Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「ゴーストタウンへの歩み」その2

2007-08-01 08:27:35 | 農村環境
 伊南バイパスが「年内にも全線供用」という新聞の見出しが見えた。全線といっても駒ヶ根市大田切から同福岡までのルートであって、飯島町本郷までの本当の意味での全線ではない。しばらく前にこの沿線にベイシアが出店するというニュースがあって、市としても反対の意向が流れたが、先日市内の知人の店でそんな話が話題になった。「市議会も市長も反対ということらしいですね」と口にすると、「えー、本当?」と不信の言葉が発せられた。ベイシアがどこへ出店する予定であったか知らないが、記事によれば福岡といっているから、現在工事が行われている区間だ。確かにそこは水田地帯のど真ん中だが、すでにそれを見越してか、住宅が増え始めている。びっくりするのは、かつては水田地帯でのどかな雰囲気があったのに、今や豪邸がいくつか見える。想定だが、どれも移転費用をもらってできあがった家のように見える。昔と違って、もともとお金を持っている人は持っているから、移転して家を建てるとなると、そんなお金もつぎ込んで見事な豪邸になる。こんな豪邸が都会にあったら、芸能人じゃないか?などと思われてしまうような家だ。昔ならたとえお金があっても、世間の目もあってびっくりするような豪邸は作れなかった。ところが田舎も人のことにいろいろ言うような時代ではなくなったから、おかまいなしにそんな家を構想する。遠慮というものがない。

 さて福岡への出店はともかくとして、上穂沢川の北側の現在開通している部分も、かつては水田地帯だった。そこへ道路ができて、家電量販店やスーパーが出店している。かつて小町屋駅の東側といえば何もなかったところなのに、移転した家がそこへやってきたのかそれこそ見事な家が立ち並んでいる。知人に言わせれば、高級住宅街だという。そこて知ったのだが、現在は飯田線の西側にある駅が、近いうちに東側に移転するらしい。確かに西側に接して平行している道路は狭く、行き違いもままならない。そんなこともあってか駅が東へ移る。駒ヶ根市もいよいよ飯田線の東側の時代になる。そんな駅から南側のまだ空間が広々とした土地は、すでに市内の大会社が手中にしていて、小売店が土地を買ってそこへ出るなんていうことはできないという。そんな状況があるからなのだろう。知人は「反対なんて言っていたって、口だけで内心は違うのじゃない」という。確かに有力者の力にすがらなくてはならないところは今までも、そして厳しい時代だからこそこれからもあるのたろう。結局資本の強い人たちの言いなりになっていく。こんな小さな町でもそうなんだから、都会、そして日本という大きな枠だったらなおさらのことだ。

 ここの町もまたよそと同様、シャッター街がある。中心である駅前からの広小路を歩いても、移転した店がシャッターを閉めている。今まではインターへのアクセス道路を中心に商店が広がった。まだ南からの連絡はバイパスが全通しないため良くない。そんなこともあってこの道沿いに店ができたとしてもよそからの客はしれているような気がする。わたしには「まだ早い」という印象があるが、大型店は遅れてはいけないと、出店計画を進める。「そんなに需要があるの」と知人に聞くと、「需要なんて関係ないでしょ。なければすぐに撤退すればいいんだから」という。ここが地域の企業とよそから入ってくる企業の違いだ。しがらみがなければ、とっとと逃げていけばよい。会社の近くに全国展開している店が臨時店舗のようにプレハブを置いている。「いつ消えるだろう」と同僚とも話をするが、機関が長いか短いかの違いだけで、出店してくる企業もそんな企業とたいして変わらないということだ。長い目を見れば、いかに地域商店街を活性化していくことが大事かは自ずと見える。駒ヶ根という駅前に人が集らないのも当たり前で、そうした現状をどう考えているのだろう、なんかて人事のように言うと、知人は「何も考えてないのよ」といつも同じように言う。駅前には市の所有する土地や建物もあるという。なぜ市役所の本庁舎を、それがだめなら分庁舎をマチの中に置かないのか、とつくづく思う。人口が急増する時代ではない。むしろ減少していく時代だというのに、町を広げ続ける。枠は決まっているのだから、人口が増えたからとしたって、周りが減っているだけのことだ。そう考えれば、枠をむやみに広げる必要などまったくない。駅前がゴーストタウンになった次は、どこかの道路沿いの集客エリアがゴーストタウン化していく。そんな姿が予想されてならない。どこまでも変化していく空間を望んでいるわたしたちに、マチもまた、新たなる空間を創設した方が経済的だ、などという計算がどこかにないだろうかと危惧するのだ。

 〝ゴーストタウンへの歩み 〟

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