Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

意外な降車客

2023-04-05 23:21:21 | 地域から学ぶ

 この電車に乗るようになった初期、もう15年ほど前のことになるだろうか、最寄りの駅で乗る人はわたしを含めて一人、ふたり。乗った車内でも誰も乗っていない、ということは当たり前にあった。最も乗客の少ない時代、だったのかどうかについては判然としないが、その後毎日乗っていた経験を経て、今は飲み会の際にしか利用しないわたしの印象では、当時に比較したら乗客が多い、という印象がある。もちろん乗った際のイメージであって、1時間ほど乗る車内での出入りする乗客の姿からは、昔に比較したら絶対数は減少したと思う。何より郡境域の閑散とした車内の光景はそれほど変わらないものの、朝乗る際の光景だけは変化した、と感じる。長距離通勤の人が多くなったのか、それとも越郡通学の高校生が増えたのか、答えは定かではない。

 郡境域で電車に乗ると、しだいに乗客が増えていき、わたしの目的地である。「伊那市」で最も多くの乗客が降車する。伊那が中心的位置づけである証でもあるが、同じ市でも駒ケ根駅での降車客は少ない。当たり前のことではあるが、高校の最寄りの駅なら降車客が多い。わたしの乗る駅の最寄りには、松川高校があるから、降車客の比較的多い駅である。もちろんどこかの時間帯には乗車客も多い。同様にわたしの乗る電車では沢渡駅も降車客は多い。そこには伊那女子高の存在がある。伊那市駅の降車客が多いのは伊那弥生ケ丘のせいであり、隣の伊那北駅は上伊那農業高校と、伊那北高校の最寄り駅だ。いずれ伊那弥生ケ丘高校と伊那北高校が統合されれば、伊那市駅の降車客は激減するのだろう。

 伊那まで乗る電車でかつてと全く異なる光景を、乗って間もなく見かける。伊那田島駅のこと。この駅は郡境域であるとともに、駅のすぐ近くに1軒家はあるものの、環境はまったくの畑地帯である。秘境駅という言葉があるが、もちろんそれに該当するような駅ではないが、利用客が多いという印象の環境ではない。中川村にある唯一の駅ではあるが、村中心からは外れていて、中川村民で最も利用度の高い駅は、ここではないだろう。最寄りとは言い難い駅である。実はこの駅でわたしの乗る電車から10人以上の客が降車する。なぜ畑地帯で周囲にはそれらしい建物がないのにこんなに降りるのか、理由は段丘上にある工場へ勤める人たちが利用しているのだろう。とはいえ降車した客が会話を交わすこともなく、彼女たちが(男性もいるがほとんどは女性)同じ会社の同僚かどうかは、その様子からはうかがえない。前述したように飯田線のこの時間帯の利用客は、ほとんどが高校生。したがって高校生が昇降する駅は賑やかなのはあたりまえだが、一般客がこれほど降車する駅は、わたしの乗車している間では、伊那市駅に次ぐ人数である。車通勤が当たり前の地域であるが、飯田線を残そう、あるいは利用しやすくしたい、と考えるのなら、通勤客の利用数を増やす環境を整えるべき、とはこうした光景から察する。


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