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長与町議会で不採択「労働者派遣法改悪、残業ゼロ法案撤回意見書」

2015年06月12日 | 長与町議会

議員発議で提出された、労働者派遣法改悪、残業ゼロ法案撤回意見書は賛成少数で不採択となりました。

改選前の議会構成では、働く者の権利を守る請願、意見書については賛成する議員が多数でした。今議会の構成は様変わりしたようです。

 

賛成討論:労働者派遣法残業代ゼロ法案撤回意見書

 

発議第1号 労働者派遣法改正案、労働基準法改正案の撤回を求める意見書を採択することに賛成の立場から討論を行います。

戦前、財閥・大企業が大きく発展した影の側面で、人貸し業、人材仲介業、たこ部屋労働などで、労働者がモノのように売り買いされ、使い捨てにされる悲惨な状況にありました。ピンハネが横行し、暴力と、監視の中で、奴隷さながらの状況に置かれ、努力しても貧困から抜け出せない状況下におかれていたことが、多くの資料に残されています。 

現在の労働法制は、過去の過酷な労働実態を許した労働行政への痛切な反省に立って法制化されました。間接雇用による労働者供給事業は全面禁止され、職業安定法に明記されました。 

日本経団連など経済界の強い意向に押され、労働者派遣法は何度か改悪されてきましたが、それでも労働者派遣業は、「特別に専門的な職種」「臨時的一時的な場合に限る」「常用雇用の代替禁止―つまり正社員を派遣に置き換えてはならない」という大原則があります。この担保として専門的な職種以外は原則として1年、最高でも3年までとしました。 

今回の政府の法案では、企業は、派遣労働者を3年で「取り替える」だけで、いつまでも、同じ業務に派遣を使い続けられるようになります。期間制限を事実上なくし、派遣の恒常化と常用雇用の代替を認めるものとなっています。 

派遣労働者は、“3年経過すれば派遣先企業の直接雇用にする”という、わずかにあった「正社員への道」も閉ざされ、3年経てば、別の派遣先を「紹介」されることになります。そうした場合でも、同じ事業所の内部で「配置替え」さえすれば、派遣のままで使い続けることができます。 

政府は、「派遣労働者の均衡待遇の確保」を法改正の口実にしていますが、法案に追加されたのは、「均衡を考慮した待遇の確保の際に配慮した内容」を「派遣労働者に説明する」程度です。

差別をなくす規定である“均等待遇”を明記せず、「均衡の配慮」とあいまいな文言で誤魔化していることを見過ごしてはなりません。 

賃金や有給休暇等の労働条件についての“均等待遇”をはっきりうたっているILO(国際労働機関)の「民間職業仲介事業所条約」(181号)や、EU「派遣労働指令」と比べても、日本政府の姿勢は、派遣労働者への不当な差別と格差を容認していると言わなければなりません。 

また、一般業務とは違い、自分のスキルを活かし、自ら派遣社員となった専門業務の派遣労働からも反対の意見が出されています。今回の改正案は、こうした方々でも三年で入れ替えとなり、失業の恐れが高くなっているからであります。 

高度プロフェッショナル制度の名目で労働者の心身の健康を守るための規制を取り払うことも問題です。

一定の年収以上が対象となっていますが、一度成立すると、適用を引き下げていくことは明白であります。日本経団連が2005年におこなった「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」では、「年収400万円以上」の全労働者を労働時間規制の適用除外にしていました。日本経団連の榊原会長は、全労働者の10%が適用を受けられる制度にすべきだと語っています。産業競争力会議の民間議員の竹中平蔵氏は、「小さく生んで大きく育てる」とあけすけに狙いを語っております。なにより、労政審の「建議」では、使用者側の意見として、「幅広い労働者が対象となることが望ましい」と明記されています。 

安倍首相は、「企業が世界でいちばん活躍しやすい国にする」を掲げ、派遣法などの労働法制の大改悪を「成長戦略」と位置づけています。 

しかし、雇用を守るルールを弱体化させ、低賃金で不安定な働かせ方と長時間労働を広げ、働く人間を暮らしにくくすることが、日本経済と社会が成長する道でしょうか。

国民の暮らしを圧迫すれば、市場の消費も需要も落ち込み、経済も立ち行かなくなってしまいます。働く人間を「使い捨て」にする社会は、若者から希望を奪い、貧困と格差を広げ、若者の地方から大都市への流出が進み、日本社会から活力を奪っていきます。この道では、日本の産業も企業も強くなりません。以上の理由で、本意見書の採択に賛成します。

(意見書に賛成:堤理志、河野龍二、安部都、饗庭敦子、分部和弘)

(意見書に反対:浦川圭一、中村美穂、安藤克彦、金子恵、西岡克之、岩永政則、喜々津英世、山口憲一郎、吉岡清彦、竹中悟)

 


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