日伊相互文化普及協会

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『温泉』 【湧水学者】 モンテカティーニ  2006年6月30日(金)

2006-06-30 02:27:28 | Weblog
イタリアは日本と同じく医師になるためには国家試験を受けます。
イタリアでは大学で勉強する時、水についても学びます。

湧水医学者になるためには医師の資格をとったのち、さらに大学で地質学や化学も含め湧水医学を5年から6年学びます。そしてまた湧水医学者になるための国家試験を受けます。

教えてもらう端から忘れてしまう私は一生かかっても湧水医学者にはなれないでしょう。
水はおもしろいんだけど。
Emi

『温泉』【モンテカティーニ・テルメ】 モンテカティーニ 2006年6月29日(木)

2006-06-29 02:25:42 | Weblog
いよいよ今回の研修のメインのテルメです。
今まではお客様でいられて優しくされてきました。
多少の失敗をしても「いいのよ」「暑いでしょう?」「冷たい飲み物はいかが?」なんて言ってもらえました。

もうそんな日々は終わりです。
ぶっちょう面で迎えられ、「なにをやってんだ!」と怒られ、「夏は暑いもんだ」、「水だと? 勝手に飲め」といわれる、かもしれません。

質問をすれば「そんなこと来る前に彼らに教えなかったのか? それともここで覚えたことを忘れたのか、ばか者め」と冷やかな目を向けられるかもしれません。


モンテカティーニ・テルメは世界で最も古い湧水医学地で、世界一医学水準の高いテルメといわれています。水源はローマ時代以前に発見され2,000年以上の歴史があります。
フランスやドイツは古くても200年、古代ローマ人が整備した温泉を掘りなおしたものです。



ヨーロッパやアメリカのテルメはモンテカティーニ・テルメから学んでいます。
湧水医学の国際会議や湧水学者のオリンピックはこのモンテカティーニ・テルメで開かれています。

ここでは湧水医学療法を行っている国から来た人たちには、温泉プールやテラピー、トリートメントに保険が適用されていて、イタリア人には100%が適用されて無料です。
去年まではイタリア軍隊に兵役中の軍人はホテルまで無料でした。でも、兵役が義務ではなくなったので、今年からホテル代は頂くそうです。

モンテカティーニ・テルメはほかのテルメと違って、ひとつの施設の中に全てがあるわけではありません。
プールの施設、治療の施設、健康維持のトリートメントの施設、エステの施設、イタリア人だけの専用施設が広大な保養区の中に分かれていて、回るには徒歩か車を利用します。
湧水医20人が常駐し、療法士200人、技師80人がいます。

モンテカティーニ テルメ
http://www.termale.jp

Emi

『温泉』 【フォンテ・ヴェルデ・テルメ】 サン・カッシャーノ 2006年6月28日(水) 

2006-06-28 02:22:30 | Weblog
Sirbestoli先生との約束は午後3時。
テルメは白亜の建物、そしてテルメの横には超豪華な五ツ星ホテル。ここに泊まってテルメに通うのだ。昨日のモンテプルチャーノとはだいぶ趣が違う。
「まず、プールね、自由に入っていいわ、特に規則はなし。そのあとテラピー。施設めぐりは5時半からよ」
美人系のシルベストリ先生は視察のコーディネートをして受付に待機していた。
受付でテラピーの料金を払う。高いのだ。ここは私営のテルメだから。
「プールは最初2分入ったら出てね」と私は言う。「そして15分間プールサイドで休息。そして今度は5分入っても。で、今度は20分の休憩。で最後は2分で終わり」
イタリアの温泉は日本とは違う。医療に使うくらいの泉質だから想像ができると思う。で、塩素が入ってないモロ温泉水なのだ。イタリアの温泉に慣れてない日本人が「い~い湯だ~な~」なんて入ってるととんでもないことになる。

みんながプールやテラピーをやっている間、私とドライバーのルーカはテルメの中のバールへ。涼しい。
さっき食べたばかりだけれどおやつを摂ろうということになって、キッシュを頼んだ。高い。ビールも欲しかったドライバーのルーカはあきらめた。
そこへ7人の団体が入ってきた。明らかに普通ではない。大金持ちに間違いない。17歳くらいの女の子もお金やダイヤの匂いがする。(ダイヤの匂いはかいだことがないが)
そういえば、さっきから私たちの目の前をうろうろしてる人たちはみんな「大金持ちですよん」という透明の名札を付けている。

7人の侍ではなく、普通ではない7人の大金持ちたちは、スプマンテの「プロセッコ」、つまり日本で解釈されているシャンパン(シャンパンはフランス語。イタリアではスプマンテという)の辛口を注文した。
みんなさりげなく、そして17歳の女の子までも普通そうに「プロセッコ」を口に運ぶ。
私とルーカは持参したボトルの水を飲んでいる。
「昼間っから!、子供までっ! 高そうな服着てっ!」と、自腹で、プライベートで「プロセッコ」を飲んだことのない、くたびれたシャツ姿の私は面白くない。

