まちづくりぷらす

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公共政策ワークショップⅠ中間報告会(2日目)

2007年10月24日 | 公共政策大学院
東北大学公共政策大学院の中核的カリキュラムである
公共政策ワークショップⅠの中間報告会(2日目)がきょう行われました。

発表はワークショップC、ワークショップDの順に行われました。
C:東アジアにおける地域協力:日本の平和と繁栄を実現するための推進の方途
D:地方自治体の独自課税(最終報告:社会人チーム)
ふたつのグループのメンバーの方、お疲れさまでした。
コメントを活かしながら、ブラッシュアップされることを祈っています。
(正直、中間報告はあくまで途中経過…ここからの頑張り次第です)

とりあえず思ったことを何点か書いてみます。
(ここまではほとんどコピペしちゃいました…ごめんなさい)
【ワークショップCについて】

↑ワークショップC発表の様子

(1)絞った過程を明確に記すこと
ワークショップCの発表は東アジアEPA締結を目指すためには、
まず日本の農業問題とエネルギー問題を解決する必要があるという問題意識でした。
しかしこの間には、かなりの隔たりがあるような気がしています。
そのあたりまで絞っていくのはいいのですが、結局各論に入る前に、
なぜ他の選択肢はなぜとらないのか?の明確な論拠が薄い印象でした。
その選択肢を示した上で絞っていくとより説得的になるような気がします。

(2)いつまでやればEPAのゴーサインが出るのか?
結局、農業問題に代表されるように、日本農業の構造改善を進めるにしても、
それはいままでの農政がチャレンジしつづけてきた問題だと思います。
それでも日本農業の構造改善につながっていないという事象を
どう評価するのかがやはり問題かなぁと思いました。
それに、今までどのくらい資金が投入されてきたのか、
あとどのくらい目標を達成すれば、この農業問題とエネルギー問題が解決し、
日本がEPA交渉でイニシアティブを発揮できるのかが見えませんでした。

(3)問題解決の手法が大目標のEPA締結と結びついていない
結局、農業問題とエネルギー問題を解決したところで、
東アジアEPAが締結できるという保障はどこにもありません。
むしろFTAやEPAが推進されてきた背景には、WTOの枠組みでの
多国間交渉の行き詰まりという問題があるように感じています。
それをASEAN+6の16カ国の多国間EPAを結ぶというのに、
どのくらい労力を割くことができるのでしょうか?
それに、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?
実業界から見れば、二国間交渉で決められるところを先に決めて欲しいと
考えるような気がしますが、その点に言及がなかったのは残念です。

(4)課題解決によって得られる効果の大きさは?
東アジアEPAを締結して日本に得られるのは経済成長5兆円だと言われているそうです。
日本の年間GDPは約500兆円ですから、ようは1%の経済成長です。
1%の経済成長を目指すために、どれだけの資金を内政で投入する必要があるのか
―つまり農業問題を解決した際の効果やエネルギー問題での効果も合わせて
示すことができなければ、「なんだそれだけのために…」という話になりかねません。

【ワークショップDについて】


↑ワークショップD発表の様子

(1)絞った過程と問題意識を示すこと
今回はじめてのワークショップ社会人チームです。
社会人であるがゆえに、か分かりませんが、やっぱり発表は分かりにくかったです。
というのも、彼らの問題意識があまり発表から見えなかったからです。
ほんとうにこの問題を解決したいという熱い思い(それがいるかは分かりませんが…)、
対象分野への「愛」が少なかったような気がしました(去年のMk原先生の名言)。
そういう意味ではなぜ独自課税なのか?なぜ宮城県なのか?なぜ産廃税なのか?
という点はあまりクリアではなく、とりあえず産廃税だろう的なトコがありました。

(2)問題解決の対象と政策提言の対象範囲の小ささの整合性は?
結局、大きな公益は産廃税の場合、産業廃棄物の減少だと思います。
その点に関して、どうして他の手段では問題があるのか、
他の手段と比べて産廃税がいかに有効なのかを示す必要があったかと思います。
政策提言の対象も、条例に一文を加えたり、3つの事業を目的税での措置から
普通税で手当てすることを目指すようなテクニカルな論に矮小化されています。
それでほんとうに産廃税の内在する問題自体が解決するのか、
そして公益である「産業廃棄物の減少」が見込まれるのかは、
もう少し大きな枠組みで話をしないと厳しいのではないかと思いました。

