今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・キワノ平ノ頭、稲包山

2010年10月21日 | 山登りの記録 2010
平成22年10月18日(月)
長倉山1,439m、キワノ平ノ頭1,511m、小稲包1,565m、西稲包山1,545m、稲包山1,597.7m

 今回休暇の消化を含めて3連休になった。本当は家内と旅行に行くわけだったのだが、家内の体調不良で急に取りやめになった。そうしたところ、土曜の休みが急遽午前中だけ仕事になって半日潰れ、日曜は旅行の代わりでもないが家内と赤城山に紅葉を見に出かけた。赤城の紅葉は色付かずに枯れて葉を落としてしまっている木々も目立ち、今年の紅葉はどうも、いつまでも暑かったのが急に寒いくらいになったりしたせいか?あまり良くないようだ。全体には2週間くらい遅れている。

 月曜は、あまり遠くではなく、なお且つあまりきつくない山にのんびり紅葉見物でもと考えた。県内か県境辺り…いくつか候補もあったが、以前ネットで見て気になっていた三国峠から稲包山往復というのが浮かんだ。三国峠から西に県境伝いの稜線は、道が無い藪山であったハズだが、ある大学のワンゲルがコースを拓いた事に加え、この辺りを横切る送電鉄塔を巡る巡視路も加わり、新潟県側の湯沢町が三国スキー場からハイキングコースとして整備したということだ。

 上越国境(群馬・新潟県境というよりこの方が通りが良いだろう)は、概ね2000m前後の山々が県境を作っているが、この三国峠からセバトノ頭手前辺りまでは最も標高が低く、1300~1500m前後の山並みが続いている。その中で、地理院地形図で名前がある稲包山だけが四万温泉から法師温泉を繋ぐ赤沢林道経由で登山の対象となっていた。稲包山は25年前に、その赤沢林道経由で一度登ったことがあったが、人も少なく寂峰と呼ぶのが相応しい静かな山だった。ただ、低いながらも遠目に美しいピラミッド型の鋭鋒であるので、見ると登りたくなる様な山ではある。この時は、ついでに藪山の赤沢山も登ったな、と思い出した。当時既に送電鉄塔も立ち始めて、赤沢峠から稲包山に繫がる稜線伝いに送電線巡視路が延び始めていた。四万温泉から長い林道をうねうねと赤沢峠に登った事、季節も丁度今頃で紅葉が大変美しかった事を覚えている。当時はまだ四万川ダムは無く、登り口も静かなものだった。

 日曜の夜9時過ぎに家を出る。三国峠までは車で2時間弱、11時前に三国トンネルを抜けて新潟側入り口の三国峠登山口に着く。トンネルを出ると右側に駐車帯があり、そこに車を停めてシュラフに潜った。

 朝、アラームをセットした6時前に目が覚めた。車の窓から見上げるトンネル入り口の上の山は紅葉できれいに色付いているが、その上は霧が低く垂れ込めていた。まだすっかり明るい程でもないし、垂れ込めた霧のベールを見たら、起きる気がしなくてまたシュラフを被った。6時半過ぎに起きた。霧はやや薄くなり、上空は晴れてきそうな雰囲気。支度を始め、パンを食べる。6時55分に説明看板等がある三国峠登山口から登り始める。支度をしている時に駐車場に車が一台やってきたが、その車の主のハイカーさんが一人、ぼくの後から間もなくついてきた。

 三国峠への道は昔の街道の名残か、幅も広く緩い道が上っている。直ぐにあった三国権現の御神水という湧き水を汲んでいたら、後続の若いハイカーさんが会釈をして通り過ぎていった。水を満たしてのんびり峠道を登っていく。峠のほんの手前で、ペースが落ちていたさっきのハイカーをまた抜いて、7時35分に三国峠に着く。ここは随分前に家族で三国山に登ったとき以来だ。社殿と鳥居がある。峠は霧が巻いていた。後続のハイカーさんが間もなく到着し、疲れた様な顔で座りこんでいた。

 ここから三国山と反対の、真新しい「三国スキー場・稲包山→」の標識に従って西に稜線を辿る。ところが、ここから直ぐ上の長倉山までの道はしっかりしたトレースはあるものの笹薮に埋もれ、カッパのズボンを履いたのに笹の朝露でびっしょりになる。今日はお気軽ハイキングシューズを履いていたから、たちまちびしょびしょになって、なんと靴の中は浸水してぐちょぐちょになってしまった。こんな訳で、その後はぐちょぐちょの靴で不快な思いをする羽目になってしまった。(三国峠から長倉山の下まで、刈り払いがしていなかった…)ゴアの靴にしとけば良かったと思ったが、後の祭り。

