湯西川日記

fbやツイッターで一年サボりましたが、やっぱりブログです。2016年から復活します。ツイッターの長い版みたいな感じです。

銀行決算について

2008-11-15 00:29:32 | 学習

日経平均が8千円くらいの水準になると地方銀行のかなりのところが自己資本比率が8%を割る。8%を割ると資本注入の議論の対象になる。資本注入くらいならまだよいが、株価が下がって銀行がこぞって貸し出しを絞り始めると、借り入れの多い不動産や建設業が資金ショートして突然死したりして、その巻き添えを食ったりする。

銀行によっては不動産や建設業に多く融資をしているところもあって、そういう銀行は、大口融資先が倒産して、その引当が十分でなかったり、引当以上に貸し倒れが生じたりするからいっぺんに赤字になったりする。なぜリスクが高いといわれる不動産や建設業の融資に傾斜しているのかというと、好き好んで融資しているわけではなく、他に融資する対象がないからということもある。

景気が悪くなって設備投資を控えたり、借入れをして新規事業展開しようという企業が少なくなるのだから、銀行としては資金の運用先に困ってしまい、やむを得ず借入れの多いレバレッジ業態に対する融資が多くなる。銀行の数が多すぎるから、正常な形で融資するパイが限られているので歪んだ形態になっているといいかえてもよい。またそのパイを奪い合う形になり、その獲得の費用がコストになってさらに融資の利ざやを薄くしたりする。

ここにきてあらためていう必要もないが、銀行の決算が、銀行自体の自助努力とまったく関係なく、景気や株価といった外部圧力によって赤字になったり黒字になったりするということである。会計の方法が変わって強制評価減などが本格的に導入されると存続できないところも出てくるはずである。銀行で働く人の側からいうと一生懸命がんばっても会社と関係のない事情で赤字になったり、国有化されたりしてボーナスや給料がなくなったり減らされたりする。たまったものではないだろう。

要するに、わが国の経済が成熟期から衰退期に向かう過程で、さらに時価会計が浸透して銀行業という業種がとんでもなく不安定でリスキーな業種に変わってしまったということである。にもかかわらず、社会一般のイメージとして銀行イコール堅実だったりするが、それは少なくとも、はるか昔の80年代前半までのもので、実態と大きなギャップがある。堅実どころか、来年再来年のおのれの運命もわからなかったりする。銀行に就職を考える学生などはよくよくこの辺のところを考えておく必要があると思われる。銀行の経営の側も、昔と違い、明日知れぬわが身であることをわきまえて、業績連動の収益還元など従業員の処遇をあらためて見直す必要があると思われる。