算に連動させました。学校はいっせいテストで何点取れるかの競争にさらされ、教員は「テスト当日点数が取れない子が休むとホッとするようになった自分が怖い」というほど追いつめられました。ついには校長等が点をあげるために不正工作をおこない、区民の厳しい批判で成績順の公表、予算連動ともに中止となりました。

 文科省は「序列化につながらない取り組みが必要」といいましたが、実際には都道府県ごとの平均点を公表して順位競争をあおっています。多くの自治体は学校順位の公表をしない意向ですが、公表の動きもあります。あらためて序列化に走らないように訴えたいと思います。

 学力テストの結果が金科玉条となり、そのことで毎日の授業がゆがむことはいっそう深刻です。

 独自の学力テストを小二から始めたある県でのことです。低学年の子どもは一生懸命、順番に問題を解きます。終了のベルがなり「先生待ってー」の悲鳴のなか答案を回収。採点、結果分析は業者です。教員は「あなたのクラスはここが弱い」とデータが示され、その改善策の提出を求められます。「漢字が弱い」と示された教員は「漢字の問題は後のほうなので無回答が多い。指導したいことはほかのところなのに」と憤ります。

 こんなやり方が横行すれば教員のやる気をそぎ、子どもの学習がやせ細るだけです。今回の結果も、ここが弱いから強めよ式の「改善のポイント」が多く示されています。文科省でさえ今回の結果は「学力の一部」とし、専門家からは設問自体への疑問も表明されています。「ポイント」はあくまで参考意見であり、教員に強制することは許されません。

競争ではなく条件整備を
 世界と日本の優れた教育実践の流れは、いま広がりつつある学力テスト体制の方向とは正反対です。「学力世界一」で注目をあつめるフィンランドは、いっせいテストなどの競争的なやり方をやめ、学びあい助けあいを大切にしています。教育内容について国のガイドラインはありますが、教員に大幅な自主性が認められています。二十人学級などの手厚い教育条件の整備にも熱心です。

 子どもの成長のため、全国学力テストの中止、教員増や少人数学級などの条件整備、教員の自由・自主性の保障を実現するために力を合わせることが重要です。

(出所:日本共産党HP 2007年10月26日(金)「しんぶん赤旗」)
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全国学力テスト 結果公表-文科省 都道府県別に序列-

2007-10-26 01:19:57 | 国内教育
全国学力テスト 結果公表
点数競争激化に懸念
文科省 都道府県別に序列

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 文部科学省は二十四日、今年四月に小学六年生と中学三年生全員を対象に実施した全国学力テスト(学力・学習状況調査)の結果を公表しました。都道府県別に正答率が示され、教育関係者から、自治体間・学校間の点数競争の激化を懸念する声があがっています。

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全員対象のテストは中学生は四十三年ぶり、小学生では初めて。二〇〇四年に当時の中山成彬文科相が「競争意識の涵養(かんよう)」のためとして導入を提唱したものです。

 今回、国語と算数・数学の二教科で実施され、二百二十一万人が受けました。

 全国の平均正答率をみると、基礎的知識を問うA問題は小学の国語と算数、中学の国語がいずれも82%、中学数学は73%でした。これに対し、知識を実生活や課題解決に「活用する力」を問うB問題は中学国語の72%を除き、すべて60%台前半でした。選択式の設問に比べ、記述式の正答率が低い傾向もみられました。

 都道府県別の正答率は、大半が全国平均の前後5ポイント以内に入り、差はほとんどみられませんでした。しかし、一部には平均より8―15ポイント低いところもありました。国立、私立の平均正答率は公立に比べて8―23ポイント高くなりました。

 生活習慣や学習環境についての質問紙調査では、過去の同種の調査に比べて国語や算数・数学が「好き」「役に立つ」と答えた子どもが増え、一日の学習時間や読書時間も増加しました。