 8時11分に着いた長倉山の山頂は樹林に囲まれ、何ということも無い所。直ぐに急な下りが始まり、高い送電鉄塔が目の前に立ちはだかる。県境を越えている送電線と大きな鉄塔はやはり無粋な眺めだ。ここに来て急速に霧が晴れてきて、行く手の景色が見えるようになった。この先、一つコブを越えた先にゆったりと大きい山がキワノ平ノ頭で、その遥か向こうに遠く3つのコブを並べて稲包山・小稲包・西稲包山が見えた。稜線は紅葉し、特にカエデの朱色が美しい。それが笹の緑と対比して、昨日の赤城山の紅葉を遙かにしのぐ景色が広がっていた。しかし、その稲包山の手前にも送電鉄塔が並んで、こればかりは無粋な余計モノという感じだった。鉄塔の足元まで降りると、そこに巡視路の分岐があった(これは三国峠道と下で合流する道)。

 長倉山分岐から先の道はしっかり笹も刈られ、歩き良い道になった。どうも、この長倉山の部分だけ刈らずにそのままの様だ。この部分、巡視路にバイパスしてしまう人が多いのだろうか?(標識には「巡視路進入禁止」と書いてあるが…)霧がすっかり晴れて青空が広がり、さわやかな晴れの天気に変わる。しかし、西の県境稜線の高い山々(上の倉山や忠次郎山など)の上には黒い雲が蓋のように被っていた。稲包山まで結構な距離に見えるが、高低差が余り無いのでそれ程でもないだろうか?

 稜線は紅葉が盛りで、カエデやツツジは朱や紅に染まってきれいだが、株立ちした背の低いブナやミズナラの葉は色付かずに枯れ色になっている。そのブナの立ち枯れに大きなツキヨタケが沢山生えていた。残念ながら、場腐れしているムキタケがあったくらいで、ブナハリタケやナメコなど、ブナ類に生えるキノコは見当たらなかった。まあ、ツキヨタケが生えている時期には、まだこれらの食菌は早いだろう。

 キワノ平ノ頭手前の1,447m峰の急な登りもわずかで、新潟側に少し下りて背の低いブナの林を抜け、ツツジと笹の見晴らしの良い登りをしばらくでキワノ平ノ頭に9時23分に着く。新潟側は湯沢の町や苗場スキー場と筍山が見える。その手前に低いながら、岩で鎧ったなかなか見事な山容の山が見下ろせるが、これは向山という実に即物的なつまらない名前がついている。どこかの「向かいの山」とでもいう意味なのか?こちら側からみると岩が見事だが、町側から見るとこの岩場は裏側になってしまい平凡な低山に見えるのだろう。

 キワノ平ノ頭は頂上部が長く、標識がある東のピークは笹に囲まれ、背後(新潟側)は低木が邪魔をして余り眺めも良くないから、そのまま進む。越し方を眺めると、三国山から大源太山、平標山に仙ノ倉、万太郎、俎倉、谷川岳と高い山並みが遠く連なっていた。笹の緑の稜線に、帯のように黄や朱の彩りが加わり、秋日の山々は鮮やかな大屏風。法師温泉方面に下るムタコ沢を取り巻く斜面は特に色鮮やかで、今年の余りきれいでない紅葉としては上々の景色だ。キワノ平ノ頭の西端のピークは眺めが良く、そこで少し休んで、本日初めて買ったヤマザキの『男爵いもコロッケドーナツ』という、コロッケパンの新バージョンを食べる。袋にブルドックソース使用と書いてあり、ブルドックソースのシンボルである、あのブルドックのマークが大きく描かれている。カレーパン風のコロッケパンという感じで、なかなか旨かった。また、これ買おう。

 また下りになって、小さなコブをいくつか越えて送電鉄塔の下を通過する(コベックラ沢分岐の標柱あり)。ここには幾つもの巡視路が分かれている。いよいよ稲包山が大きく見えてくる。稲包本峰と小稲包、西稲包山が3つ並んで見えている。急な登りで汗ばむと、稲包山の肩に11時5分に着く。新道分岐と書かれた標柱があり、稲包山と三国峠、三坂峠・三国スキー場の方面標識になっていた。取りあえず、小稲包と西稲包山へ向かう。小さく下って、上り返し、標柱だけある小稲包に上り上げ、また下って少し回り込むように平坦な笹の鞍部を行く。刈り払いが良くしてあり、歩き易い。突然、笹薮の中でごそごそ獣が逃げていく音がした(大きな音で、熊かなあ…)。ザックに付けてあるベルの音を少し大きく鳴らしてみたり…ここはさっさと通り過ぎた。

 西稲包山へは岩場の露出した急な登りになり、トラロープが付けられていた。上りきって、笹と低木で余り眺めの良くない西稲包山に11時29分に到着。ここまで来ると、この先の県境稜線の先に上の倉山等の道の無い高峰群がだいぶ近く見えるようになる。苗場山方面は相変わらず低い雲が頂をかすめて良く見えない。四万温泉の東に連なる木根宿沢対岸の「栂の頭・コシキノ頭」の稜線は手が届く程の近さで、黒々とシルエットになっていた。ここもいつか登りたいな。その向こうにはこれもいつか登りたいと思っている、この方面の藪山の雄「木戸山」が孤高の姿を見せている。

