今日の1句

ひと片をグラスにカシャと秋の声　　つゆ草

台風が又きている様で、たまたま娘と計画していた軽井沢のプチ旅の日と皮肉にも当たってしまいましたのでキャンセルしました。やっと取れた休みだったらしく、殊の外娘はガッカリしていますが、自然現象は人にはどうする事も出来ないので、仕方ない事です。朝の目覚めは少し涼しさを感じる様になりましたが、昼から夕方までまだまだ残暑で体力も相当失せているのを感じます。夜眠れないので、少しだけウイスキーを飲むのがこのところの習慣になっています。大き目の氷を一つグラスに入れ舐めるように飲むウイスキーの一口の美味しい事・・。大好きな小田和正の音楽などあれば良き睡眠に誘われるのが細やかな楽しみとなっています。

今日の1句

背表紙を指でなぞれば秋の詩　　つゆ草

随分昔に神保町吟行の時に作った句です。詩人の新川和江さんが亡くなりました。以前講演を聴きに行った事がありました。又永遠の美男子アランドロンも亡くなりました。若かりし頃夢中になりほとんどの映画を観ているし、レコードも擦り切れる程聞いていました。あの甘い声で「アモーレ、アモーレ・・」と歌うドロンは本当に魅力的で白髪の８８歳の容姿も面影残り素敵でした。

まだまだ暑い夜ですが、部屋の明かりを消し静かな音楽を聴きたくなる心地です。

今日の1句

虫の音の消え入りそうな今宵かな　　つゆ草

残暑がまだまだ続きそうですが、何と夜中に耳を澄ますと幽かに虫の声が聞こえました。耳鳴りかなと思ったのですが、あれはか細い虫の声です。深夜にリーンと聞こえ、何だか恋人に会ったような懐かしさを感じます。暑くて毎日ヘロヘロ状態ですが、思い切って2ヶ月ぶりに美容院に行って来ました。白髪染です。ドラックストアの物で家染をしていたのですが、来週プチ旅行を計画しているので頑張って行ってみると普段なら寒すぎる位の冷房が丁度良く、髪を整えた事がこんなにも快適なんて・・です。

台風には翻弄されましたが、来週には来ないで欲しいと今から願うばかりです。

今日の1句

軍歌など歌えて母の遠き夏　　つゆ草

この暑い日々昔の句帳の整理などしていて、平成21年の句帳にこんな母を詠んだ句が出てきました。8月はどうしても戦争を思い出してしまう月です。鼻歌の様に軽く母が軍歌を口ずさんでくれた遠き思い出です。それよりも私の父は実際戦争体験を現地でしているので、もっともっと聞いておけば良かったと後悔しています。私は戦後生まれですが、事実とはかけ離れた知識の元育ちました。

今も世界中で戦争やら災害やら悲しい事が連日報道されています。オリンピックの景はひと時の夏の夢でした。まだまだ私は猛暑と闘っている昨今です。

今日の1句

軒端にて息を潜めし秋の蝶　　つゆ草

こんなにも暑いのに8月は歳時記では秋なのです。連日この猛暑と闘いながら生き延びている状態の私なのですが、寒さより夏が好きで開放感に浸っていたあの若かりし頃の自分は何処に行ってしまったのでしょう・・。

母が亡くなってから蝶は母の化身と信じています。此処2日間ベランダの屋根付近で何やら音がするので見てみると大きな揚羽蝶が仕切りにバタついていて、その内力尽きたように動かなくなりという動作を何度も繰り返していたので気になり、ずっと見守っていたのですが、翌日の朝早くに生きて羽を動かしているのが見え嬉しくなると、その瞬間すっと屋根の外に飛んで消えてゆきました。何時間も熱いベランダで頑張っていた黒揚羽蝶はまぎれもなく母と確信、実家の家紋も揚羽蝶なのです。お盆が近くなって母が会いに来てメッセージを残してくれたと私は信じています。そういえば体調が優れず田舎のお墓参りにはここしばらく行っていません。頑張れという母の声が聞こえた様な気がします。