 文科省は、市町村別、学校別の公表については各自治体の判断に委ねています。

学力テスト
市町村別・学校別の成績
全都道府県が非公表
「序列化・過度の競争 懸念」

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 二十四日公表された全国学力テストの結果について、四十七都道府県すべての教育委員会が、同省から提供される市町村別、学校別の成績を「公表しない」ことが本紙の調べでわかりました。

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 公表しないと判断した主な理由について、県教委に対して市町村別・学校別の公表をしないように求めた文部科学省の実施要領を根拠にして、「学校の序列化と過度の競争をあおる懸念があるため」(京都府)とした回答が多くありました。

 市町村や各学校に対し結果の取り扱いをどう指導するかについては、「(各市町村教委に対し)説明会を実施し、個々の学校名を明らかにした公表はしないなどの留意事項を確認した」(佐賀県)、「生徒に返すときは個人面談や学級指導を通して説明し、支援に役立つようにするよう文書を出した」(島根県)など、序列化や競争につながらないよう配慮を促す教委がありました。

 一方で、「市町村の判断に委ねる」とした教委もあり、各都道府県で温度差がありました。

 成績によって学校への予算配分に格差をつけるかについては、ほとんどの教委が「しない」としています。

 結果をどう活用するかについて、九州のある県は「数字に示された結果を単純に比較するのではなく、調査結果をしっかり解釈し、学習環境などさまざまな状況との相関関係において特徴や課題について把握していく」としています。

 また、「全国と比べるということではなく、課題を授業や勉強の改善に生かし、進めていくようにしていく。例えば、できなかった子どもたちに視点をあてるなど」とする県がある一方、「学力、学習状況を全国と比較し、県の学力向上の参考にする」と回答したところもありました。

 政府に対する要望には、「調査が教委や学校の改善に結びついているのかどうか、よく検証しながら進めてほしい」「傾向をつかむのであれば、対象学年の全員ではなく抽出でもよいのではないか」とする声が寄せられました。

 また、記名式に対する個人情報の漏えいの心配や、結果公表まで半年かかったことに対し、「一人ひとりの子どもの改善につながらないことになるので、今後、改善してほしい」など、政府の不手際を指摘する意見も複数ありました。

活用力など課題浮き彫り
 全国学力テストの結果は、子どもの読解力や知識を実生活に活用する力が足りない現状を改めて示しました。

 端的な例は小学校算数。基礎のA問題で、底辺が四センチ、高さ六センチの平行四辺形を図示して面積を求めさせたところ、96・0%の児童が二十四平方センチと正答しました。

 ところが、活用のB問題で、地図に示された平行四辺形と正方形の公園の広さを比べる設問では、正答率が18・2%と激減。平行四辺形の底辺と高さ以外に斜辺の長さも示されたため、底辺×斜辺で求めた児童が誤答の四割以上を占めました。

 小学校国語Bでは、同じ本を読んで書かれた二つの感想文に共通する特徴を聞く設問で、正答率が五割強。古紙の再利用が必要な理由、回収の際の注意点をそれぞれ二つずつ例文から抜き出す問題でも五割を切りました。

 中学の数学Bでは、熱した水の温度と経過時間の一次関数グラフから水温(y)と時間(x)の関係式を作り、何分後に八〇度になるかを文章で説明させた問題の正答率が四割。無答率もほぼ四割に達しました。

読み書き・計算力アップ
 全国学力テストの基礎的知識や計算力を問うA問題では、「勧める↓すすめる」「やく↓焼く」など漢字の読み書きと基礎的な計算の力は過去の同一問題に比べ向上がみられました。半面、確率の意味や円すいの体積などが正しく理解されていないことも分かりました。

 二〇〇二年や〇四年に実施された抽出方式の「教育課程実施状況調査」などで出題されたことのある問題(小学校十三問、中学校十二問)で比べると、二十四問は正答率が上がりました。

 算数・数学で正答率が上がったのは「半径十センチの円の面積を求める式と答え」(○四年、小5の61%から今回73%)「xとyを用いた連立方程式の解」(○二年、中2の68%から今回72%)など。

