日伊相互文化普及協会

日伊相互文化普及協会のブログです。

食・スローフード【葡萄畑のバラ】8月9日(水)

2006-08-09 11:16:07 | Weblog
イタリアのブドウ畑ではバラの花をよく見かける。
ロマンチストのイタリア人、畑にまで…..、と日本人は思うかもしれない。

実はこのバラ、自分の身を犠牲にして葡萄の健康を守っている。
畑の主はバラの木を見て葡萄が健やかに育っているのかを知ることができる。
木に少しでも変化が現れたら主人はすぐに葡萄が発病しないように手を打つのだ。
薬を使うにしても未病のうちにほんの少し使うのだから薬害も出ない。

20年ほど前、外国企業や大手企業が、生産性を上げるために、芽吹くと同時に農薬を与え続けていく農法を薦めたことがある。
葡萄作りに携わる人たちにとっては、葡萄はわが子と同じ。生まれると同時に成長するまで農薬にまみれさすなど、利益を上げるためといってもできることではない。

人々はバラにおもりをゆだねる昔からの農法を続けてきた。
現在は他の科学的な方法で、葡萄の病気の早期発見ができるようになったようだ。10年ほど前よりバラの数は減っているように思える。

私はブドウ畑にバラが咲くのがこの先もずっと、ずっと続いてほしいと願う。
その風景はとてもイタリア的だもの。
                            Emi

健康・【日本の「水療法?」とは】8月8日(火)

2006-08-08 11:15:20 | Weblog
「この水を飲んで病気が治った」とか「この水こそ」とかという言葉をよく聞く。
また、「人間は誰でも一日に2リットル以上の水を飲まなければならない」など、半ば水宗教まがいの記事もある。
猛暑の夏の2リットルならまだともかく、春、秋、冬などの季節やその人の体質、習慣を無視している。

水は「水毒」というように間違えると怖い。2リットルの水受け体質にない人が、無理やり2リットル以上の水を飲んだらマイナス結果は明らかだ。
毒と薬は裏表。良質の水を、体質や症状に合わせて量を調節して、水が分かる人に相談しながら飲めば有効になる。

日本でミネラルウオーターとして売られている水に効果は期待できない、とイタリア人医師たちは言う。
日本のミネラルウオーターは必ず、殺菌のために何らかの手が加えられている。それはもはや水分であって、地から湧く本来の水ではない。
また日本のミネラルウオーターは加熱殺菌処理がほとんどだ。湯冷ましと呼んだほうが適当だ。

日本にいて水を健康に役立てる方法は?
①水源に行って、直接ボトル詰めをして持ち帰った水を飲む。
②外国産のナチュラル・ミネラル・ウオーターを飲む。自分に合った硬度に充分注意を。
③水道に浄水器を付ける。マイナスイオンという言葉に騙され、高価なものを売りつけられないように注意。
 
以前、イタリアのモンテカティーニ・テルメに私と行って、「このあたりはマイナスイオンに満ちているのですか?」という質問をドクターにした温泉通がいた。
ドクターは「何の元素のマイナスイオンのことですか? プラスとマイナスのイオンがバランスを崩す理由について知りたいのですか?」と聞き返された。質問した温泉通は絶句した。

ありとあらゆるものは元素が形成して、元素の周りをプラスとマイナスのイオンがバランスを取り合っている。木、車、人、家、道、チョコレート、スパゲッティ、イコール元素の終結。
「質問の意味が全く分かりません。それに主題と関係ないでしょう」
ドクターは言うと「次の質問は?」と切り替えた。

「マイナスイオンいっぱい」をうたう業者に何のマイナスイオンか聞いてみてください。カルシウムとかカリウムとか答えたら大学で化学を専攻しましたね、その人。しかしです。彼らが言うマイナスイオンという言葉は商売用語なのですぞ。

 蛇足ですが、イオン化という言葉は化学的分野になります。興味があったら調べてみてください。世間にはばかるマイナスイオンという言葉とは関係ありません。

健康・【薬を飲むより水を飲めとアスクレピオス】8月7日(月)

2006-08-07 11:14:18 | Weblog
レオナルド・ダ・ヴィンチは「薬を飲む者は療法を誤る者である」と説いたことを前に書いた。
アスクレピオスはレオナルドのずっと前、ローマ時代以前に口をすっぱくして(すっぱくなかったかもしれない)、水を飲めとがなりたてたという。薬追放者としてはレオナルドの大先輩だ。
アスクレピオスの飲泉療法説は数え切れない臨床で効果が証明されている。
イタリアでは飲泉療法は100%の保険が利く。
モンテカティーニ・テルメでは多い日で1日5,000人以上がテッツッチョの施設で湧水を飲んでいる。湧水学者の管理の下で。

