長与町議 堤さとしのウェブログ

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長与町議会不採択 「安保法制撤回を求める請願」

2015年06月12日 | 長与町議会

安保法制の撤回を求める請願は、賛成7:反対8で不採択となりました。以下、堤の討論と賛否一覧を掲載しご報告します。

 

賛成討論:安保法制撤回を求める請願

 

請願1号 安全保障法制関連法案に反対する意見書提出を求める請願 の採択に賛成の立場から討論をおこないます。

この法案は、歴代内閣が、憲法に違反するとしてきた集団的自衛権、すなわち、日本が攻撃されていない状態であっても、密接な関係にある国への攻撃に反撃するというものを、強引に解釈に変更を加え具体的に実行できるようにするための法改正案であります。

従来の政府の見解は、我が国に対する直接の武力攻撃があった場合に、かつ、他にそれに代替する手段がない、必要性があるという場合に、必要な最小限度において武力を行使する―それが自衛権の行使だとしてきました。

まさに、戦後の安全保障政策を大きく転換する内容であります。

6月4日、衆議院憲法審査会では、憲法学者に参考人として意見を聴取しています。

自民党公明党、維新の党、民主党、それぞれが推薦する三人の法律の専門家、教授のいずれもが、安保法制、集団的自衛権の行使について憲法に違反するとの見解を表明しました。

憲法改正を主張してきた保守の憲法学者小林節慶応大学名誉教授は、「野党は論争をしかけ、その異常さを国民大衆に知らせてほしい」「これは露骨な戦争参加法案であり、もうその一事だけでも、私はついていけない」と述べました。

法学者だけではありません、自民党で幹事長を務めてきた野中広務氏、古賀誠氏なども、この法案に反対を表明しています。

安保法制は左派やリベラル層が反対していると思われていましたが、危険な内容の法案だということが、保守層や無党派層にも徐々に明らかになりつつあります。

政府は個別的自衛権にあたる日本周辺の領土問題などを持ち出し、危機を煽り国民の支持をとりつけようとやっきになっています。しかしいまや焦点は中東での機雷除去や、兵站活動が課題となっています。

イラク戦争の当時、首相官邸で自衛隊派兵の中心を担った、元内閣官房副長官補の柳沢氏は、朝日新聞社のインタビューで「自衛隊派遣の前提だった『非戦闘地域』という概念は、憲法上のつじつま合わせだけではなかったと思います。実質的に自衛隊を戦闘部隊の指揮下に入れず、直接の戦闘に巻き込ませないという意味があった。この概念を廃止して活動範囲を広げれば、今までより確実にリスクは高まります。イラクでは何とか戦死者を出さずに済みましたが、あれ以上のことをやれば必ず戦死者が出ると思います」と述べています。

日本は、戦争をしないと宣言していることで世界から信頼されています。

今、この国是の岐路に立っています。政治的立場や主義主張の違いを超えて、平和主義を守る意思を政府に伝える必要があると考えます。よって本請願採択に賛成いたします。

(請願に賛成:堤理志、河野龍二、中村美穂、安部都、饗庭敦子、安藤克彦、分部和弘)

(請願に反対:浦川圭一、金子恵、西岡克之、岩永政則、喜々津英世、山口憲一郎、吉岡清彦、竹中悟)


町のマイナンバー制度推進は凍結せよ(長与町議会H27年度補正予算第1号)

2015年06月12日 | 長与町議会

年金個人情報流出の渦中で出されたマイナンバー推進事業費が含まれた予算。少なくとも年金個人情報流出の全容解明と万全な対策が示されるまでの間、事業推進は凍結し保留すべきです。

反対討論:マイナンバー制度推進は凍結せよ(H27年度補正予算1号)

議案第44号 平成27年度 長与町一般会計補正予算第1号に反対の立場から討論をおこないます。

今回の補正予算には、農産物加工所の移設拡充、上長与コミュニティの備品の充実、多子世帯の保育料無料化、平和事業など、住民福祉の増進として評価できる内容が見受けられます。その点については積極的に評価いたします。

その一方で、見過ごすことができない部分があります、マイナンバー制度を推進する事業費であります。

先日、年金機構が保有する個人情報125万件が流出しました。国民の財産である公的年金を管理し守る立場にある公的機関の大失態であり、あってはならない事件であります。

年金機構は、情報セキュリティを確実にするため、多くの規則が設けられていましたが、ずさんな管理実態が明らかになり、信用は地に落ちたといっても過言ではありません。

この深刻な事態に直面した多くの国民・住民は、個人の様々な情報を公的機関に安心して預けられるかという不安と疑念を抱いています。

マイナンバーで取り扱う個人情報は、今回流出した年金の他、医療、福祉などの社会保障、税に関する情報など、病歴や収入、財産状況を判別する情報を網羅し管理するものであります。

政府はマイナンバーがあれば公的年金の申請の際などで、複数の書類をそろえる手間が省けると宣伝します。しかし、それらの手続きは一般的には年に一度あるかないかの手続きです。

個人番号を他人に知られないように管理するための労力に見合うほどの利点があるとはいえません。むしろ他人による番号の不正利用や、個人情報の流出によってもたらされる被害の方がはるかに深刻です。

マイナンバーのそもそもの目的は、「国民の利便性向上」ではありません。国や自治体が、国民の所得・資産を効率的に掌握し、税の徴収や社会保障の給付状況をチェックするための制度です。

