うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

フランケンシュタインの方程式  梶尾真治  うな

2007年11月26日 | 読書感想
SF短編集。

「冷たい方程式」のパロディ「フランケンシュタインの方程式」
ある郵送員が遭遇した吸血鬼伝説「干し若」
歴戦の勇者たちが辺境惑星で遭遇した怪物「宇宙船<仰天>号の冒険」
選挙活動中に出会えば落選確実という都市伝説「泣き婆伝説」
異常な速度で感染するウイルスを防ぐ方法とは?「ノストラダムス病原体」
地球に不時着した宇宙人は味覚で会話する種族だった「地球はプレイン・ヨーグルト」
以上六編収録。

一定の評価を得ているベテランSF作家というのは少なく、そのベテランの中で、ぼくが何冊読んでもまったく面白いと思わないのは梶尾真治くらいのものだ。
アクション、ドタバタ、ホラー、青春物、感動物、さまざまな芸風をもつ梶尾真治であるがねそのどれを読んでも「もうこの人は読まないでいいや」と思うばかりなのに、なぜか気がつくとたまに読んでいる。ひとえに日本SF界の人材不足ではあるまいか?

で、今回もまた「あー、つまらないんだろうなあ」と思いながら読み始め、最初の三篇を読んで「あー、やっぱつまらないなあ」と思っていた。のだが『泣き婆伝説』、これが面白い。30にして立候補したマーちゃんの甘ったれた空気の読めなさが絶妙で、選挙活動馬鹿の内藤と、まきこまれていい迷惑な主人公の三人の関係がうまく物語を牽引している。もちろん、確立の化け物である泣き婆の都市伝説も面白いし、それが崩壊していくラストも展開早くてよいるうまく仕上がった良作。
続く『ノストラダムス病原体』も短いページ数ながら、下品かつ恐ろしく、くだらなさに笑えながら、オチもうまくまとまっている。
『地球はプレイン・ヨーグルト』は、ちと冗長かなとも思うが、味覚で会話するというアイデアか面白く、オチも含めてこれもまたうまくまとまっている。
総合すると、梶尾真治の作品では一番楽しめたかもしれない。
ややブラックなドタバタSF好きにはおすすめ。

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