食・スローフード・【北海道お取り寄せパーティ】8月5日(土)

2006-08-05 11:13:23 | Weblog
食いしんぼの人夢さんのスタジオに北海道からおいしいものが集まった。
食材はほとんど北海道産。(ピッツァに使った餃子の皮はどこ産か知らない)
お献立
*トマトの甘酢漬け
 濃いトマトの味を甘酢がいっそう引き立てた。
*焼きもろこし
 ダイナミックに皮ごとオーブンで20分焼く。香ばしさがたまらない。
 皮付きだから甘みが外へ逃げない。四つ切に切り分けてテーブルに運ばれたが、いくらでもあとを引く。
*糠漬けのホッケと桜マスの焼き物、チーズ添え。
 糠付けの魚とは! 発酵もののチーズととても良く合う。トムという名のチーズは焼いたらますますおいしくなった。
*ミニピッツァ
 餃子の皮を使い、オリーブオイルを塗る。トマトソース、ソーセージ、チーズ、バジルを乗せてオーブンで焼く。シンプルでカリッとしていてジューシー。
*ラム肉の骨付きステーキ。
 片側の骨の部分をペーパータオルでギュッと掴んでナイフで骨をしごく。骨にくっついた一番おいしい肉が食べられる。わさび醤油で。

以上、といいたいが、最後に……冷汁!
北海道じゃないじゃない、宮崎でないの?
先月宮崎に行って冷汁を食べた人夢さんは、みんなに作ってあげたくなった。北を主役に
選んだけど、南にも肩入れもする八方美人の人夢さんはコースの「トリ」という準主役を
南に与えた。

人夢さん風冷汁の作り方。
・ゴマをすり鉢で荒く擂る。
・味噌と、焼いて頭と骨をはずした味の干物をほぐし入れてさらに擂る。
・バーナーで鉢の中を軽くあぶる。香ばしさが増す。
・いりこ出汁を少しずつ加えてかき混ぜる。
・水気を絞った豆腐(北海道産です。参加しました。)を割りいれる。
・刻んだミョウガ、きゅうり、大葉を入れて全体を整える。
・冷蔵庫に30分ほど冷やし、熱いご飯にかけて食べる。
 
人夢さんにひいきされた冷汁は謙虚にテーブルへ、といいたいが、大きなすり鉢入りでかなりのインパクトがある。「つまり猫マンマね」などととんでもないことを言うやつがいた。猫マンマは残り物の味噌汁をごはんにかける。冷汁は最初からご飯にかける目的で作られる。内容も豪華で充実してる。全く違うと私は言いたい。
猫マンマといった人は三杯のおかわり。人夢さんはもっと食べたのじゃないかしら。

この日の料理の詳しいことは人夢さんに聞いてね。
                                  Emi

食・スローフード【食の学習後にマックへ。怒り狂うマンマとパパ】8月4日(金)

2006-08-04 11:10:28 | Weblog
イタリア在住のイタリア人スタッフ、Chiaraからのニュース。

ノヴァラ県の一公立小学校。
この日、子供たちは先生たちに連れられて大規模スーパーに行った。郊外学習で食について学ぶため。
楽しい(?)学習は終わって先生も生徒もおなかがすいた。先生たちはスーパー内に併設されているマックへ。
その頃、親たちは子供たちが学校の優雅なランチルームで、出来立ての食事を摂っていると思っていた。

翌朝、その小学校にまゆを吊り上げたマンマたちと、拳を振りかざすパパたちが押しかけた。
イタリア人のこと、仕事なんて関係ない、かわいいわが子のためには自分をかなぐり捨てて子供を守る。

キアラは、その後の先生たちや校長先生の末路を知らないと言った。
多分、先生たちは黄色いMの付いた赤い看板を見ると、どっと悪い汗にまみれるようになったのではないかしら。


↑はミラノのマック



                           Chiaraからのニュースより

人・【 サムライSergioさん。 5度目の来日】2006年8月3日

2006-08-03 11:09:15 | Weblog
本名Sergio Pastore
45歳 男
ミラノ生まれ。
5年前に愛知県の日本語学校で日本語を学ぶ。
空手歴 40年 6段
気孔歴 18年
大学卒業後コンピュータの会社に就職。
5年前に「飽きた」と辞職。
これからは好きなことだけをして暮らすそう。(かってにしてください)
大切にしていることは人とのコミュニケーションだという。

