冒頭のコツ

　僕の小説の場合、第１章（もしくはプロローグ）が、原稿用紙２０枚以上になると言う事は、まずありません。
　初心者の場合、この事を履き違えやすいのですが、例えば僕の場合、冒頭はラブシーン（塗れ場では無い）や、アクション、言い合いなど、直接的に感情に訴えかけ易いものを選んでいます。
　そこに、例えば世界観の説明などが入る事は、あまり無いです。と言うより、意識的に入れないようにしています。

「創作概論」やこのブログでも言っているとおり、冒頭のインパクトは非常に大切です。冒頭をこけると、その小説はもう、誰も読んではくれません。
　と言う事は、出来る限り冒頭は簡潔に、かつあまり説明をしないで、やっていかないといけないのです。

　しかし、こう言ったところで、初心者が一度は考える事の中に、
「冒頭にセックスシーンを持ってくれば、男性読者は惹きつけられるはず！」
　と、思い込んでしまう事です。

　これは初心者が結構陥りやすいところです。「冒頭のセックスシーン」程ではなくても、冒頭に「世界観を無視した位置からアプローチする」と言う事は、絶対にやってはいけないことです。

　僕自身ライトノベル作法研究所さんで言った事なんですが、冒頭のセックスシーンは、よほどの必然性が無い限り絶対に駄目です。
『よほどの必然性』とは、要するに『その小説が官能小説である場合』です。つまり、一般的な小説で、冒頭にセックスシーンを持ってくるのは、禁忌であると言い換えてもいいでしょう。

　冒頭では何が求められるのかと言うと、「その小説のカラーを含んだ、それでいて鮮烈な場面」です。
　小説を読む人は、最初に「その小説は、そう言うジャンルの小説なんだ」という前提で、最初の一ページをめくるのです。それを無視しては、最初の一行で読まれなくなります。

　冒頭には、作品世界にあったシーンを。
　これを理解しないと、あなたの小説は、いつまでも読まれないと思います。

　――HELLO GOODBYE / PRISCILLAを聴きながら