長与町議 堤さとしのウェブログ

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報告します「議員定数のあり方についての私の発言」

2012年06月01日 | 日記
2012年05月31日、長与町議会、議会改革特別委をひらきました。
議員定数のあり方について、各議員の考えを述べるということで、多くの傍聴者がお見えになっていました。
削減すべしという意見・現状を維持すべしという双方の議員が、数の上でほぼ拮抗していました。
私は現状維持の立場で、以下のとおり発言しましたので、ここにご報告します。


■ 結論から言うと、削減する事によるメリットより、デメリットのほうが多いと考えています。

■ 議会改革特別委員会で本来大いに議論したい「議会改革」の具体論を後回しにして、定数削減の是非が先に議論されているのは、住民の方から今期の選挙が無投票になった事から、議員の大幅削減を求める請願が出された事が大きな理由だと思います。

■ 今期、議員選挙が無投票になったために、主権者たる町民の選挙権が行使できませんでした。これは由々しき問題です。私も、「住民に選挙された実感がほしかった」と感じていますし、釈然としないというのが率直な感想です。

■ 無投票になってしまった大きな要因は、私は定数が多すぎるからという考え方とは違う意見を持っています。選挙は引退する人数と立候補者数が、その時々で変わります。この数字は各個人の意志や事情によるものであり、住民の意思とは関係なく変動します。定数を多くしても、逆に少なくしても、その時々の立候補決意者の数と引退する方の数が同数だと無投票になってしまいます。

■ 今期の選挙が定数内になったのは、8人が引退し、それを上回る数の立候補者が現れず、無投票になった事と、従来24人だった議員定数を、平成19年の選挙から20人に削減して、当選に必要な得票ラインが上がっている現状が、町民の中で立候補を決意するか否かを判断する時に、どうしても消極的になってしまう影響を及ぼしている面も少なくなかったからと考えています。

■ 最近、地方分権、地方の時代と言われるようになって、国や県の指導待ちではなく、自分たちの地域の事は自分たちで考え、決めていく事が大事になっています。その時に、住民の声を聞く事はもちろんですが、議会と委員会での審査も、多様な意見や考え方を出し合って、それを行政に反映させる必要がますます重要になっていきます。

■ そのような時代に、議論する議員の数を減らしたり、常任委員会の数を減らせばよいという意見があります、しかしそれが、住民への行政サービスや、長与町にとって良い結果をもたらすでしょうか。

■ 常任委員会は、専門分野に分かれて、より深く議論するためにある制度ですが、常任委員会の数を減らす方法は、効率化や能率化ではなく、私は「苦肉の策」でしかないと思います。議案を慎重に真面目に議論しようという立場で考えたら疑問を感じます。

■ 平成17年に議員定数を議論した特別委員会の報告書の中の各議員の意見を読むと、削減やむなしという立場の議員であっても、8名の議員が、減らしすぎた場合に委員会がうまく機能しなくなる事を心配されました。これは、実際に議会活動にたずさわった経験があるから言える議員の率直な意見であり真実であると思います。

■ 定数を削減すると、競争原理がはたらき、少数精鋭になるという意見もあります。本当にそうでしょうか。

■ 相対的にみたら、大きな団体や組織の支援を受ける方と、地縁・血縁が強い方は大量に得票できて当選しやすく、それ以外の方の当選が難しくなるのではないかという私の疑問はいまだに払拭できません。減らせば減らすほど、議員構成に偏りが出てきます。これは議員個人の損得勘定で考える問題ではなく、「民意を議席に正しく反映するための議会構成のあり方として正しいか」という疑問から感じている問題意識です。

■ 長与町は、他の自治体と比較して狭い面積です。長与町と類似した自治体との面積比で議員数を割り出すと、長与町の議員は5.5人でかまわないという極端な結論になってしまいます。現状各議員は、それぞれの地元でしか知りえない情報や問題点を議会で一般質問したり委員会で質疑したりして、行政に問題点を質し改善させた例も少なくありません。人口が少ない集落の声や少数意見が、大きな声や多数意見と対等に議論したり、そうした声をくみ取るために議会は機能しなくてはいけません。国政選挙や都道府県、政令市の議員選挙で選挙区が分かれて実施されるのはこうした理由からです。町議選挙で選挙区を分けるまではなくても、周辺部の意見を取り入れる姿勢はどの自治体の議会でも大事にしなくてはなりません。定数削減はこうした民主主義の原点からみても問題を感じます。

■ また、団体や組織が議員を擁立するケースでも、議員を削減した議会では、議員数を絞っている例もありますが、同じような事が個人でも起こり、結果的に立候補者の減少や、無投票化につながっていくという側面も懸念されます。

■ 今、定数削減を支持する世論が一定存在しています。さまざま言われているのが、議員は少なければ少ないほどよい。議員も公務員も多すぎるという一般論があります。いわゆる公務員バッシング・議会バッシングと呼ばれているものです。疲弊した社会経済の中で、公務員の安定性と議員特権が根底にあると思います。マスコミもそれに迎合した報道をする向きもあります。

■ しかし、国家公務員の中のごく一部の高級官僚や国会議員の高額な報酬、特権は、地方公務員や地方議員特に町議会議員にはあてはまりません。地方自治を研究している学者や知識人の文献を読んでも、議員の削減を支持する見識はほとんど見あたりません。

■ 長与町議会が実施したアンケートの中で、適当な議員数を訪ねた項目では、一番多かったのが「わからない」という意見で219人。2番目に多いのは現状の20人で201人という結果でした。議会バッシングの風潮に迎合することなく冷静に見ていると感じました。

■ 議員は個人で存在して住民と対立する存在ではありません。住民が政治に参加する権利を保障するために住民の代理として行政を監視したり政策提言をするために存在するものです。議員を減らすという事は住民の政治参加を縮小させる事と同じであり、少数意見を排除することになるを意味しますし、その是非が問われていると思います。

■ しかし、議会や議員に対する個々の批判に対しては真摯に受けとめなければなりません。議会への批判に対して、定数を減らして住民の溜飲を下げるのではなく、批判の具体的な中身を洗いだして、それを議会改革の中で実践して、その結果が町民に見ていただけるような情報公開をしながら、町民と議会が対立するのではなく、信頼関係を築くような議会改革と、一人でも多くの町民が、自分も立候補して町づくりに参加したいと思えるような議会をめざすことが、根本的な課題であると思います。

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