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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

「ほったる・やまぶし」-『伊那路』を読み返して52

2022-10-22 23:44:20 | 地域から学ぶ

「名塩国道・伊那一牧ケ原トンネル」-『伊那路』を読み返して51より

 向山雅重氏は昭和39年『伊那路』9月号へ「ほったる・やまぶし」を投稿している。冒頭次のような歌を載せている。

  ホッタロ来ーい 乳呉れる、
  ヤマブシ来ーい 宿貸せる。
  よーるは提灯  高のぼり、
  ひーるはお笹の 露ねぶり。
  ホッタロ来ーい 乳呉れる、
  ヤマブシ来ーい 宿貸せる。

 これは向山氏の地元である宮田村でのものという。ホタルを呼ぶ際に唄うのだという。また、箕輪町南小河内の歌も紹介しており、

  ホッタロ来ーい 乳呉れる、
  ヤマドリ来ーい 宿貸せる。

 ここでいうヤマブシやヤマドリは「山伏」や「山鳥」ではなくホタルの異名だと捉える。そして古い雑誌から次のような方言一覧を引用している。「ホッタロは平家蛍、ヤマブキ・ヤマブシは源氏蛍。ヤマドリはおそらくヤマブシから転じたものであろう」という。

 

 県内の分布からヤマブキは東信から北信、ヤマブシは木曽から上伊那といった南信でのホタルの異名のようだ。そして最後に「伊那地方でカマボーと言っているのはどこだろう」と問うている。ここからちょっと思ったのは、「山伏」や「山吹」地名はもしかしたらホタルから来ているのかも?、ということ。

 

「伊那商事索道」-『伊那路』を読み返して53


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