昨日の長与町議会臨時議会(議員定数削減議案)での、私の反対討論を掲載いたします。
私は、議案議案第52号 長与町議会議員定数条例の改正について、反対の立場から討論を行います。
定数削減の条例改正を直接請求なされた団体の「請求の要旨」を拝読いたしました。平成23年4月の長与町議選が無投票に終わり、本来、候補者の公約や理念で判断すべき選挙権が行使できなかった事。また、新聞報道によると、立候補の締めきり時間直前に、社会勉強の一貫として息子を立候補させる動きがあった事などが報じられましたが、こうした由々しき事態を憂慮しての定数削減の要請だと推察いたします。
私は、インターネット上にホームページやブログを開設して、議会の様子や町の情報を発信してきました。無投票が決まった直後の4月20日に、「釈然とない無投票」と題して立候補締めきり間際の駆け込み、その後の立候補辞退の動きを紹介した上で、以下のように記載しました。
各候補者は町づくりの意欲を示し、有権者から選挙の洗礼を受けるために立候補を準備し、全力で選挙を戦うものなのに、「選挙になるなら立候補を取りやめる」という考えは "本末転倒" で、議会制民主主義や、議会の尊厳をあやうくする行為です。なんとも釈然としない空気・感覚で後味の悪い選挙であった
・・・と結びました。
そういう点では、今回の定数削減の請求団体の思いとなんら変わらない共通の意識が根底にあります。
しかし、請求団体の請求要旨では、少数精鋭の観点に立ち、町民の気持ちを率直に汲み取った議員で、議会運営の効率化と経費節減を図る必要がある・・・との理由で定数削減を行うべきという点においては、私は慎重に検討すべき問題をはらんでいると思います。
たしかに、議員が少なくなると、一般質問に登壇する議員も減ります。少ない日数で終わり、住民の暮らしや健康、町の活性化を議論する委員会での発言者も少なくなり、会期も短い日数で済みます。こうした効率化ができるかもしれません。経費を節減できるかもしれません。
そのような効率化や経費節減は、本当に議会のあるべき姿なのでしょうか。
議会は行政運営が住民の立場に立って行われているのか、無駄や違法性はないかを複数の目線、様々な理念や立場からチェックするために一定の議員数による議会が設置されています。
この議案が上程される直前、議案の文言上の不備が見つかり、急きょ対処しましたが、この不備に気づき、行政による早急な対処を要求したのは、議長や議会運営委員会の一致した意見でした。つまりチェック機能を行使したのは行政側ではなく議会側でした。
議案の実質的な審査をおこなっている各常任委員会は、議案や資料の文言だけでなく、行政運営のあり方についても、このようなチェックを数多く行ってきましたが、こうしたチェックする力が弱まる事。大きな声だけでなく、少数意見や小さい声を拾い上げ行政に訴える力がどうなるのかという疑問があったからこそ、特別委員会で定数について簡単に結論が出せなかったのが事実だと思います。
私は、特別委員会の中で態度表明の文書にも記載しましたが、定数削減が、無投票を阻止する特効薬になりえないのではないかという疑念を最後まで払拭できません。
定数削減によって、当選に必要な得票のハードルを高くすることで、新しく立候補にチェレンジしたい方が増えるのか減ってしまうのか。あるいは、地縁・血縁が強い方や、組織票を持つ方が相対的に多く当選する事になり、それが長与町民の民意を反映する議会の姿としてどうなのかという疑問を持ちます。
議会にたいする批判が強まる中で、全国の議会が動きだしています。地方議会の議会改革です。議会改革は議員の定数削減という方向ではなく、住民からの批判を真摯に受けとめ、議会の古い慣習や惰性を改革する事と、住民との信頼関係を築くための様々な改革です。
議会改革の結果を町民に見ていただけるような情報公開をしながら、議会や町づくりに対する住民の信頼を得て、一人でも多くの町民に関心を持ってもらい、自分も立候補して町づくりに参加したいと思えるような議会改革によって、議会と議員のモラルや資質の向上につながり、本質的な問題解決の方法であると思いますし、これから議会がめざすべき方向だと確信しています。
以上、私の立場を表明する討論といたします。