 一方、中学校の数学では、さいころを振った時の目の出方を問う確率の問題で正答率が50%に達しませんでした。

 また、円柱の容器いっぱいの水を、底面積と高さが等しい円すいの容器に移した時の正しい図を選ばせたところ、円すい二つ分とした誤答が36%に上り、正解である「三つ分」の38%とほぼ並びました

(出所:日本共産党HP  2007年10月25日(木)「しんぶん赤旗」)
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“靖国史観”教科書の人脈

2007-10-26 01:14:42 | 国内教育
“靖国史観”教科書の人脈
検定に強い影響力
石井氏質問

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 沖縄戦の「集団自決」教科書検定問題で、文部科学省の検定に、“靖国史観”にもとづく「新しい歴史教科書」(扶桑社)監修者の伊藤隆東大名誉教授の門下生や共同研究者が教科書調査官、教科書検定調査審議会委員として深く関与していたことが二十四日、明らかになりました。日本共産党の石井郁子議員が衆院文部科学委員会で質問しました。

 「集団自決」への日本軍の強制・関与を削除する検定意見で合議した日本史担当の教科書調査官は四人。調査官の意見書を審議する検定審議会の「日本史小委員会」に属する近現代史の審議委員も四人います。

 石井氏によると、教科書調査官のうち、近現代史を担当する調査官二人はともに伊藤氏が一九七一年から東大文学部助教授をつとめていた時代の教え子であり、伊藤氏と共同の研究や著作があります。さらに、近現代史専門の審議委員四人のうち二人が、一九九七年度から二〇〇二年度まで伊藤氏が統括責任者をつとめる研究グループで共同研究をおこない、共同著作があります。(図)

 石井氏はこれらの事実を示し、「これで公正・中立な検定といえるのか」と政府の認識をただしました。渡海紀三朗文科相は「検定そのものは、適正な手続きにもとづいておこなわれた」としながらも、「(調査官、審議委員の選定には)疑義を持たれないようにしなければならない」と答弁。「そういう力が働いてはいけないので、配慮、指導したい」と述べ、審議会のあり方などについても、「透明性をあげるよう検討したい」と答えました。

 石井氏は、伊藤氏と関係の深い二人の調査官は、「新しい歴史教科書」の検定にもあたっていたこともあげ、「文科省の認識は甘い」と指摘。「学術的・専門的にたえられない今回の検定意見を撤回することなしに、問題は解決しない」と述べ、あらためて文科省の責任で教科書の記述を回復するよう求めました。

(出所:日本共産党HP 2007年10月25日(木)「しんぶん赤旗」)
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沖縄戦と教科書検定-「日本軍の命令」削除は最高裁判決にも逆行-

2007-10-22 04:26:54 | 国内教育
沖縄戦と教科書検定
県民と国 せめぎ合い20年余
「日本軍の命令」削除は最高裁判決にも逆行

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 沖縄戦の「集団自決」をめぐる教科書検定のからくりを明らかにした十一日の衆院予算委員会での赤嶺政賢衆院議員の質問は、関係者に衝撃を与えています。なかでも、専門家による専門的な検討もなく、文科省の一調査官の意見をもとに文科省ぐるみで強行したという事実です。二十年来の経緯を無視し、最高裁でさえ認定した記述を乱暴に書き換えた点からも、その特異な政治的意図をうかがわせています。

 沖縄戦の実相を教科書でどう教えるか。実体験にもとづく沖縄県民や歴史学者と、国・文科省とのきびしいせめぎ合いを通じて、日本軍によって多数の住民が死に追いやられたという認識が定まっていました。「集団自決」についても、教科書検定で問題になるようなことはありませんでした。

国民的議論に
 沖縄戦をめぐって国民的な議論に発展する出発点となったのは、一九八一年度の教科書検定でした。

 八三年春から使用される高校日本史教科書の検定で、愛知大学教授の江口圭一氏が執筆した、沖縄戦での日本軍による住民殺害の記述が削除されたのがきっかけです。

 問題となった記述はこうです。

 「六月までつづいた戦闘で、戦闘員約十万人、民間人約二十万人が死んだ。鉄血勤皇隊・ひめゆり部隊などに編成された少年少女も犠牲となった。また、戦闘のじゃまになるなどの理由で約八百人の沖縄県民が日本軍の手で殺された」

