日伊相互文化普及協会

日伊相互文化普及協会のブログです。

イタリアのクリスマス

2006-12-27 11:58:00 | Weblog
友人のジャンピエロの家族は妻のルイーサ、大学生のエリーザ、小学生のフランチェスコの4人。ここに日本人のSちゃんが加わる。
Sちゃんは大学生。冬休みや夏休みになると、日本の家族を見捨ててジャンピエロの家族になってしまう。当然この冬も。
24日の午前中、ジャンピエロはSちゃんを連れて愛犬の散歩。と、一軒の宝石店へ入った。
「これ、いいだろ、絶対ルイーサに似合うと思わないかい?」とSちゃんに聞いた。
宝石に縁のないSちゃんは困った。しかし、きれいな石なので「いいんじゃない」と答える。「時間がないんだ、買わなきゃ」とジャンピエロは嬉しそうに妻、ルイーサへのプレゼントを買った。
夕方ジャンピエロとルイーサは買い物に行き、そして家族揃って姉のアルバ夫婦の家へ。
クリスマスイブのご馳走がみんなを待っていた。
この日のメンバーは7人。大自然の中で静かにイブを祝った。
そして24時になると教会へ。ミサに参加するためだ。
私は普段の生活で、この家族が信心をしていることは全く見たことがない。クリスマスになると自分の宗教を思い出すのかな。

25日の翌朝、Sちゃんは遠くで鳴り続けるベルを、何だろうと思いながらウトウトしていた。ベルは鳴り止まない。15分くらいが過ぎ、起き上がったSちゃんがベルの元をたどって行くと、そこは洗面所だった。洗面所の音響効果で家中に目覚まし時計の音が響いていた。
9時15分を指して鳴り続ける目覚まし時計を前にSちゃんが呆然としていると、「Sちゃん、起きなさい、起きなさい、今日はやることが山ほどあるのよっ」とルイーサがキッチンの方から洗面所にいるSちゃんに叫んだ。
ルイーサはみんなより先に起きて料理を作っていた。ジャンピエロやエリーザ、フランチェスコは大音響をものともせずに枕に顔をうずめていて、Sちゃんはみんなを起こして回った。

今日は親戚30人が集まってクリスマスを祝う。
一家庭では全員が入りきらないのでジャンピエロの経営しているアグリトゥリズモに集う。
料理は持ち寄りだが、ジャンピエロの姉のアルバの夫、シェフのパオロが特製料理をアグリトゥリズモの大きな厨房で腕を振るう。
宴会は13時から始まり、エンドレス。
電話を通して楽しい様子が伝わってきた。Auguri Buon Natale!!!

スローフード・中世の晩餐会

2006-12-20 21:26:30 | Weblog
来日していたジャンルーカ先生は今日帰国する。
彼は熱心なスローフーダーだ。「昔の人の食べていたものを思い出すのも大切なこと」
と、毎年16世紀の晩餐会の再現、「ノッツァーノ」というユニークなイヴェントを行っている。



場所はトスカーナの山間の古城。一般の有料参加者は普通の服でもよいが、ルッカ市の招待客は子供も大人も中世のいでたちで来なければならない。
暗くなってくるとタイマツと燭台を灯す。テーブルの上には陶器のお皿とコップ。
16世紀にはまだ個人用のナイフやフォークはなかったので、木のスプーンが置かれる。


食事の前には芸人が芸を披露。



中世の文化を伝えるのもスローフード運動の一つ。


そして昔の宴会の象徴だったリンゴがテーブルの中央に。




人々は揺れるタイマツの灯かりのもとで料理を手でちぎり、歯で噛み切る。スープはスプーンを使うか、器を持って飲む。
料理は豚肉は放し飼いの豚、鳥は野鳥、野兎、古代麦、野生のフィノッキ、野生のルッコラ、野生のチコリア、有機野菜など。ドルチェは野山に自生する果物を使ったお菓子。
調理には電気もガスも使わない。火と炭だけだ。
この宴会は食べ始めて終わるまで6時間続く。







「スローフードで大事なのは、家族揃って食事をすること、そしてこんな風に知らない人とでも食べる時間を共有して楽しむことだよ。」とジャンルーカ先生。
スローフード協会ルッカ会長のピエロやジャンルーカ先生は「ノッツァーノに招待するよ」と言ってくれている。衣装も貸してくれるそう。
今度ノッツァーノの参加計画を立ててみようかな。

