Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

正月飾り

2008-01-01 22:19:53 | 民俗学
 気が重いから松飾りをするのもどうか、などと思っていたが「それでも」と飾りをした。よその玄関先を見ると格好よく飾られているのに、我が家の飾りはいまいちである。形が同じもので姿かたちのよいものを写真に撮っておくとよい、などと思っていたのが、昨年も実行しなかった。そんななか、ホームセンターなどをまわると正月飾りがたくさん並んでいる。そう思ってよその玄関先をのぞくと、けっこうそうした飾りが目につく。わが家の今年の飾りの松はいつになく小さい。妻の実家の山の松なのだが、木が大きくなるととともに、なかなか松が取れなくなる。これはどこでもそいう傾向があって、山に手が入らなくなれば仕方のないことなのだが、よその松を眺めてみると立派な松がたくさん見受けられる。松も輸入品?などと見てしまう。



 写真の松飾りは、飯田市内の町中で飾られているものである。町中だから統一されたように同じ飾りがされ、道端の街灯にも縛り付けられている。もちろん町中の民家にもこんな具合に玄関先を飾る。松に3本の注連縄が垂らされ、幣束がやはり3本つく。わが家の松よりも揃っていて立派である。町の中だから果たしてその入用先は、というところである。そんなことを思い市内のホームセンターを訪れると、2番目の写真の棚にある「飯田用玄関飾り」なるものを見つける。これは前述の松飾りに掛けられている注連縄のセットに良く似ている。これを購入して利用しているとは判断できないが、飯田市内ではこの形の松飾りが一般的なようである。この飯田用玄関飾りは、袋で密封されずに簡単にビニールが掛けられているが、その上段に並んでいる玄関飾りはしっかりと袋詰めされている。それらの袋を確かめると「made in china」の文字が見える。すべてではないが、その文字の見える商品も多い。一応、「飯田用」と記されているものはこの地域で作られたものだろう、と予想するが果たしてどうか…。





 次に郡部にあるやはり大型のホームセンターを訪れると、同様に「made in china」商品が棚に並ぶ。やはりすべてではなく、わざわざ「地元産」と箱に記すほど、おそらく訪ねる人もいるのだろう。しかし、地元産とは記しているが真偽はいかに、といったところである。その右側に「丹精込めた手作りの逸品です」と記された飾りがある。地元産にしてもそうであるが、このごろ流行の「偽装」という文字が頭に浮かぶが、こうした食品ではないものは、偽装されたとしても消費者にはさし当たって被害感覚は起きない。



 さて、4枚目。これは地元の小規模のホームセンターの棚である。箱に例えば「鯛は目出たいに通じます。輪〆が家庭円満の象徴であり、鶴と亀を合わせて夫婦仲の良さを表します。」と説明書きがある。何種類もある飾りごと、それぞれそんな具合に説明がされているものの、やはり他のホームセンター同様に「made in china」も見える。今や日本の年中行事の道具まで中国に担ってもらっているという情けない状態が見える。そして、4枚目のホームセンターにあった「おやす」の段ボール箱は、売れてしまって商品はなかった。この地域の特徴ある飾りで、子どもたちが「おやす作り」などといってPTA活動などで作る行事が広がっている。作り方も比較的簡単なものなのだが、それでも「おやす」が売れるのは、藁そのものがなくなって、材料が簡単に手に入らないということもある。

 ちまたの飾りをながめてみると、飾りそのものがない家も多い。もちろん喪中の家にないのは解るが、そんなにたくさん喪中の家があるはずもない。さして気にもかけていなかったが、どこでも当たり前にあった正月飾りも、年々衰退していることは確実である。


参考 上田情報ライブラリー

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2 コメント

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made in china だったとは (ボッケニャンドリ)
2008-01-02 09:54:14
外国に行って made in japan のお土産を買ってくることよりもずっと驚きです。まさかこういう物が中国製だったとは夢にもです。
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中国はともかくとして (trx_45)
2008-01-02 23:34:07
 NHKアーカイブスで銀座での門松を放映していましたが、こんなに揃った松をどこから鳶の人たちは手に入れてくるのか知りませんが、伝統的とか精神的といわれている日本の〝こころ〟の部分も、もしかしたらずいぶんと海外から材料が入っているのではないか、などと思ったりします。食べ物と違って原材料表示をしなくてもよいものには、そんなことは当たり前のように起きているかも・・・。
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