 これに調査官は、数字に根拠がないなどと徹底して意見をつけ、江口氏に三回にわたって「書き直し」させた揚げ句に、「日本軍による住民殺害」の記述を削除させたのです。

 そのやりとりのなかで調査官は、江口氏が根拠としてあげた沖縄県立平和祈念資料館の展示や資料、住民の証言を集めた『沖縄県史』について「一級の資料ではない」と却下しました。

 江口氏は当時、「赤旗」紙上でこうした経緯を生々しく語り、こう告発しています。「日本軍の住民殺害の事実を書くなということです。中国への『侵略』を書くなというのとまったく同じです」(八二年七月三十日付)

体験こそ事実
 この検定実態が発覚した八二年七月以来、沖縄県では県議会をはじめ、検定に抗議し記述の復活を求める声がいっせいにあがりました。「県民の体験こそ動かせない歴史的事実であり、第一級の資料である」との訴えは、悲惨な沖縄戦を体験した県民の深い共感を呼び、反撃が広がりました。

 当時、教科書をめぐって中国や韓国、アジア諸国との間で旧日本軍の「侵略」記述問題を抱えていた政府は、沖縄戦問題でも窮地に立たされ、ついに「次の検定の機会に県民の方々のお気持ちに十分配慮して検定をおこなうつもりです」(小川平二文相、同年九月十六日、参院決算委員会)と表明するに至りました。

 これにより、八三年以降、日本軍による住民殺害を沖縄戦の特徴として描く教科書が登場するようになりました。

 教科書での沖縄戦の記述を補強する力となったのが、教科書検定をめぐる家永三郎氏の教科書裁判第三次訴訟でした。

美化論に打撃
 八四年の提訴から十三年に及んだこの訴訟で、沖縄戦の実相、とりわけ「集団自決」とは何だったのか、が重要な争点となりました。原告側の証人として「集団自決」の体験者や沖縄戦研究者らが立ち、沖縄戦の実態を明らかにしました。

 九七年八月の最高裁判決は、検定意見を擁護し原告側の主張を却下したものの、沖縄戦の実相や「集団自決」をめぐる真実については原告側の主張をとりいれた内容となりました。

 「沖縄戦の大きな特徴」として、日本軍により多数の県民が死に追いやられたこと、「集団自決」が日本軍の命令によって引き起こされたものであることを認定しました。これは、教科書検定の名のもとに、「集団自決」を国のためにみずから殉じた崇高な死である“殉国美談”として描かせようとした国・文部省の意図をくじくものとなりました。

 「日本軍の命令」の記述削除を強行した今回の検定は、こうした経緯をくつがえし、かつて頓挫させられた「集団自決」美化論を、安倍「靖国派」政権の下、一気に復権させようとしたものといえます。文科省による“自作自演”の仕掛けも、こうした特異な政治的意図にもとづいたものであり、その責任は重大です。(近藤正男)

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家永第3次訴訟
最高裁判決 沖縄戦部分
 家永第三次訴訟の最高裁判決(九七年八月二十九日)での沖縄戦に関する部分(抜粋)は次のとおりです。


 「沖縄戦において死亡した沖縄県民の中には、日本軍によりスパイの嫌疑をかけられて処刑された者、日本軍あるいは日本軍将兵によって避難壕(ごう)から追い出され攻撃軍の砲撃にさらされて死亡した者、日本軍の命令によりあるいは追い詰められた戦況の中で集団自決に追いやられた者がそれぞれ多数に上ることについてはおおむね異論がな(い)」

 「多数の県民が戦闘に巻き込まれて死亡したほか、県民を守るべき立場にあった日本軍によって多数の県民が死に追いやられたこと、多数の県民が集団による自決によって死亡したことが沖縄戦の特徴的な事象として指摘できるとするのが一般的な見解であ(る)」

