「新図書館の建設地は、現在造成が行われている榎の鼻地区内に決断した」・・・平成26年3月議会の冒頭、町長の施政方針説明で、新図書館建設地について、こう表明しました。しかし現在、財源の見通しが立たず、計画進行はストップしています。
この間の経緯
現在の町立図書館(旧役場)は、老朽化が激しく、図書館の新設を求める住民の声は少なくありません。町はこの間「現在地での建て替え」を軸に検討されてきました。その後、図書館整備を検討する委員会の答申を受け、26年度の施政方針で町長は「榎の鼻区画整理地内へ建設する決断をした」と発言。
これに対し、高台は困るなど、住民からは異論が噴出しています。
「検討が不十分」「議会や住民に知らされないまま購入の約束《※》をしている」などとして、住民団体から再検討を求める請願が出されました(26年12月議会)。この請願は賛成少数で不採択となりました。※町と榎の鼻区画整理組合との間で、同敷地のうち約1㌶購入する内約(覚書)を交わしていたことが、議会での質疑で明らかになっています。
適当な国の補助金がみつからない
27年9月議会、総務文教委員会は、図書館建設計画の現状について町担当部署から説明を受けました。説明要旨は以下のとおりです。
国の補助金を利用しないと20億円(図書館建設概算額)かかる事業は難しい。 新図書館建設にあたっての国の補助金は、都市再構築戦略事業交付金があるが、この補助金を利用すると中心部以外の開発が制限され、長与北(斉藤郷)の民間開発計画など他の町づくり計画が不可能になる。
また、高田南地区の開発も財政的なネックになっている。20年償還の起債でよいと思ったが、他の事業との関わりがあり厳しい。
不明朗すぎる図書館候補地
議会説明もなく、区画整理組合との間で、用途も未定の土地購入の覚書を交わしていた問題、さらに町発注の公共工事(26年度分)で、最低価格と同額落札が5件もあったことが明らかになりましたが、そのうち2件が榎の鼻団地造成と関連の深い工事でした。
また、同時期の自民党長与支部の収支報告には、同組合から献金を受けていた記載があり、党町議員団は政治資金規正法に抵触する可能性があるとして、組合に負担金を出している町に対し、事実関係の確認を申し入れました。その直後、収支報告書の献金者名義の修正変更が行われるなど、なんとも不可解です。
新図書館建設は、場所も予算規模も、情報を公開し、住民参加のもとで決めるべきです
この間、榎の鼻地区への建設に賛成・反対双方の議員が住民説明会を開くよう町に要求しましたが実施しませんでした(パブリックコメントは実施)。
現地での建て替えは駐車スペースが足りないとの意見もありますが、当時の町長は、「60台分が確保でき支障はない」と答弁しています(17年12月議会)。
町財政の将来負担比率は、25年度9.3%であったものが、26年度では18.8%へと増加、経常経費の度合いを示す経常収支比率も95%台となり、町の財政は硬直化しています。
これからの世代にどれだけの負担がかかるのかなど、もっと議論を深めるべきではないでしょうか。