![]() | グローランサーIV オーバーリローデッド |
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アトラス |
PSP。RPG。アトラス発売。
PS2で発売されたシリーズ四作目を、シナリオ面を中心に大幅にリメイクした一作。
グロー4と云えばシステム的にシリーズ1の完成度を誇りつつ、シナリオ的に「おい、これ絶対に納期に間に合わないからはしょっただろ」とつっこまざるを得ない打ち切りめいた急展開が印象に残るタイトル。それをリメイクしたというのだから、さぞ打ち切り臭がなくなったことだろう、と期待してプレイ。
実際、その期待には大いにこたえていた。新キャラと新イベントは不自然でない形でうまくはめこまれゲーム内容の密度を上げることに成功している。追加キャラなのにまったくとってつけた感がないのはえらい。同時にオリジナル版で印象の薄かったキャラや悪かったキャラにもフォローが入れられている。
新規ルートでは終盤の打ち切りめいた展開、特にラスボスの「おまえ誰だよ」感はかなり薄れ、立派に黒幕として暗躍しているし最終戦も盛り上がるようになっているし、様々なキャラが死んだりいなくなったりしたオリジナルルートに対し、真ルートと呼ぶにふさわしい、いろんなキャラが救済されるゲーム的に盛り上がる展開になっている。このあたりはオリジナルをプレイしていると感慨もひとしお。
ただ話の展開的にはご都合主義で助かってしまうようなことの連続で、オリジナルルートをプレイしたうえでないとえらい安直なストーリーに見えてしまう気がする。にも関わらず、普通にプレイしているといつの間にか新規ルートに入ってしまうため、PSP版が初プレイの人にはあんまりよくないんじゃないか?という気がする。
しかし全体的にシナリオはがんばっており、グローランサーシリーズとしては1に並ぶシナリオになっていると思う。システムの完成度は圧倒的に4が上なので、シリーズ1の名作はこのPSP版4で間違いないだろう。
PS2版でのユーザーの不満点をよく理解し、見事に解消した、ユーザーの視点にたったリメイクなんじゃないかな?
しかしPS2版の時点でインターフェイス等が古臭くめんどくさいゲームだったのに、その部分までそのまま放置しているのはいただけない。戦闘演出を毎回×ボタンでキャンセルしなきゃならなかったり、移動中にパーティー全員に一括で補助魔法かけられなかったり、戦闘がおわるたびにせこせこ仲間があつまってくるのを待っている時間か発生したり、そもそも戦闘演出自体がもっさりしていたり、戦闘ボイス出すとテンポが最悪になったり、とにかくいちいち快適じゃないんだ、このゲーム。
またゲームバランスもシリーズ毎回中盤からいいかげんで、特に2から4までは毎回、飛び道具もちが異様な強さの固定砲台になるので、贔屓して育てて放置しているだけであらゆる敵が消滅するというのがまったく変わっていない。育て方も毎回同じ。仲間キャラはやたらたくさんいるが、キャラ間のバランスは激しく悪く、また初期からいるメンバーが強いうえに加入がやたら遅いキャラが多く、外見の違い以外にパーティーを組みかえようという気にさせるものがなにもない。
スキルを覚えていく制度はいいけど、使えるスキルと使えないスキルの差がやたら激しく、取得に必要なポイントもいまいちバランスがとれているとはいいがたい感じだし。
周回を重ねて別の展開を見ていくのが面白いシナリオで、引継ぎなども周回プレイに合わせているのだけど、とにかくこのテンポの悪いインターフェイスとバランスのよくないうえにマンネリなシステムではあまり何周もする気になれず、厳しかった。
シナリオとキャラ自体はオリジナルを見事に補完したが、八年の年月が古びたインターフェイスをさらに古臭く感じさせるようになってしまった。なのでがんばったリメイクのわりには、結果的にはPS2版とどっちもどっちみたいな印象になった。
というか、正直、このシリーズの基本的なシステムであるリアルタイム戦闘がそんな面白いものとは思えん。もうちよっとなんとかなるだろうと常に思ってしまう。
つうか率直にいっておれはラングリッサーがやりたい。グローランサーじゃなくて同スタッフの前シリーズであるラングリッサーの新作がやりたいんだよ……
全体的にはそれなりによくできているし、オリジナル版が好きだった人にはおすすめできる作品。しかしシステム・UI、あとついでにキャラデザも、古臭さを感じざるを得ない仕上がりなので、新規ユーザーには進められない感じだなあ。
なんか「おお、よくここまで不満点をつぶしたものだ」と感心するとともに「でもべつにどうでもいいな」という気分にもなる、不思議なリメイクだった。
ラング3やりたいから、当時セガサターン買ったし。