 「地上戦に巻き込まれた沖縄県民の悲惨な犠牲の実態を教えるためには、軍による住民殺害とともに集団自決と呼ばれる事象を教科書に記載することは必要と考えられ、また、集団自決を記載する場合には、それを美化することのないよう適切な表現を加えることによって他の要因とは関係なしに県民が自発的に自殺したものとの誤解を避けることも可能であ(る)」

(出所:日本共産党HP 2007年10月20日(土)「しんぶん赤旗」)
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自公政権・文科省の教科書調査官ー採用ルート“闇の中”ー

2007-10-15 22:51:40 | 国内教育
文科省の教科書調査官
採用ルート“闇の中”

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 高校日本史の教科書検定で、沖縄戦での「集団自決」に日本軍の強制があったとする記述が削除されたのは、文科省の教科書調査官が作成した調査意見書が発端だった―日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の質問で判明したこの事実は、改めて制度そのものへの疑問を投げかけています。中立・公正とは到底言えない人物が、なぜ教科書調査官を務めているのか―。

 教科書調査官は文科省の常勤職員で、初等中等教育局に五十八人置かれることになっています。一般の国家公務員のような採用試験はなく、大学の助手や助教授などから文科相が任命します。

 任免・採用ルートは“闇の中”です。文科省教科書課によると、「定年退職者が出たら、その分野の調査官OBや学会の関係者、教科書検定調査審議会の委員などから推薦をいただくような形になっている」とのこと。文科省とつながりのある個人の口利きだというわけです。

 子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長は「関係学会の推薦を義務付けるなど、最低限その程度の公開性、公平性を持たせるべきだ」と指摘します。

 今回問題となった沖縄戦についての検定意見原案を作った調査官は、日本史担当の村瀬信一氏です。主任調査官は照沼康孝氏。いずれも伊藤隆東大名誉教授の教え子です。

 伊藤氏は扶桑社版『新しい歴史教科書』の執筆・監修者です。現在は「新しい歴史教科書をつくる会」理事を降り、安倍晋三前首相のブレーンだった八木秀次氏らの「改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有志の会」に参加しています。

 伊藤門下生が歴史認識の問題で物議を醸した例は過去にもありました。一九九八年に高知大教授から主任教科書調査官に転身した福地惇氏(現「つくる会」副会長)です。福地氏は現職の調査官でありながら検定最中に雑誌に登場し、「教科書検定のときに近隣諸国条項というのがあって、日本は侵略戦争をして悪かったと書いていないとまずい。そういうがんじがらめの体制になっている」などと攻撃しました。マスコミが大きく報じ、批判の世論が高まる中、文部省は同氏を解任せざるを得ませんでした。

(出所:日本共産党HP 2007年10月14日(日)「しんぶん赤旗」)
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衆院予算委 日本共産党・赤嶺議員の質問 (要旨)ー「集団自決」の軍強制 教科書に真実回復をー 

2007-10-14 06:58:09 | 国内教育
衆院予算委 赤嶺議員の質問 (要旨)
「集団自決」の軍強制 教科書に真実回復を

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 日本共産党の赤嶺政賢議員が十一日の衆院予算委員会で行った質問(要旨)を紹介します。

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沖縄県民の思いは
赤嶺 教科書検定意見の撤回は総意
首相 重く受けとめたい

 赤嶺政賢議員 九月二十九日に沖縄で教科書検定意見撤回の県民大会が開かれました。十一万人余が集まった熱気が地元の報道でも伝えられています。一面トップどころか両面ぶち抜きで、十一万余、そして会場行きのバスに乗れなくて行列をなして、町じゅう人があふれていた、そういう一日でした。

 参加者の中には、戦争で犠牲になった自分の身内に、きょうは手を合わせてから来たよ、という人もいましたし、四十一市町村長、すべての市町村長が参加しました。宮古島、八重山でも集会が開かれ、県民の十人に一人が大会に結集しました。戦争体験者、そして子ども連れの家族、高校生の姿が目立ちました。

