うな風呂

やる気のない非モテの備忘録

朧村正  75点  ∈(゜◎゜)∋

2009年08月26日 | ゲーム日記
朧村正(特典無し)

マーベラスエンターテイメント

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WiiのアクションRPG。
発売はマーベラスエンタテイメントで、開発はヴァニラウェア。

時は元禄。妖刀村正と幻の流派・朧流を巡る、二人の若者の数奇な物語。
一人はある日、化け物にとりつかれ豹変し、何処へと消えた美姫・百姫。
いま一人はすべての記憶を失い、わけもわからぬままに抜け忍として追われる少年・鬼助。
果たして村正の導く二人の運命は?

ヴァニラウェアと云ってもわかる人は少ないが、『プリンセスクラウン』や『オーディンスフィア』を作った人たち、といえば……やっぱりわかる人は少ないか。
上記の二作とも、異常に美麗な2Dグラフィックによる横スクロールアクションRPGであり、今作もまたその流れを汲む作品なのだ。
上記二作の特徴といえば、主人公はお姫様とか、ヒロインは貧乳だが脇役は巨乳とか、無駄に豊富な食べ物とそれを食べた時のリアクションとか、やたらめったら単調な道をひたすらまっすぐ歩かされるとか、見せることを重視しすぎていざ操作するともっさりしているアクションとか、変な場所にあるあたり判定とか、芳醇とすらいいたくなるほどの処理オチ具合とか、そんな感じだ。
云うまでもなく、アクションゲームとしては後半の三点が致命的で、おかげで見るゲームとしては最上だが、やるゲームとしてはいまいちな仕上がりになっていたと云わざるを得ない。

そんなわけで本作も見た目は良いががっかりアクションなんだろうなあ、と思っていたら……!
なんと! 驚いたことに操作性がいい! ものすごくキビキビと反応してくれる!
動きからしてあからさまに忍者を意識しているから、それでもっさりだったら悲しいところなのだが、いやしかし、この反応のよさはどうだ? 前二作のもっさり具合が嘘のようだ!
ボタンを押したらすぐに斬るのはもちろんのこと、斬ってる途中でジャンプやガードに切り替えたり、ガードからそのままダッシュ攻撃に移行したり、二段ジャンプに垂直斬り、飛び道具跳ね返しに画面全体居合斬りと、あらゆるアクションが簡単操作ですぐに出せる、隙なく出せる。まさに思ったとおりに動いてくれる。これはンギモッヂイ゛イ゛!!
失敬、あまりの快適さにTDNしてしまったが、一体何なんだ、この三段跳びの進化は。いままでのもっさりはなんだったんだと聞きたくなるほどに快適快楽。
はっきり云ってヴァニラウェアのゲームの欠点の八割はこのもっさりだったので、ここが解消されてしまえば文句なしのゲームになってしまうではないか!

じゃあ他の部分はどうなのかというと、前二作同様のすばらしさ。
まずグラフィックはばかげて美麗。
和風に統一された背景やキャラクタは静止画だけでもハイクオリティだが、それが滑らかに動くのだからたまらない。まさに浮世絵の中に入って遊んでいるような感覚。
特に女主人公の百姫の動きは鮮やかでそしてエロい。走り出すときに少しづつ鞘を傾けていくところや、露天風呂でちらりとこちらに目線をやるところなど、あまりの芸の細かさに製作者のエロスを感じずにいられなかった。製作者のエロスを一身に受けて作られたため、もうこの姫はなにをしててもエロい。

男主人公である鬼助もまた、いかにも少年忍者らしい、しかしどこかヒーローっぽいイカした動きを見せてくれる。
しかしそれ以上に目を引くのはボスキャラ達。
大百足や大鬼、大蜘蛛、雷神、龍神、その他もろもろ。日本でおなじみのあの神様や妖怪たちが、これまた大胆に動く動く。見てるだけで「そこまでやっちますか?」と云いたくなるほど。緻密に描かれたデカキャラが動きまくる。妖怪マニアにはたまらない。

やはり2Dグラフィックに関してはヴァニラウェアは他の追随を許さない。
食い物も相変わらず無駄にたくさん用意されているし、その絵がいちいちまたプルンとしていて美味そうなのだ。江戸から京都の間が舞台になっているのだが、土地土地の名産が食べたくなる。でもただの白飯もうまそう。材料を集めて自分で料理も出来るし、ある程度はゲーム性に関係あるとはいえ、明らかにシステムを逸脱した力のいれよう。一本筋が通っているね!

