うらくつれづれ

折に触れて考えたこと ごまめの歯軋りですが

領土問題と日本

2012-09-11 22:36:51 | 政治・行政

尖閣、竹島、北方領土と領土問題がクローズアップしてきた。いずれも、これまで、様子見だった周辺国が、対日強攻策に変化したことが原因だ。尖閣では、チャイナ政府の意向をうけた漁船や監視船が領海を侵犯し、竹島や北方領土には、既成事実化をねらった大統領の訪問があった。
いったい、何故今そういう事態がおきているのか。これは、日本の国力衰退に原因がある。日本の国力が侮れないと感じられていた間、各国は、殊更問題を荒立てようとはしなかった。しかし、日本が国際社会の中で影響力を失うと同時に、その機に乗じようとしているのだろう。
チャイナは、領土問題は、当事国の国力の相対変化で確定されると考える。しかし、これは、国際的な法的強制力を欠く国際社会では当然のことだ。逆に、国際社会で、国内のような秩序が通じる筈と考える人間がお粗末だ。残念だが、国際音痴が集まる島国では、当たり前の考えが認められない。敗戦憲法が、自国の安全を国際社会にゆだねている非常識を、非常識と思わない人間すら相当いる。
国際関係はパワーゲームだ。過去には軍事力が決定的な役割を担ったが、その後は経済力が優位に立った時もあった。最近では、ジョセフ・ナイがソフト・パワーという言葉を発明した。その国の持つ文明力もゲームに影響するということだ。各国は、自らの総力を尽くして、国際社会での覇権を争う。かつてチャイナは覇権国か否かが論争になったことがあった。今となっては、ばかばかしい論争だ。
日本は、おぼれた犬だ。おぼれた犬が棒で叩かれている。残念なことに、その認識が出来ず、いまでも「おとなの対応」を主張する人々がいる。これは、日本が強かった時代、その対応は現状維持に貢献し、領土問題が吹き出ることはなかった。いわば、強者の理論だ。そういう人達は、今でも日本が経済大国だと思っているのだろう。しかし、現実は、ロムニーが言うように、日本は「悲惨な衰退国家」だ。
現在の領土問題の原因を作ったのは、誰か。それは、戦後の歴代自民党政権が、各国との国交交渉において譲歩すべきでない争点を棚上げしてしたことによる。領土問題は、ゼロサムゲームだ。経済問題と異なり、妥協による解決に適さない。竹島は、日韓条約で、国際裁判所付託を明示すべきだったし、尖閣も同様だ。北方領土は、平和条約なしのなし崩しの経済交流をゆるすべきではなかった。
領土で玉虫色の妥協をして経済交流を望んだ財界も同罪だ。領土問題は、国家間交流の基礎だ。基礎が揺らいで、その上に立派な家が建つ筈がない。尖閣侵犯問題では、日本の駐在員が人質になった。ましてや努力して築いた経済的地位などは、一瞬にして破壊される。領土問題が解決しないかぎり経済活動は、永遠に安定しないと肝に銘ずべきだろう。
日本は領土問題を如何に解決すべきか、竹島に関しては、国際裁判所の韓国が応訴するまで、徹底的に経済制裁を加え続けるべきだろう。尖閣は、実効支配を強めるため開発プロジェクトを進めるべきだろう。同時に、チャイナの制裁圧力を削ぐために、国際裁判所への提訴も同時に進める。領土紛争は、尖閣には存在しないなどという政府のフィクションは、外務官僚の自己満足にすぎない。ソ連についても、平和条約の締結までは、経済交流の制限をすべきだ。経済界は、今からでも遅くない、領土問題の決定的解決を政府に迫るのが、自らの利益を守る道と認識すべきだ。抜け駆け企業を懲罰に付す立法も必要だろう。以上の方策も、日本にかつての経済力の残滓が残っている間しか有効ではない。時間は限られている。日本は、いまこそ戦後外交と決別すべきだろう。

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