 文字通り、県民の総意として、教科書検定意見の撤回、それから記述の回復、これが確認されたわけですが、なぜこれだけの人々が集まったと総理は考えますか。

 福田康夫首相 沖縄県民の方々が、六十数年前に受けたあの悲惨な出来事、このことを思い起こし、そのことを次の世代にもつなげていこう、こういう気持ちがあの大会になったのではないのかな、こう思っています。皆さん方の思いをこれからも重く受けとめてまいりたい。

 赤嶺 県民の思いは、教科書検定意見の撤回、それと記述の回復です。この点はいかがですか。

 渡海紀三朗文科相 教科書の検定制度というのは、厳正また中立公平な立場で専門家に意見をお聞きするという制度でございまして、時の政治的な思惑の介入があってはならないというこの原則があります。そういうことを考えながら、この件にどういうふうに対応をしていったらいいのかを検討しているということでございます。

 赤嶺 ですから、文科大臣、厳正、中立公平に検討して、沖縄県民の求める検定意見の撤回、記述の回復、この点はどうなさるんですか。

 文科相 例えば、この意見を撤回せよというふうに私が申し上げるということは、これはまさに政治的介入であります。また、この制度そのものはそういうことを許さないという制度になっているわけであります。

 赤嶺 文科大臣は、教科書会社からの訂正申請を受けて、教科書検定調査審議会を開いてとおっしゃっているわけですけれども、その場合に、三月にすでに教科書検定意見がつけられているわけですね。「沖縄戦の実態について誤解するおそれがある」、こういう意見がつけられたわけですから、訂正申請が出されても、そういう三月の教科書検定意見がそのまま、あるいはそれは変えられるんですか。

 文科相 検定意見そのものを撤回するということにはならないのではないかというふうに考えています。

検定経過の実態は
赤嶺 削除は文科省ぐるみ 専門的審議あったか 
文科相 それほどなかった
赤嶺 沖縄戦専門家もいない 
 赤嶺 三月の意見は撤回しないというわけですね。それでは、今回の検定意見にいたる経過について聞いていきたいと思います。

 これまで二十年間、沖縄戦というのは、「集団自決」について、軍の強制的関与は教科書に記載されてきたんです。二十年間意見がつかなかったんですね。二十年つけられなかったのに何で突然という気持ちをみんな抱いたわけです。一体誰が言い出したんだと、みんなそう思っているんですよ。それは、文部科学省の常勤職員である教科書調査官がまとめた調査意見書、これが発端だったんじゃないですか。

 金森越哉文科省初等中等教育局長 教科書検定は、検定の時点における客観的な学問的成果に照らして、教科書検定審議会の専門的な審議に基づき検定意見を付しているところです。

 沖縄戦における「集団自決」につきましては、従来、日本軍の隊長が住民に対し「集団自決」命令を出したとされ、これが通説として扱われてまいりましたが、この点について、現在、さまざまな議論があると承知しております。教科書検定調査審議会における専門的な調査審議の結果、不幸にも「集団自決」された沖縄の住民のすべてに対して自決の軍命令が下されたか否かを断定できないという考えに基づき、教科書の記述としては、軍の命令の有無について断定的な記述を避けることが適当であり、検定意見を付したものであると理解しております。

 赤嶺 それでは、聞きますが、申請本の中に、隊長の命令によって「集団自決」に追い込まれた、このように記述しているものが一カ所でもありますか。

 金森局長 平成十八年度の日本史教科書の検定意見は、不幸にも「集団自決」された沖縄の住民すべてに対して自決の軍命令が下されたか否かを断定できないという考えに基づいて付されたものです。

 赤嶺 局長、県民をごまかすのもいいかげんにしなさいよ。私は、教科書の中に、隊長命令によって「集団自決」に追い込まれたという記述があるかと聞いたんですよ。ないんですよ、一カ所も。ないけれども、あなた方は勝手に意見をつけたんですよ。

