今日の1句

拘りを捨てれば揺るる秋桜

コスモスのことを秋桜とも言いますが、素敵な名に想像力をかき立てられます。旅を歌った名曲が少し前ありましたが、控えめででもその彩りは華やかで、とても好きな花の一つです。肩が凝ったり、落ち込んだりするのは拘っている心に原因があるとは気が付いていながらも、なかなか拘りをかき消すことが出来ずにいます。もっとおおらかに優しくなるには拘りを捨てなければ・・と思う秋の愁いです。秋の草花には風が似合いますね。

今日の1句

バッタ追ふ幼な児の背も飛びにけり

昨日はお彼岸に行けなかったお墓参りに夫と二人で行って来ました。鎌倉霊園は広大でお彼岸も過ぎているので人出も少なく、そうなるとちょっと一人でいくには淋しい所なのです。広い芝生があって、今8歳の孫が２，３歳の時芝生で初めてバッタを見、掴めなくてバッタが飛ぶ度に自分もピョンピョン飛んでいた光景が懐かしく目に浮かんできましたが、その2ヶ所の芝生も新たな墓地造りの為に、工事をしていて無くなっていました。墓参のあと遊ぶのに丁度良い広場だったのに・・と残念です。年寄りが増えて墓石が足りないのでしょう。爽やかな秋晴れでしたが、少し切なくなりました。

今日の1句

つつましや秋の袷のひざ頭　　前田ふら

朝夕随分と涼しくなり、時には寒い位の日もあります。何でも今年の冬はいつもの年より寒いとか・・。ついこの前まで猛暑に大騒ぎだった日本列島ですが、季節は正直にお彼岸の後には秋の涼しさがやって来たことに、ただ感心するばかりです。このところ、知りあいの写真展やら講習やらあれこれと予定が重なり少々疲れて、昨日などはもうエネルギーが切れて身体中が痛くて動けなくなる程でした。忙しいのは気分が塞ぎこんでいる時間も無く良いのですが、ゆっくりと独りを楽しむ時間が私には必要であることを知った、昨日のことでした。

今日の1句

秋茄子の天ぷら旨しおもてなし

良く晴れた連休の真ん中、縁あって誘われて、富士山を背景に彼岸花を撮る機会に恵まれました。ご自分の田んぼの土手に自ら彼岸花を植え見事に咲き誇ったというその方はプロに近い写真家でもあり、共通の知人と早速高速バスに乗って訪れ撮らせていただいたのです。真っ赤に燃えた彼岸花と同じ色の案山子も手作りとか・・、さらにはご自宅にまで招かれて、奥さまの手作りの御昼ごはんを御馳走になりました。お米も野菜も佃煮もすべて手作りで、何とおにぎりのお米は昨日収穫したばかりのコシヒカリとのこと、とても美味しかったのです。広々と拡がる田園風景と富士山と彼岸花、最高のおもてなしを受けた秋の一日でした。

今日の1句

身を預け秋野に遊ぶ日和かな

以前NHKの番組でも特集を見たのですが、「ベニシアさんの四季の庭」という映画を見てきました。京都の奥の大原にすっかり地元の人と溶け込んでゆったりと過ごしているベニシアさんの生き方に感動です。築100年の農家をリフォ－ムし、庭に花々を植えとても素敵な生活をしているのですが、イギリスの貴族家に生れ今に至るまでの、楽しいばかりではなかった過程をも含め、その姿勢のすばらしさにただただ感心するばかり・・でした。出来れば私も今のすべてを投げ捨てて、自然に囲まれた草庵で虫の音を聴き、草の香りを楽しみながら静かにこれからの残り少ない人生を生きてゆけたら・・そんな思いでいっぱいになりました。