                                  Emi

おいしい懇親会

2006-12-16 13:59:45 | Weblog
ルッカ学院のジャンルーカ先生の来日に合わせて懇親会を行った。ジャンルーカ先生は(株)文流のリストランテの国立店でクリスマスコースを作ってくれた。
実は2日前に私はパソコンから離れたとたんにギックリ腰になって、おととい、昨日と身動きができずに本とテレビのリモコンを抱えて布団の中にいた。けれど「今日は北海道や大阪などの遠方から来てくれる人もいるのよ、寝ているわけにはいかなのよ」と、ヨタヨタと3時間をかけて国立までたどり着いた。

うっ、とか、あっとか言っていた私の腰の痛みはワインを飲んだら不思議に薄らいできた。
浦安から参加した米ちゃんは「もっと飲んだら完璧に治る」と言ってドボドボと私にワインを注いだ。
横浜スローフード協会会長の毛利さんは同感という顔でうなずいた。
ジャンルーカ先生にはギックリ腰と言ってあったのに、「ね、そうでしょ」と相づちのたびに私をこづいて揺らす。



【ジャンルーカ先生のメニュー】
・アンティパストの盛り合わせ
・トルテッリーニのコンソメ仕立て(歳をとった雄鳥から取った出汁)
・海の幸と季節野菜のフリット
・七面鳥の胸肉のオーブン焼き、ポテト添え



ジャンルーカ先生は一皿ごとに厨房から出てきて料理の説明をしてくれる。
遠路はるばる大阪から出てき、シェフの卵の大ちゃんは、一言でも聞き漏らすまいとジャンルーカ先生の顔の前に自分の耳を突き出す。
人夢さんの眼つきはいつもながらの味覚の哲学に挑む探索者。食べてる途中の人夢さんに声をかけたとしても、聞こえないんじゃないかしら。
もし、もしも、食べてる途中でお皿を取り上げたとしたら・・・・。
これは1度やってみたい、危険は覚悟の上でも。

私はトルテッリーニのコンソメ仕立てと野菜のフリットがすごく気に入った。
ジャンルーカ先生の料理は優しくて、和やかでおいしいとたいていの人は言う。

楽しんだ我々はジャンルーカ先生と一緒に店を出た。
札幌から参加したうるわしの熟年女性、野崎さんは国立駅のそばにホテルをとっていた。
明日はのんびりと東京見物をするそう。
米ちゃんの元気は有り余っていて、私に次を誘うのだけれど、麻痺したギックリ腰の、明日の反動が怖いので帰ることにした。
イタリア、イタリアと言ってまた1年が過ぎてゆく。


                                Emi

【アグロトゥリズモとスローフード・文化講座】

2006-12-05 18:19:03 | Weblog
人夢さんが最新の写真で資料に使う画像を編集してくれた。
当日渋谷で落ち合う予定でいたが、人夢さんの調子が悪くなった。
「自宅まで取りに行くから安静にしててね」というと「DVDはスタジオにある」
無理をしてスタジオまで出てくれた人夢さん。ドアを開けると生気の薄くなった人夢さんがヌボーッと立っていた。もとが丈夫だから復活も早いだろうと、渋谷の日伊学院へ向かった。
17:10から始めた講座ではアグリトゥリズモの紀元やタイプ、食のこだわり、スローフードの定義とイタリアの協会の活動などを話した。
質問をはさんだ形式なので、対話ができて活気があった。誰も居眠りをしなかった。(ホッ)
アンケートでは「話が面白かった」「分かりやすかった」などの高評価。
受講者の一人から、自分の団体でもイタリア文化講座をやって欲しいと仕事の依頼あり。
中ばんで質問はないかと尋ねた時、「その写真は誰が撮ったんですか」と聞かれた。
そして、次々に「きれいですねえ」「いいですねえ」と声があがった。
人夢さんは来れなかったけど、人夢さんの腕は高く評価されたんですよ。



講座が終わり、お疲れ様を言って画像係のYas君と外へ出た。
しゃべったせいで喉が渇き、またおなかも空く時間。1分歩いたところで居酒屋「東方見聞録」へ。
実によく食べ良く飲んだ。私もお酒は生ける口。
講師料はおなかの中へ納まった。