1日に成田についてから東京、大阪、日光へ。自分の観光のためではない。
4月にサムライ仲間を連れてまた来るので、彼らのために手はずを整えるのだ。
ユニバにピエモンテの最高級のワインを2本届けてくれた。Grazie. 次回の試飲会で頂くことに。(絶対一人だけで飲むよ、と言う声が聞こえる)
Sergioさんとお友達になりたい方は当、ユニバまで。日本人のお友達大歓迎だそう。
                  Emi

食・スローフード【イタリア食材の範疇にないケチャップ】8月2日(水)

2006-08-02 11:07:49 | Weblog
イタリア人はケチャップを使わないから、家庭でもレストランでも置いていないと前回書いた。昔も今も。
イタリア人にとってケチャップはおぞましい「もの」であるようだ。

36年前の日本にはパスタといえばロングパスタのスパゲッティナポリタンしかなく、ソースはケチャップだった。水煮トマトやトマトソースの缶詰もまだなかった。
イタリアでロングパスタの味を覚えた私は日本に帰ると時々作って食べた。
若かった私はトマトを買ってきてソースを作るなどという、日本ではまだ誰もやっていないことをやろうとは思わなかったから、ソースは当然ケチャップ。
不思議な味のスパゲッティになるのだが、日本にいるときはそれでいいと思っていた。

あるときイタリア人に「あんた、日本でスパゲッティを食べるん?」と聞かれ、「自分で作って食べる」と自信たっぷりに答えた。
「ソースは?」と聞かれ、「ケチャップ」とまた自信たっぷりではないが答えた。相手は口をポカンと開け、二人の間にしばしの間があいた。そして「ケチャップ?」と3度聞き返され、「フランス人がトマトソースの代用でオムレツにかけたりするやつ?」と念を押された。

その後あちこちで何度か同じことをたずねられ、同じことを答えた。
「ソースぐらい自分で作りなさいよ」「味おんちになるよ」「能なし」「オエ~ッ」。
なんだかケチャップと言うのがはばかられてきた。
しゃあない、と、とうとうトマトを買ってきて自分で作った。作ってみて心からしみじみ「作ってよかったあ」と思った。
その頃はレストランでもトマトから作ったソースが出始めていたが、まだ大半がケチャップだった。

食・スローフード【スローフードに定義はあるの?】8月1日(火)

2006-08-01 11:06:36 | Weblog
今の日本、どういうわけかあちこちで盛んにスローフードと口にする。
「ゆっくり食べるんだよね」「ゆっくり消化する食べ物よね」「無農薬、有機のことだよ」「地産地消のことだよ」
どれも当てはまらない。無農薬、有機、地産地消に関しては次回に述べよう。

定義があるとして、定義なるものを挙げたら切りがない。スローフードの幅は思いつく以上に膨大だ。けれど大まかな定義に該当するものを挙げてみる。

1)食事の時間を大切にし、コミュニケーションを楽しみながら食事を摂る。
2)次の世代に食の大切さを伝えていく。
3)発酵や醸造など自然が造り上げる食品に人工的な手を加えない。
4)自然に沿った土壌作りをする。
5)伝統のある料理や食材を守る。
6)昔ながらの製法を行う弱小や極小の団体や個人を守る。

これらに加えてスローフードを語るなら、無限のように湧いて出る。

「よく分からないのよねえ」という人は素直。本家のイタリア人たちだって分からない。イタリアではスローフードという言葉を知っている人数は日本よりずっと少ない。
しかし、知らなくてもスローフード協会が言おうとしていること、1)と2)と4)に関しては昔も今もそう変わりない。他の部分では18年前にアメリカ系の企業が進出してきた頃から危うくなりかけた。分けも分からない不安に駆られたというイタリア人たちは変わろうとすることに疑問を抱いた。

アメリカ系といえば、18年前に私はミラノで、「へえ、イタリアにも○ックが」といぶかって店を眺めたことがあった。そして帰国してまた1ヶ月もしないでミラノに戻ると、そこには前に見た○ックの店はなかった。イタリア人の猛反発で撤退したそうだ。
その後も出店しては退店を繰り返して、落ち着いたのはそう昔のことではない。

パニーノだってイタリアンバーガーではないか。なぜそう目くじらを立てるのか。
それはあたりまえだとイタリア人たちはいう。イタリアンバーガーは売る側が生ハム、加熱ハム、サラミ、ソーセージなどの全ての出所をはっきりと客に言うことができるという。また油に敏感なイタリア人たちは○ックの油に不安を感じるらしい。
そしてケチャップ。イタリア人はケチャップは使わないからどの家庭でも置いていない。