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女性がボーイズラブを好きな理由

2005-09-09 20:47:54 | 小説、創作文芸関連
 実はこれ、ライトノベル作法研究所さんで長い事(第四研究室で)話題になっている話なんですが、ちょっとこの事を個人的に纏めてみたいと思います。

 で、その前に「ボーイズラブ」(以下BL)の定義について語っておきます。
 まあ、言わずもがななんですが、ボーイズラブ=男性同士の恋愛小説(漫画)という事になるんでしょうか。どちらかと言えばポルノよりなところがあり、大概のやつには(男同士の)絡みがあったりします。
 一年くらい前に僕も「コバルト・ロマン大賞」に応募する為に雑誌「Cobalt」を買い、それに載っていた幾つかのBL小説を読んでみたのですが……感想については敵を作りたくないのでそれは言うまい。

 閑話休題。

 で、ボーイズラブが女性に好まれる理由を、女性側から上げたのが、上記のリンクである「ライトノベル作法研究所」の第四研究室にある「女性がボーイズラブを好きな理由とは?」なんですが。

 ○リアリティ度外視
 ○恋愛の障壁が異端である
 ○女性が読む事の出来るポルノ

 上記の記事で上げられているのは、言葉に多少の差異はありますが、大体この3本の柱に絞って間違いないものと思われます。
 しかし、僕からするとこれらの論旨は、少々根拠が希薄という感じがします。というのも、

 ○どんな恋愛小説であれ、多少のリアリティ度外視はある。
 ○恋愛の障壁が異端であるなら、ほかにもやりようはある。
 ○女性向けのポルノは、書店に行けばいくらでも男×女である。

 という感じがするからです。
 というわけで、必ずしもBLでなくてもいいのに、何故BLに拘るのか、という疑問はまだまだ氷解はしていません。
「こちらが論破できないBLのBLたる所以」が導き出されなければ、話にならないので、もう少し掘り下げてみましょう。
 実は「女性が読む事の出来るポルノ」という言葉の中には、もう少し突っ込んだ解説があります。

 ○女性と男性のセックスの場合、必ず男性が攻めに回るが、BLでは必ず(どっちにしろ)男が受けになる。

 という論旨がありまして、これなら頷いてもいいかな、と思いますが――ちょっと待った!
 実はこれも、本当はちょっとおかしいのです。
 その理由を語る前に「ショタコン」という言葉を知っているでしょうか?
 要するにロリコンの少年版です。つまりは少年趣味恋愛――という事になるんでしょうか。これは本来は男性×男性の趣味の一つであったのですが、今では女性と男性の間でも、そう言った言葉が使われるようになりました。
 つまりは「女性が受けに」ならないポルノならば、考えようによってはいくらでも導き出せるのです。SMでSが女性であってもいいわけですしね。
 こうなると本当に「女性がBLを好む(好まなければならない)理由」というのは、どんどんなくなっていきます。

 ここでちょっと、話を変えてみましょう。
「BLが好きな女性」が「本当のゲイ」を好むのか? という点です。
 本当のゲイが絡み合っているポルノビデオを見せられて、BLの好きな女性は興奮できるのか、という疑問点が出てきます。
 これは実際のところ、出来ないでしょう。というのも前に挙げている「リアリティの度外視」という項目に引っかかってしまうからです。
 血管を浮かび上がらせて屹立する逞しい男根に口髭の絡んだ厚い唇が近づいていく――なんて描写は、少なくともBLの世界にはありません。もしBLの世界で、こんな描写をしていたら、(BLとしての)人気は絶対に取れないでしょう。
 という事は――
 大体ここで結論は出たかと思いますが、改めて結論を言いましょう。長くなりすぎるのも嫌なんで。
 ボーイズラブとは、完全なリアリティ無視の中の恋愛――つまり「ファンタジー恋愛」だからこそ支持を得ているという風に言えるのではないかと思います。
「恋愛ファンタジー」ではなく「ファンタジー恋愛」です。恋愛要素の絡んだファンタジーではなく、ファンタジックな恋愛を読みたい、という人に、ボーイズラブは受けているのだと、僕は結論付けたのですが――いかがでしょうか?

