「 蜘蛛の巣 」
蜘蛛の巣ってキレイだ。
いろんな形がある。定型・不定形・・・いろんな編み方があって面白い。
以前にも蜘蛛にまつわる夢を見たことがある。
その時は、蜘蛛がソロソロと私の耳の中に入ってきて、
耳の奥で機織りしていた。パッタン、コットン・・・
会社勤めをしていた時、満員電車の中で、蜘蛛が頭上で糸をはっている光景を見た。
吊り革の棒から向かいの棒へと、ゆっくり綱渡りをしていた。
誰も蜘蛛のことなど気にかけていなかった。私だけがぼんやり宙を見ていた。
『どうせ誰かの頭にひっかかって破れちゃうのにさ・・・所詮無駄なことなのにさ・・・』と
毒ずいている自分がいた。
先の見えない不安で一杯で、自分はこの先何がやりたいのか、
どういう道を歩めばいいのか分からない自分に対して
自嘲気味に吐いたセリフかもしれなかった。
こんな言い方はクサイし、蜘蛛に「コツコツ頑張る」という意識なんてないけど、
たとえ徒労に終わってしまっても、自分のなすべきことをコツコツやってるという姿に
当時の私はなんとなく元気づけられた。
