まちづくりぷらす

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バスでどこエコ?市民連続講座―もう一度考えよう!交通政策

2007年10月28日 | まちづくり
きのうまちづくり政策フォーラムの足立さんとお会いしたときに、
「もしあした時間があるなら来てみない」と言われた講座に行ってきました
(大雨だったのでかなり行く気が出なかったのですが「えいっ!」と(笑))。

講師は、京都府企画環境部交通対策課・交通需要管理推進担当のの村尾さんでした。
とりあえず、お話のなかで印象に残ったことをメモしておきます。

・京都府が行う政策ベンチャー制度
結局、やる気のある職員をどう生かしていくのかというのは根本の問題です。
京都府では知事に対して直接政策の必要性を訴え、知事がそれを認めれば、
予算と組織体制を確保するという「政策ベンチャー制度」を行っています。
こういうやる気を引き出す手法があってこそ、職員の成長が促されるというものです。

・既往の社会実験は参加する人が損をする構図
結局、パーク&ライドを行ったとしても、それに参加する人は不便になり、
その不便になった人の善意のもとに参加しない人が渋滞緩和の効果を得るという状況。
これをどう考えるかというのは非常に難しいなぁと感じました。

・公共交通は単体の採算だけで測れない正の外部性がある
これはよく言われることですが、事業者の事業収入(分母)と運営費用(分子)
で採算性というものが問われているのですが、公共交通は正の外部性があるだろうと。
正の外部性があることは認められると思うのですが、それがどの程度なのかは
なかなか可視化されていないところで認識が難しいんですよね。

・モビリティマネジメントにおけるトラベルフィードバックプログラム
ひとりひとりの自立的な行動変化を促すコミュニケーションによるプログラムで、
アンケートに答えることで、事実情報を提供、行動変化を依頼し、
最終的に行動計画を作ってもらうことができる手法です。
このアンケートを送る際にも企業には社内のラインを通じて送ることが重要だとか。
それが仕事の一環だと見えるために、まじめに答えてくれる人が多いという。

・交通政策とは対象を特定すること
①平日交通と休日交通
②人の動きとモノの動き
③通勤か業務か買い物か
④都市圏交通か地区内交通か
このあたりを明確にしていない交通政策だと実効性は伴わないとのことです。
実際に通勤行動を変えるために、宇治市の各企業(任天堂・ユニチカなど)の
通勤者に対してわかりやすいマップと時刻表をつくったようです。
本来こういったものは各鉄道会社やバス会社が行うべきだと思いますが、
結局そういうニーズの掘り起こしまでを一貫して見ている人がいないんでしょうね。
そういう意味で1年目は「ニーズがあるんだよ」ということを行政がやってみせて、
2年目から鉄道3社が印刷費を負担するようになったというのはありうるなぁと。

・デザインが交通行動を変える
結局、バスのデザインを変えることで乗車人員が50%増になることもあったそうです。
何だかんだ言って感情的な部分に訴えるという意味では、
パンフレットなどのデザインにもこだわることが重要らしいです。
確かに変なデザインのモノはもらってもうれしくないですよね。


バスでどこエコ?市民連続講座についてのブログはこちらです。
きょうは雨だったためか参加者も非常に少なかったので、
今後の市民連続講座の日程を以下に記しておきます。
交通政策などに興味のある方は、ぜひご参加ください。

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「市民連続講座・日程、場所、講師のご案内」

 公共交通がいかに市民生活に関わっているか、今後環境の側面から公共交通をどのように考えていったらいいのかなど「公共交通が担う環境保全のあり方を学ぶ」ことを主たる目的として、市民を対象に連続講座を開催します。
 また、講座では60分の基調講演(話題提供)と60分のクロストーキングの2本立てとして、受講者が議論し、主体的に公共交通を利用していくと同時に、EST運動の担い手となる動機付けとなるようにしていきます。
 積極的にEST事業に参画したい市民のみなさまの参加をお待ちしております。

※各回とも当日会場にて受付をします。
第3回のみ定員30名。他は定員50名です。


▼第1回目
平成19年10月27日(土)
午後2時から午後4時まで
戦災復興記念館 4階研修室
講師:京都府企画環境部交通対策課. 交通需要管理推進担当 企画課長補佐.村尾俊道氏

▼第2回目
11月17日(土)
午後1時30分から午後3時30分まで
仙台市民会館 第5会議室
講師:(財)計量計画研究所 小島浩氏
「公共交通って、本当に必要なの?―「人の動き」からみる仙台都市圏の公共交通利用実態からの報告―」
「人の動き」のデータを利用して公共交通についての私見をお話しします。
・「全国」からみて仙台の公共交通は、どうみえるか
・「ひと」からみて仙台の公共交通は、どうみえるか
・「まち」からみて仙台の公共交通は、どうみえるか
・「環境」からみて仙台の公共交通は、どうみえるか
・「過去」からみて仙台の公共交通は、どうみえるか
・そして、「将来」は、どうみえてくるか

EST市民会議メンバーとして、仙台におけるEST事業のあり方、
公共交通利用促進のあり方などを平成17,18年度の2年間、検討していただきました。
今回は、パーソントリップから分かる仙台の交通事情についてお話をしていただきます。

▼第3回目
平成19年12月7日(金)
午後6時から午後8時まで
エルソーラ仙台 研修室2
講師:横浜国立大学大学院教授 中村文彦氏
(仮題)「バスでまちづくり 都市交通の再生を目指して」
・PT調査から見る仙台の交通インフラについて
・MMができる環境、できない環境とは?

▼第4回目
平成20年1月26日(土)
<第1部>
午後1時30分から午後3時30分まで
仙台市市民会館 第1会議室
講師:筑波大学大学院システム情報工学研究科リスク工学専攻 講師 谷口綾子氏

「仙台での新たな取り組み “モビリティ・マネジメント”と“統合バスマップ”」
・なぜ、公共交通が必要か
・社会的ジレンマの仕組み
・交通社会的ジレンマの解決策:モビリティ・マネジメントの概要
・交通すごろくand/or行動プラン作成の作業
・仙台市におけるモビリティ・マネジメント事例
 (転入者対象MM、大学生のバスマップ配布MM、統合バスマップ作成)

モビリティ・マネジメントの実践を各地で行っている谷口先生です。
今年度、仙台では「大学新入生の居住地選択時におけるバス情報提供を通じた
公共交通利用促進プロジェクト協議会(東北運輸局)」の座長をつとめていらっしゃいます。
交通すごろくや行動プラン作成の「作業」も組み込み、実践力を養成します。

<第2部>
午後3時45分から午後5時45分まで(予定)
仙台市市民会館 第1会議室
講師:名古屋大学大学院准教授 加藤博和氏
(仮題)「EST総論 EST運動の担い手になるためには?―全国の事例から―」
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