そしてシナリオもまた、安心の出来。
地味に出来がいいのがヴァニラウェアのゲームシナリオ。
演劇を意識した台詞回しはゲーム全体で徹底されており、世界観を崩す言葉がないのがまずすばらしい。いささか語り急ぎすぎ、プレイヤーの想像力に委ねすぎているため(悪く言えばライターの独り善がりが激しい)わかりにくい部分もいくつかあるが、ゲームシナリオらしからぬ落ち着いたシナリオと台詞回しだ。
これはこの会社の特色が物を云っている。すなわち社長が監督でシナリオライターでデザイナーでイラストレーターで、という、つまり「プログラム以外全部おれ!」みたいな徹底した俺イズムによって作られているところだ。まさに自分の作りたいゲームを作るための会社。ゆえに、作品内のあらゆる細部にまで製作者の心が詰まっている。もっぱらエロイところとかに。

音楽も崎元仁なので安心のクオリティ。
効果音もまたチャンバラらしくてすばらしい。
また特筆したいのは、前作のオーディンスフィアもそうだったが、声優のキャスティングがすばらしい。
脇をベテランで手堅く固めているのだが、そのイメージがいちいち的確。このあたりは監督が脚本を書いているというのが効いているんだろう。あらゆる部分が製作者のイメージから離れていない。
主役には比較的若手の沢城みゆき、吉野裕行を起用しているのだが、これもまた見事にぴったり。沢城みゆきは男の亡霊にとりつかれている姫、という難役を見事にこなしているし、吉野裕行は記憶喪失の抜け忍の重さと少年の情熱をともに演じきっていた。声が同じなのにヤッターマンのガンちゃんとはとても思えん。
そして一番おいしい悪役を中田・エロボイス・譲治が絡みつくように演じてくれているのがたまらない。

まさにヴァニラウェアの長所はそのままに、最大の欠点を補った秀作だ。世界観やグラフィックに惹かれたのならまず間違いなく買い。
が、ほかにも点在していた欠点は、残念ながらそのままに。
ひたすら横に歩いていくだけのやたら長いマップ移動の単調さ面倒くささ。
アクションの種類が少なく、ゲーム中でも増えないために次第に単調になる戦い方。
108種類といいながら、実質は2種類で攻撃力が違うだけの武器。
やたら硬くして攻撃力をあげるだけで調整されている高難易度。
などなど。
いままで多少ならずとも足を引っ張っていたものが邪魔にはならなくなった程度の成長であり、長く遊べば遊ぶほど、アクション部分の底の浅さが目についてしまう。

しかし欠点に嫌気がさす頃にはコンプリートしていると思うので、ある意味ちょうど良いボリュームでもある。逆を云えばじっくりやりたい人にはちょっと物足りないか。
ともあれ、前二作のファンならWii本体ごと買いで間違いない逸品。




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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とと)
2009-08-27 03:10:06
納得です、いつも関心して読ませていただいています。Wii丸買い決心しました。
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Unknown (usa)
2009-08-27 05:59:44
弟が、これとモンハン目当てでwiiを買ったそうです。
「『朧村正』ってなあに?」
と内心思ってたけど、うなさまの文章を読んでたらプレイしてみたくなっちゃったなぁ。
う~。wii貯金するかのう…。中田譲治ファンだし。

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Unknown (うなぎ)
2009-08-27 10:14:04
>>ととさん
コメントと見せかけてエロサイトへの誘導
実に汚い
うな風呂が中堅規模のブログになったことを実感させてもらっているよ


>>usaさん
その弟はなかなか話のわかる奴だ!
うちに来てサターンのクソゲーコレクションをプレイしていいぞ!
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