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イマを見つめて
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狙われる子供たち――現代社会の病巣を考察する

2006年05月19日 08時18分00秒 | 社会・経済
秋田で小学生の男児が殺害される事件が起きた。この町では、わずか1ヶ月前に今回の被害者宅の2軒隣りの女児も死亡している。こちらは事故として捜査されていたようだが、今回の殺人事件で見直しが迫られそうだ。川崎のマンション突き落とし事件を思い出す。あの事件も、最初の小学生は転落事故と見られていた。それが二人目の清掃作業員への突き落とし未遂によって殺人事件だったことが判明し、犯人が逮捕された。あるいは今回も同様の展開となる可能性も考えられる。

動機は未だに解らないが、悪戯目的の線は薄いだろう。子供が殺害されたらそういう形跡が有るかどうかを調べるのは当然だ。特に1ヶ月前は女児であり、悪戯された形跡を絶対に調べただろうし、その形跡が無かったために事故と見られたのだろう。快楽殺人の線もあるが、あるいは別の動機も考えられる。社会への復讐殺人というものだ。
明確なメッセージを感じたのは、池田小児童の大量殺傷事件だ。現代社会への復讐殺人。川崎の突き落としも同様の面が有ると感じる。容疑者は「死にたかったので、死刑になろうと思ってやった」と語っているようだが、死にたいだけならば子供を突き落とさずに自分が飛び降りれば良い訳で、わざわざ子供を殺したのは自分一人で死ぬのは無念過ぎるという怨念だろう。
子供を標的にしているのは、弱いので殺し易いという直接的な理由よりも、社会が最も嘆き哀しむ対象が子供であるからだろう。なんの罪もなく、前途ある清らかな生命がたった10年前後で理不尽に摘み取られたという純粋な嘆き哀しみもあるだろうし、少子化が大問題になっている現代にわざわざ子供を殺すことはなかろうという打算的な怒りもあるだろう。それこそが犯罪者にとっては最も効果的な標的と言える。

これは悪戯目的や快楽殺人等とはまったく別のいわば自爆テロのような殺人だと思う。自爆テロというのは半ば例えだが、半分は実際にアルカイダのようなテロリストと共通する心理がある。社会に対する虐げられた弱者の怨念。そういう物が大きな動機ではなかろうか。
みのもんたみたいな単細胞人間が「甘ったれるんじゃないッ!」なんてズバッと言ったところで、この手の事件は根絶されない。先日、某番組のコメンターが「食うに困らない今の日本で……」等と平和な発言をしたのを聞いて苦笑した。既に食にも事欠いている人間が珍しくないのが格差社会・日本の現状である。温厚な負け組は勝手に自殺してくれるだろう。しかしそれでは腹の虫が収まらない過激な負け組は、復讐殺人を犯す。つまり我が国が抱えている病巣にメスを入れなければ、このような事件(今回の秋田の事件はまだ断定できないが)は無くならないどころか、反対に増加の一途を辿るように思われる。社会への怨念を晴らす最上の標的は紛れも無く子供であるからだ。

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