Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

自分たちの施設を自ら造るということ

2008-01-02 10:50:05 | 農村環境
 信濃毎日新聞12/28朝刊に、「一世帯四万円疑問の声」という見出しが見えた。佐久市大沢地区において、消防の詰所改築に当たって、一世帯4万円の寄付金を集めると、区長会が決めたことへの反論が高まっているというのである。寄付とはいえ、地方農村の場合は、こうした自治組織が基本額を決定すれば、その金額が強制的に支払わなくてはならないもの、という意識が生まれる。これが都会や新規参入者の多い地域では、あくまでも寄付金と言う意識で終わるのかもしれないが、これが地方のやり方と多くの人が認識しているところに、地方の自治組織の課題ガ残っているといえるだろう。

 ところでこの詰所のことについて確認してみる。地区にある約500世帯に詰所の改築の趣意書が配られた。約130m2の建物を建築するのに、見積によれば約2200万円。佐久市の補助金が320万円で、残りの約1600万円を寄付で賄うということになった。寄付のもらえない世帯を100戸程度考慮して、補助残を400で割って一世帯4万円を算出したという。趣旨はよく解るのだが、この場合説明がしっかりされたかどうかが不満の原点にあるようだ。前述したように、払えない人100世帯程度を考慮しているという部分も、新聞では詳細に触れられていないのでわからないが、その100世帯とは、払えない人なのか、払えても拒否する人なのかは定かでない。書きぶりによれば、だいたい400で割ったくらいなら徴収可能と踏んだのだろう。記事にも「概算」という字が見える。大雑把な勘定で「このくらい」という意識があったかどうかはわからないが、雰囲気はそんなところである。また、「寄付とはいえ必要な資金として「相当の覚悟がないと集まらない」」と建設委員会会長がいう。少し強引さもうかがえるが、それがまだ通る地域なのだろう。それでも「説明不足」といって新聞の記事にも載るくらいだから、かなりの不満があったのだろう。同じような記事を、しばらく前にやはり佐久地方の事例として目にした覚えがある。変化著しい地域にあって、ますます住民への説明が必要だという印象をあたえる。「高齢者宅などでは無理にお願いせず、四万円より少ない世帯があっても仕方ない」というくらいだから、ちょっと曖昧な感じ。

 記事の扱いは、地域によっては行政が100%出している、そんなケースとの違いなんかも触れようとしたのだろうが、住民の自治なんだから違いがあってあたりまえで、どこでも同じというわけにはいかない。わが屋の地域でも集会施設の建て替えが議論されている。補助事業を取り入れてなるべく負担をなくしたい、という考えでいきなり事業化に向けた取り組みを紹介したら不満が続出した。住民は経過ではなく、結果の方に目が向く。だから「とりあえず」という言葉は、聞く側にとってはちょっと不愉快に聞こえるかもしれない。任している側にも応用力が必要なのだが、そのあたりが、「賛成か、反対か」というアンケートの内容をよく認識しておかないと、そんな具合に不満がくすぶる。もろ手を挙げて賛成と、ぎりぎり賛成多数とでは、結果はひとつでもそれからの推進の仕方は大きく変わる。そのあたりをどう説明していくか、神経を使うものの、致し方ない役目なのだ。ただいずれにしてもこうした金のかかる事業を回避するような人たちが多くなることは事実で、地域の関係とは大変な時代を迎えること必至である。

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