ルーカは異常な金持ちどもを相手にしていない。窓の向こうの温泉プールを眺めている。偉い!
私の冷たい視線を浴びた彼らは居心地悪そうに(悪くなかったかもしれない)去ったあと、私は「水っ!」と言ってミネラルウォーターの小ボトルを注文した。高かった。けれどおいしかった。

その後、シルベストリ先生は親切に、根気よく療養の施設やトリートメント、エステの施設を案内してくれた。全ての施設がひとつの建物にあって移動がらくだ。
3階の屋外の温泉ジャグジーからは広大なトスカーナの山々や丘、ブドウ畑などが一望できて、月並みだがまるで天国の絶景だ。そう、ここは高くてもいいのだな。
Emi

【異常気象の中のテルメ】 モンテプルチャーノ 2006年6月27日(火)

2006-06-27 02:21:31 | Weblog
9時。陽は高くなっていた。
3年前まではイタリアの暑さは刺すような暑さだが、湿度がないので家の中や日陰に入ればひんやりと涼しかった。
それが今はどこにいてもジワッと暑い。インドネシアの湿気とまではいかないが、イタリアの国でこんな熱気は異常だ。
今日はviteruboのテルメに視察に行く予定であったが、Cogniliali先生に急用ができたため、アグリトゥリズモの主人、ジャンピエロと秘書のシモーナの勧めで急遽Montepruciano(モンテプルチャーノ)のテルメへ行くことになった。
そのテルメって知らない。自称温泉通の私なのに聞いたこともない。
初めてなら着替えねば、とスーツ姿に。
滝のような汗で棒立ちの私に「持ってけ」と宿の主人のジャンピエロが情けない顔で私を見てバスタオルを投げた。

刈り入れ前の麦畑は火が付く寸前に見える。救われるのはブドウ畑の緑。
テルメではバルバラという先生がが待っていた。
施設はきれいで、花であふれている。
中は冷房が効いているのかいないのか、場所によっては蒸気でクラクラ。
「あれが温泉プールよ」というバルバラ先生の額から汗がダラ~リ。
はいはい、分かります、日本にもありますから。今日のお湯はさぞかしあったかくて効くでしょうねえ。
我々はマッサージ室、診察室、トリートメント室を次々に回る。典型的なイタリアのテルメである。効率よくトリートメントが受けられるようになっている。
利用客はイタリア人よりドイツ人の方が多いような。なんでも、ドイツ人にとってイタリアのテルメは憧れなのだそう。同じEU国なので保険も利用できる。
「暑いでしょう、温泉ですものね」とバルバラ先生。
温泉でなくても暑いのだけど。
バルバラ先生は熱心に施設の説明をしてくれる。私も熱心(そう)に訳す。
なにしろ昨夜イタリアに着いたばかり。時差ぼけはまだリセットされていない。
おまけにこの暑さとテルメの湿気。
このテルメの細かいことはおぼろげな記憶となったが、バルバラ先生のマスカラで縁取られた目とよく動いた口元は覚えている。
Emi

『雑』【奇跡の水】 オルヴィエート 2006年6月26日

2006-06-26 02:20:12 | Weblog
昨夜、オルヴィエートに着いた。
今回の短期留学は「湧水医学を学ぶ」。テルメという日本語では温泉と訳されている湧水医学地を視察する。

いつも、イタリアに来た翌日は早く目が覚める。今朝も5時に目が覚めた。
庭園で朝飯前の木苺をつまんでいると向こうのプールで人の気配。
なんと私より早く起きて泳いでいる日本人がいた。(今回の参加者)
湧水医学を学ぶ前にイタリアの水に慣れようというのかな。

朝ごはんを食べた後、山の中に湧く「奇跡の水」を汲みに行くことにした。
険しい山道を走って、歩いて、水場に着いた。
早くも先客が何人か立ち寄った形跡がある。
この水は医師のお墨付き、特に腎臓にいいという。代謝がよくなって疲れなどは吹っ飛ぶという。何度も飲んでいる私は実感済みだけど。
州外からも水を汲みに来る人は多い。実際に病気が治ったという人を私は何人も知っている。ミラノの友人にこの水を頼まれたこともある。
この水はほかの水と比べると重さが軽い。本当の話だ。クラスターが小さいからだ。
売るとかなり高い値がつくらしい。売って市の財源にしようという声もあるが、大方の市民はこのままにしておきたいらしい。

この水に限らず、オルヴィエートの水質は抜群にいい。甘みがあっておいしい。
驚くのは洗顔や洗髪、身体を洗うときに使用する石鹸やシャンプーの量が日本にいるときの10分の1の量で事足りる。ほんの少量でとても泡立ちがいい。
食べ物がおいしいのもこの地域の水のせいでもあるのだ。
                                    Emi