現在議会改革の一環として議員研修会が活発に行われています。有意義な研修も少なくありませんがそうでない講演に当たることもあります。公費を使って講師を依頼するのですから、時代錯誤の内容や、ハズレがないようにしてほしいものです。
先日8月25日に行われた委員長研修(主催:町村議会議長会)は二人の講師の講演を拝聴しましたが、一人は首を傾げたくなる講師、一人は良識があると感じる講師でした。
研修後報告書を提出し、議会のホームページで公開されることになっています。その報告書をそのまま掲載します。
「委員長の任務と運営について」
全国都道府県議会議長会元議事調査部長 野村稔氏の講演
11ページの資料が準備されていたものの、講師自身の身上話が40分も費やされ、肝心の講演が不十分だった事は残念である。しかし、委員長向けの研修ではあったが、議会運営のルールを再確認することができた。
昨今、地方議会や地方議員の不祥事を要因にした議会不信、議会不要論がある中、議会自体が自浄作用を発揮しようと、議会改革を推進している。講師の発言の中には議会改革の流れに逆行するような発言があり、この発言を正しいと感じる講演視聴者が出たとしたならば、非常に残念と感じた。
具体的には・・・
- 政務調査費に領収書添付の報告は必要なし。
- 本音を話す時は傍聴者を退席させればよい。
- 討論が長い議員がいるなら、討論時間を制限したらよい。
などである。
政務調査費は議員のポケットマネーではないし、傍聴者は主権者であり、主権者に聴かれては困る審議が自治体の政策に影響を与えるような「閉鎖的な議会」には賛同できない。
また、討論時間の制限は、住民代表の発言を制限する事であり、言論の府が安易に採る手法ではないのではないと考える。
全国町村議会議長会は、講師の質、良識の度合いを参酌して派遣してほしい。
「地方創生と地方議会の役割」について
青山彰久氏(讀売新聞東京本社編集企画委員)の講演
地方議会の役割について、本土復帰前の琉球政府立法院の活動を例に、本来の地方議会のあるべき姿の説明があり参考になった。
地方創生の裏の面として、地方への財政縮減、交付税を使った誘導は、国が地方をコントロールするもので地方分権と矛盾するものであるとの主張は的を射たものではなかっただろうか。
その他・・・
- 国に顔を向けるのか、住民に顔を向けるのか。
- 数値目標主義は弊害があるとして英国では採用していない。
- 高度経済成長期の物と金を追求する発想から、生活の質、心の豊かさを求める発想への転換。
などの話があり、幸せとは何か、地方自治体がすべき仕事は何かを考える上で参考になった。