 ここに、文部科学省初等中等教育局教科書課から(送られてきた)文部科学省原議書というのがあります。この原議書には、主任教科書調査官照沼さん、高橋さん、村瀬さん、三谷さん、この四人の印鑑が押されまして、起案者の印があり、そして係長、専門官、企画官、課長、それから総合調整課長、審議官、局長、合計七名の印鑑が押されて、その中に調査意見書として、「日本軍によって…あるいは集団自決に追い込まれた住民もあった」という部分ですね。これは、日本軍によってというところであって、隊長命令によってではないですよ。それで、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」。こう書かれているわけですね。

 ということは、この調査意見書というのは、調査官はじめ文部科学省ぐるみでこういう意見をつくったということになるんですか。

 金森局長 ただいまご指摘になりましたのは、教科用図書検定調査審議会に調査審議の参考となる資料として提出される調査意見書でございます。教科書調査官が委員や専門委員、教科書調査官の調査の結果を取りまとめ、審議会に提出いたしたものです。

 赤嶺 それは、文部科学省が全体として承認したわけですね。文部科学省ぐるみでこういう調査意見書をつくった、教科書の書き換えを行う意見書をつくったという認識ですね。

 金森局長 教科書調査官が行う調査などは、専門的、学術的観点から中立公平に行われるものでして、政治的、行政的意図が入り込む余地がないものと考えております。

 赤嶺 今度の場合は二十年ぶりに書き換えられたんですよ。それを、中身もきちんとしないで調査官がやったことだからといってはんこを押しているという、このこと自身に大変な驚きを私は持つんです。

 調査官は審議会にかけるんだ、学問的、専門的な検討を経るというわけですが、この調査意見について、審議会の中でどんな専門的、学術的議論があったんですか。

 金森局長 審議会におきましては、各委員が、検定の時点における客観的な学問的成果に照らして、それぞれの知見により審議した結果、最終的に審議会として調査意見書における指摘と同じ内容の検定意見を付すことが適当と判断したものと承知しております。

 赤嶺 専門的、学術的議論があったのかどうか、確認しておられないんですか、大臣は。

 文科相 検定調査書を、審議会で諮って最終的に決めた。その段階でいわゆる意見があったかなかったかといいますと、それほど多くなかったというふうには聞いております。

 ただ、私は、もう少しこの審議会のあり方についても検討する必要があるのではないかなというふうな私の所感を記者会見で述べさせていただいたところです。

 赤嶺 学術的、専門的な議論はなかったんですよ。ただ審議会に検定意見書を諮った、諮ったけれども何の意見も出なかったんです。

 社会科、日本史については部会や小委員会があります。そういう部会も含めて議論はあったんですか、なかったんですか。

 文科相 いろいろな意見が出たのかということについていえば、あまり大きな異議がなかったというふうな報告をいただいております。

 赤嶺 意見の中身がもしあるというなら、おっしゃってください。調査意見書を審議にかけただけというなら、そうおっしゃってください。

 文科相 いわゆる意見について、今その議事録を作成したり公表したりということについてはやらないというのがこれまでの原則です。

 赤嶺 私が聞いているのは、教科書調査官の、誤解を受けるおそれがないような記述に変更するという意見について、沖縄戦についてどんな意見が出たか、これを聞きたいんです。

 金森局長 沖縄戦の「集団自決」にかかわる指摘個所につきましては、委員から特段の異論はなかったところです。

 赤嶺 調査官というのは文科省の職員ですよね。職員がつくった原案に、学術研究者の集まりである審議会や部会でも何も意見が出なかったというのが、信じられないですね。二十年間同じような記述を経てきたけれども、今年急に変わった、学術研究者を集めても意見が出ない。