 西稲包から引き返し、小稲包を越えて、再び11時56分に新道分岐に戻る。稲包本峰の最後の登りを少しで、25年ぶりの稲包山山頂に12時丁度に着いた。やや雲が多くなり、山頂は陰鬱な雰囲気になるが、そういえば25年前の時も丁度こんな感じのお天気だったなと思い出す。山頂の小さな祠はあの時のままだが、傍に割れてしまった石碑と「登山者記載箱」と彫られた石板が置いてあるのは新しい。根元まで露出している御影石の山標柱と三等三角点もあの時のままだ。あの時は確か、地面に落ちていたM大の青プレートを持って記念写真を撮った覚えがある。あの青プレートがあったくらいだから、当時の稲包山はヒトケも無い山だったのだろうと思う。稲包山もこうしてみると、多方面から登山道ができて、すっかりポピュラーなハイキングコースになったようだ。昔日の感あり…。

 12時43分までゆっくり休んで、来た道を引き返す。空全体に雲が広がって、陽も差さなくなってしまった。少し寒いような感じになった。秋色に染まった稜線をのんびり、距離の割には高低差も無いので、余り疲れる山ではない。2時にキワノ平ノ頭まで戻ってくると、山登りというよりも逍遥という雰囲気の今日の山は、しみじみと山にいる良さを感じさせるなあと、自己満足。歩き疲れないこんな山も良いな。というより、ぼく的には本当はこんな風に山を歩くのがベストと思うのだった。オオバカメノキの赤い実が美しい。

 長倉山分岐から巡視路に逃げて、三国峠道に合流し、3時半に登山口(三国トンネル脇)に降りた。峠を行きかう車も少なく、山は静かだった。

 帰りは猿ヶ京温泉の共同浴場に寄るつもりだったが、もうここは営業していないのか?ひっそりと静まり返って戸が締まっていたので、仕方なく旧月夜野町の真沢の森(さなざわのもり)という宿泊施設の温泉に立ち寄り汗を流した。入った時には誰もいなかった浴場も、出る時には宿泊客や日帰り入浴の人が沢山入ってきて賑やかになってしまった。とはいえ、独り岩の露天風呂で景色を眺めながら気持ちよく入浴できました。小さいながら、きれいでなかなか良い温泉です。ぬるっとしたのめっこい湯は、風呂から出ると、膚がすべすべになった。入浴後は、夕暮れの道を帰路に着いた。

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4 コメント

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昔登った稲包山の名板は (ノラ)
2010-10-21 21:56:03
あさぎまだらさん こんばんは。あさぎまだらさんは四万温泉から登ったんですね。私は猿ゲ京か法師温泉から登った記憶があります。青いM大のプレートがあったんですか。私が登った時の写真見つけたらアップしておきます。三国峠からのハイキング道はけっこう長そうです。でも記録読んだらいつの日か行ってもいいなって思いました。
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祠はそのまま (あさぎまだら)
2010-10-21 22:55:40
ノラさん今晩は。
猿ヶ京か法師温泉ですか。赤沢林道は『関東ふれあいの道』になっていますね。昔からあそこはハイキングコースとして知られていたようです?何故ですかね。紅葉には定評があり、しかし余り眺めが得られるポイントも無いようですが…。
三国峠から稲包山まで、結構遠いのです。それをピストンするのはかなり大変かな?と思っていました。多くの方は、三国スキー場から三国峠、あるいはその逆コースで往復はしていないようです。でも、歩いてみると高低差があまりなく、意外に楽な往復でした。ずっと景色が良く見えるので、気分的に気持ちがいいコースです。送電鉄塔だけは、ちょっと無粋ですけどね。
稲包山の山頂にある小さな祠はあの時のまま。
周囲にいくつかその後に作られたものがありますが、展望のよい狭い山頂は昔と同じです。
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Unknown (しぼれ)
2010-10-24 10:04:28
あさぎまだらさん こんにちは
稲包山は手持ちの古い上州山歩にはありませんが、以前から注目していました。
9~10月のハチ避けの山としてストックに加えました。登山口1300m超は魅力的です。
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稲包山の登山道 (あさぎまだら)
2010-10-24 20:21:34
しぼれさんこんばんは。
稲包山は群馬100名山にも入っているので、今は大変ハイカーが多い山になっています。コースも①三国峠から②三国スキー場跡から(新潟)③四万温泉(四万川ダム)から④赤沢スキー場(法師温泉)から⑤ムタコ沢林道(送電線巡視路)からと四方八方から登れます。四万と法師は赤沢林道の起点なのでここから赤沢峠に登って稜線を北に辿るのが昔からの道です。
三国峠からが一番眺めの良いコースですね。往復しても距離の割には高低差が少ないので意外に楽です。
三国峠トンネル口は1,076mです。
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