2013年成立の現行法の利用対象は「税・社会保障・災害対策」に限っていましたが、政府は、銀行預金口座、民間分野での利用の加速化など利用拡大の検討を今指示しています。

年金機構の情報流出は、調査が進むにつれ、次々と問題が発覚している状態であります。

それにもかかわらず、全容解明も、対応策も示されないまま、政府は予定どおり10月の通知、1月には実施する姿勢を変えていません。

地方自治体や地方議会は、そこに住む住民の大切な情報を守る責任があります。今の状態では、この責任を果たせるとは思えません。

最低でも年金情報流出の全容解明と万全な対策が示されるまでの間は、事業推進は凍結し保留すべきであります。

以上の理由から、本補正予算に反対します。

 


長与町議会で不採択「労働者派遣法改悪、残業ゼロ法案撤回意見書」

2015年06月12日 | 長与町議会

議員発議で提出された、労働者派遣法改悪、残業ゼロ法案撤回意見書は賛成少数で不採択となりました。

改選前の議会構成では、働く者の権利を守る請願、意見書については賛成する議員が多数でした。今議会の構成は様変わりしたようです。

 

賛成討論:労働者派遣法残業代ゼロ法案撤回意見書

 

発議第1号 労働者派遣法改正案、労働基準法改正案の撤回を求める意見書を採択することに賛成の立場から討論を行います。

戦前、財閥・大企業が大きく発展した影の側面で、人貸し業、人材仲介業、たこ部屋労働などで、労働者がモノのように売り買いされ、使い捨てにされる悲惨な状況にありました。ピンハネが横行し、暴力と、監視の中で、奴隷さながらの状況に置かれ、努力しても貧困から抜け出せない状況下におかれていたことが、多くの資料に残されています。 

現在の労働法制は、過去の過酷な労働実態を許した労働行政への痛切な反省に立って法制化されました。間接雇用による労働者供給事業は全面禁止され、職業安定法に明記されました。 

日本経団連など経済界の強い意向に押され、労働者派遣法は何度か改悪されてきましたが、それでも労働者派遣業は、「特別に専門的な職種」「臨時的一時的な場合に限る」「常用雇用の代替禁止―つまり正社員を派遣に置き換えてはならない」という大原則があります。この担保として専門的な職種以外は原則として1年、最高でも3年までとしました。 

今回の政府の法案では、企業は、派遣労働者を3年で「取り替える」だけで、いつまでも、同じ業務に派遣を使い続けられるようになります。期間制限を事実上なくし、派遣の恒常化と常用雇用の代替を認めるものとなっています。 

派遣労働者は、“3年経過すれば派遣先企業の直接雇用にする”という、わずかにあった「正社員への道」も閉ざされ、3年経てば、別の派遣先を「紹介」されることになります。そうした場合でも、同じ事業所の内部で「配置替え」さえすれば、派遣のままで使い続けることができます。 

政府は、「派遣労働者の均衡待遇の確保」を法改正の口実にしていますが、法案に追加されたのは、「均衡を考慮した待遇の確保の際に配慮した内容」を「派遣労働者に説明する」程度です。

差別をなくす規定である“均等待遇”を明記せず、「均衡の配慮」とあいまいな文言で誤魔化していることを見過ごしてはなりません。 

賃金や有給休暇等の労働条件についての“均等待遇”をはっきりうたっているILO(国際労働機関)の「民間職業仲介事業所条約」(181号)や、EU「派遣労働指令」と比べても、日本政府の姿勢は、派遣労働者への不当な差別と格差を容認していると言わなければなりません。 

また、一般業務とは違い、自分のスキルを活かし、自ら派遣社員となった専門業務の派遣労働からも反対の意見が出されています。今回の改正案は、こうした方々でも三年で入れ替えとなり、失業の恐れが高くなっているからであります。 

高度プロフェッショナル制度の名目で労働者の心身の健康を守るための規制を取り払うことも問題です。

一定の年収以上が対象となっていますが、一度成立すると、適用を引き下げていくことは明白であります。日本経団連が2005年におこなった「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」では、「年収400万円以上」の全労働者を労働時間規制の適用除外にしていました。日本経団連の榊原会長は、全労働者の10%が適用を受けられる制度にすべきだと語っています。産業競争力会議の民間議員の竹中平蔵氏は、「小さく生んで大きく育てる」とあけすけに狙いを語っております。なにより、労政審の「建議」では、使用者側の意見として、「幅広い労働者が対象となることが望ましい」と明記されています。 

安倍首相は、「企業が世界でいちばん活躍しやすい国にする」を掲げ、派遣法などの労働法制の大改悪を「成長戦略」と位置づけています。 

しかし、雇用を守るルールを弱体化させ、低賃金で不安定な働かせ方と長時間労働を広げ、働く人間を暮らしにくくすることが、日本経済と社会が成長する道でしょうか。

国民の暮らしを圧迫すれば、市場の消費も需要も落ち込み、経済も立ち行かなくなってしまいます。働く人間を「使い捨て」にする社会は、若者から希望を奪い、貧困と格差を広げ、若者の地方から大都市への流出が進み、日本社会から活力を奪っていきます。この道では、日本の産業も企業も強くなりません。以上の理由で、本意見書の採択に賛成します。

(意見書に賛成:堤理志、河野龍二、安部都、饗庭敦子、分部和弘)

(意見書に反対:浦川圭一、中村美穂、安藤克彦、金子恵、西岡克之、岩永政則、喜々津英世、山口憲一郎、吉岡清彦、竹中悟)