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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

球磨川の氾濫から見えるもの

2020-07-05 20:45:16 | つぶやき

 

 

 球磨川流域で氾濫が起きた。今日午後4時現在、熊本県内で死者18人と報道されている。人吉市9人、芦北町8人、というような内訳である。昨年の長野県内の台風災害を思い浮かべるわけであるが、何がわかるか考えてみよう。昨年の台風19号による降雨量については、「令和元年台風19号災害」で触れた。もちろん九州と長野ではそもそもの降雨量に差があるだろう。同じ雨量が長野県内で振ったら、想像を絶する被害を受けるだろう。だが、簡単に豪雨と言っても、その都度状況は異なる。今回の球磨川流域の降雨量を球磨川流域のアメダスからまとめてみた。グラフは単純に7月3日から4日にかけて降った降雨量をまとめたもの。表はそのデータの詳細である。ほぼ1日の雨量として総計は500ミリ近い球磨郡湯前町を筆頭に、球磨川流域の観測所ではすべて400ミリ以上を観測している。いっぽう昨年の千曲川流域の降雨量は北相木村で今回の湯前町よりほぼ100ミリ少ない雨量を記録しているが、あとは300ミリちょっと。もっといえば周辺の雨量に差がある。ようはたくさん降ったところもあれば、150ミリ前後の地域も千曲川流域にはあった。もちろん千曲川と球磨川では流域範囲が異なるが、相応の整備がされているから、単純に流域面積だけで比較してはならない。

 注目するべきは、球磨川流域おしなべて400ミリ以上雨が降ったということ。これは、球磨川が地図上で右上から左下に流れくだり、その後人吉市あたりから北上するように曲がって下る。今回の豪雨の背景に「線状降水帯」があったと言われている。ようは前線が左くだり傾斜で停滞して雨を降らした。その形状に沿って球磨川は流れている。したがって流域全体がこの「線状降水帯」にはまってしまったというわけだ。前線による豪雨の場合、おおかた左下がりの形式だ。したがって北東から南西に流れる、あるいはその逆のケースの河川流域は、同じような豪雨を受ける可能性があるということ。そもそも河川の流域に一気に同じような雨量がバケツをひっくり返すように降ったら、どこも大変なことになる。ところが自然とは流域に合わせて発生するものではない。昨年の千曲川流域の豪雨の場合、台風によるものだったから、前線とは異なる。蛇行している川で、雨雲の流れに沿って流域があれば、同じように氾濫は発生する。例えばこの「線状降水帯」が千曲川に沿って停滞したら、昨年の災害の比ではないということだ。幸いに千曲川の流れは、同時にバケツをひっくり返したような雨を降らせるような形状ではない。ようは、球磨川と同じような形状の河川は、「線状降水帯」の位置によっては大きな氾濫を受ける可能性があるといえるのだろう。長野県内にはそうした形状の大河はほぼない。とはいえ、台風の場合は「線状降水帯」とは雨雲の流れが異なる。そのあたりを学んでおけば、ある程度氾濫の予想はつくのではないだろうか。

 なお、観測所の位置は下記の通り。

「山江」  球磨郡山江村大字万江字屋形
「五木」  球磨郡五木村甲字下手
「一勝地」 球磨郡球磨村大字一勝地丙字永崎
「人吉」  人吉市城本町 人吉特別地域気象観測所
「上」   球磨郡あさぎり町上北
「多良木」 球磨郡多良木町大字黒肥地字祓川
「湯前横谷」球磨郡湯前町猪鹿倉山


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