 この学術研究者、審議会の中に、小委員会や部会の中に、沖縄戦の専門家はいたんですか。

 金森局長 沖縄戦を専門に研究している方はいなかったとしておりますが、審議会におきましては、専門的、学術的な調査審議が行われたと承知しております。

 赤嶺 大臣、いなかったんですよね。沖縄戦の専門家はいなかったけれども、局長は学術的、専門的審議が行われた、こういう認識を持っていると言うんですよ。おかしいんじゃないですか。

 きょうの沖縄の新聞に、教科書検定調査審議会の日本史小委員会の委員をしている筑波大学(教授)の波多野(澄雄)先生がインタビューに答えています。

 意見は出なかったというような答弁を繰り返して、「沖縄戦の専門家がいない。調査官の方がよく調べており、委員より知っている。説明を聞いて、納得してしまう部分がある。沖縄戦の専門家が入っていれば(結果は)だいぶ違っただろう」。自分たちは知見がなかった、専門家として集められたけれども、調査官の知見以上のものは持ち得なかったと。

 しかし、この方は、こう言っているんですよ。県民大会にあれだけの人が集まって、「驚いた。あらためてこの問題の重要性を知った。そういう意味ではもう少し慎重にすべきだった」と。

 審議委員の中からももう少し慎重にすべきだったと。県民感情について、沖縄戦について研究し、実績を積み重ねてきた、そういう人が全く入らない場所で意見書を出して、これがひとり歩きしているんですよ。

 調査官は文科省の職員ですが、調査官が自分の意見をまとめるときに、専門家の意見を聞くことになっています。専門委員や審議委員、臨時委員に申請本を配布して、意見があれば寄せてくださいということになっています。

 今回、沖縄戦について、審議会の委員や臨時委員、専門委員から意見は寄せられたんですか。

 金森局長 平成十八年度検定の沖縄戦「集団自決」に関して専門委員等から意見は出されておりません。

赤嶺 検定意見に固執する文科省こそ政治介入
 赤嶺 今回の教科書検定意見というのは、文科省の一職員が自分の考えで意見をつくって、手続きはとったといいながら、学術的にも専門的にも、肝心の沖縄戦を体験した沖縄県民の検証にまったくたえられない意見なんですよ。検証にたえられないのが何で学問ですか。

 そして、検証にたえられないような意見が、一回教科書検定意見として手続きをしたんだから、これは撤回できないといったら、間違っても、未来永劫(えいごう)、日本政府はそういう意見の撤回はしないということじゃないですか。間違ったまま進めていこうということになるじゃないですか。こんなのは民主主義じゃないですよ。大臣、いかがですか。

 文科相 教科書の検定制度というのは、時の政府がやはり介入できない仕組みというのをきっちりとつくったわけです。ですから、そのことについてしっかり守っていくということも、これはやはり大事なことであろうと思います。

 赤嶺 これは『沖縄戦と民衆』という本です。実は、文部科学省の調査官が、この本こそ誤解を受けるおそれがある証拠だといって根拠に挙げた本なんですよ。著者は怒っていますよ、文科省は何てひどいことをするんだ、自分の意見をねじ曲げていると。

 客観的に、軍の強制なしには、「集団自決」、当時「集団自決」と言わないんですよ。玉砕というんですよ。玉砕を命じられたんです、沖縄県民は。なのに、軍の強制的関与によって自決に追い込まれたというような表現が、何で学問的検証もなされないで、文部科学省の一役人の起案で削除されることが許されるんですか。

 首相 先ほど私申し上げました沖縄に対する思いというのはそういうことでございまして、この問題は、文部科学大臣にしっかりと対応させてまいります。

 赤嶺 文科大臣、教科書検定意見の撤回を求める、記述の回復を求めるのは政治の介入ではありません。真実を回復してくれという、やむにやまれない県民の要求です。そういう要求を聞き入れない、文部科学省が勝手につくったそういう検定意見に固執することこそ政治的な介入です。

 政治的介入は文科省こそやっている。教科書検定意見の撤回、そして記述の回復まで私たちは何回でも頑張るということを申し上げまして、質問を終わります。

(出所:日本共産党HP 2007年10月13日(土)「しんぶん赤旗」)
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