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広域公共サービスの向上=地域経済振興?

2007年04月12日 | 
最近は結構時間が空いているので、きょうは久しぶりに本↓を読みました。
D・ヘントンほか『社会変革する地域市民―スチュワードシップとリージョナル・ガバナンス』第一法規、2004年。


都市における産業集積はなぜ起こるのかを社会変革とセットにして議論した本です。
内容的には、市民による社会変革を通じた公共サービスの革新が、
産業立地に作用していることをアメリカの諸都市圏の事例から示しています。

アメリカでは公共サービスの格差が比較的大きいことが要因かなぁと思いました。
このため企業は、サービスレベルの高い地域を選好するという状況が見て取れます。
そのサービスレベルの高い地域ほど、従業員の定着率が高いのだと思います。
特に公共交通政策と公営住宅政策が大きな意味を持っているようです。

この公共サービスの革新を担うのが地域の市民(や市民団体)だと言います。
その地域の市民(団体)が自主的にサービスを提供したり、
地方政府にサービス提供を働きかけることでサービスレベルが向上します。

これは、日本の現在の状況とはやっぱり少し違うのかなぁと思いました。
最近の「ガバナンス」の議論にもありますが、
公共サービスの一部が民間企業・NPOによって担われているとはいえ、
地域において均一なサービスを広範に提供しているのは自治体です。
この自治体の公共サービスレベルが大きく違えば、
逆にこの市民や市民団体の出番は大きくなると思います。
さらに、それが企業の立地行動にかなり影響を与えるかもしれません。
現状は、やはりそれよりも人材の集中具合や
社会インフラ(これも公共サービスだが)が企業立地に影響を与えそうです。

本格的に自治体の税収+交付税が減少していくなかで、
公共サービスをどのように描くか…そのときには必要になりそうな議論です。

ちなみに「スチュワードシップ」とは、
「人々から委ねられているものを注意深く、責任を持って管理すること」
と定義されています。

とはいえ、諸都市圏の事例が若干わかりにくかったのが残念です。

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