(3)政策提言が提言たりうる体をなしていない
特に、3つの事業を目的税での措置から普通税で手当することを提言したと言っていますが、
これは実際なかなかリアリティを持たない気がしています。
実際、目的税である以上、ある問題に特化した目的に使用しなければならず、
そのような目的を持つ事業がどの程度あるのかということです。
実際に有効な事業を提案して、目的税がどのように使われるかを明確にしてこそ、
政策提言の意義というものが認められるような気がします。
普通税で手当すべきという3つの事業自体の可否を問わず、
一般税で手当することなど、それこそ評価がなされていないという点で
非常なムダを内在しているといえそうです。

そんな感じの中間報告会でした。わたしも頑張らなければ!

「若起塾」事業構想発表会

2007年10月24日 | 日記
きょうは公共政策ワークショップⅠ中間報告会のあと、
若起塾(わかきじゅく)1期生の事業構想発表会に行ってきました。
そもそも「若起塾」とは、せんだい・みやぎNPOセンターの加藤代表理事と
デュナミスの渡辺社長が行っている社会起業家育成を目的とした塾です。
社会起業家とは、社会問題をビジネス的手法(採算ベースで)によって、
解決していこうという起業家のことを指します。
若起塾は、4月から月2回のペースで開催され事業構想を練ってきたそうな
(講座・ワークショップ、フィールドワークを織り交ぜたプログラム)。

それで、今回発表があったのは以下の3プランです。
・地域の孤独死を若手パフォーマーの活躍で減らすプラン
・将来的にニートになるかも知れない学生に対するプラン
・地元山形の若者に元気になってもらうためのプラン

残念ながら時間に遅れたため、一番最初の話は聞けなかったのですが、
うしろ2つのプランについては聞くことができました。

プランについて言えば、まだまだ詰めが甘いということ。
メシを食えるにはほど遠い世界だと思います
(学生など他に所得のあてがあれば多少は可能性は増します)。
さらに言えば、既存の行政の政策体系の中で行われているものの分析や、
実際に他の企業がどの程度参入しているかの分析もなされていません。

山形の例で言えば、農業インターンを行うということでしたが、
少し調べただけでそういう例はいくらでも出てきます
(例えば、(社)日本農業法人協会の農業インターンシップなど)。
それなら、既存のインターンシップではなぜダメなのか、
どこに参入の余地があるのかはやはり調べないといけない気がします
(このインターンでは、山形県にもインターンシップに行っています)。

さらに、事業のイニシャルコストやランニングコストを誰が出すのかも問題です。
学生が出すのか、受け入れ先が出すのか、それとも第三者(行政など)が出すのか。
ほんとうに公益に資するのであれば、行政との協働も視野に入ります。
採算ベースに乗せなければならないから、公益を矮小化するのではなく、
公益を達成するためにはどう連携するのかまで踏み込むとおもしろいと思います。
この視点が見えないので、公益が少し矮小化されている印象があります。
(とはいえ、もちろん基本的には当該事業が採算ベースに乗っているのであれば、
税金を使う場合に比べて、公益概念にとらわれる必要もない気がします)。

そういう意味では、採算ベースに乗ることから事業を始めて、
段階的に公益概念を高めていって協働などのスキームを考え、
その方向性に転化していく(行政などを動かす)ことが求められそうです
(現在の社会的企業一般に言えることですが、採算ベースに乗って
事業がまわりはじめると、それで満足してしまうことが多いわけですが…)。

ほんとうにそこまで社会起業家がやることの是非はまた別問題ですが、
ひとつの方向性として事業プランを考えることは意義深いかなと思いました。

そうそう、この若起塾の第二期の講座があるそうです。
いつあるかはまだ未定(期間は6か月間)のようですが、
興味のある方は渡辺さんとおつなぎしますので、わたしまでご連絡ください。

別に社会企業家にならなくても、こういうマインドを持っていることは、
どんな場(行政・企業・NPOなど)に行っても非常に有益だと思いますので、
うちの公共政策大学院の1年生とか参加してみてはいかがですか??