 ―KING OF YOUR EXTASY / DAVE SIMONを聴きながら―

8 コメント

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なんというか……。 (匿名希望。)
2005-09-16 15:15:51
初めまして。

「女性がBLを好きな理由」、読ませていただきましたが、正直、あまりにも的外れでがっくりしました。

一応、結論を出してはありますが、それがまったく他人を納得させるものになっていません。

「ファンタジー恋愛」などという、いかにもな名称を、何も考えずに取って付けただけ、という感じです。

その前につらつら並べられた文章を見ても、表に現れている現象だけを見て、中身をまったく見ようとしていないことがよく分かります。

そもそも、ロクに読んだこともないものに対して、あれこれ言葉を並べ立てて考察したところで、一体どれだけ有意義な意見が出てくるというのでしょうか?

それが一番の疑問でもあります。



あまりにも拙い内容だったので、思わず書き込んでしまいました。

失礼いたしました。それでは。
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今回の話は (Triple-I@Webmaster)
2005-09-16 18:41:26
>匿名希望さん。



 とりあえず棄てHNでもいいので、何か名前を書いてくれないと、こちらとしても対応に困ってしまうのですが……。



 それはさておき。



 匿名希望さんの話は個人的に、こちらが納得する論旨というものが無いように思います。ただ「拙い内容」とか「中身を全く見ていないことがよく解る」だのと言っていますが、そこまで言うのであれば、こちらが納得するような「BLが好きな理由」を提示してください。



 少なくともBLは、「非リアリズム」の形態としてはありだ、という風に個人的には思っています。「ファンタジー恋愛」というのも「非リアリズム」の言い方を替えただけのものに過ぎません。

 全体の論旨を読めば解ると思いますが「BLは非リアリズムの極形だからファンが居るし、そう言った人たちに好まれている」というのが、この項目での結論になっています。それに対して「考察するな」では、話になりません。



 こちらが納得する「BLが好きな理由」を、きちんと提示してからではないと、議論をする余地すらありません。こちらとしても、そう言った投稿は迷惑です。
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初めまして。 (n-mutuki)
2005-09-20 22:11:15
記事を読ませて頂きました。



私はアマチュアの書き手ですが、「ファンタジー恋愛」とは言い得て妙だな~と、感心しています。

実際、自分の回りには一般人(BLを受け付けない人)が多いので、理解してもらえないと最初から諦めていますが、いちど「どうして男同士?」と言われたことがありまして。

自分としては、結局の所「現実逃避出来る場所」であるという結論でした。

男女の恋愛だと、最終的には結婚とか出産とか、現実的な結末しか待っていない。そんなものはもうたくさん、なんですね。

昔ほど男女の格差はなくなったとはいえ、適齢期や出産などと言った、女性としての気になる言葉に右往左往されなければならないのは、変わっていません。むしろ、自由になったからこそ余計に気になるのかも知れません。

そういうしがらみから逃げ出したい、という気持ちは大きいです。だから、走るのかも知れません。

結婚して出産して年老いて死ぬといった、一般的な人生を送るのが幸せだとは思っていますが、そればかりが人生ではないと思うし、そうじゃなくても幸せな人もいると考えて欲しい、見て欲しい、みたいな。



少なくとも私は、書く時は受けの目線で書いています。要するに、自分が男になって恋愛しているといった感じです。なら男女を書けばと言われそうですが、そうするととたんに現実になってしまうんですね。

女性が出てこないからこそ、夢見ることが出来るような気がするんです。



仰るように、生身の男同士のそういう行為を見たいとも思いません。絵や文章だからこそ、受け入れられるのです。少年が好きな訳でもありません。

ありもしない世界を書きたい。やはりファンタジーですね。



まとまりのない文章ですみません。もっと勉強しないと。。。(^^;
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すみません。 (n-mutuki)
2005-09-20 22:22:00
ライトノベル作法研究所さんでも、同じような投稿が沢山あったようで(今見ました)

先に読んでから来れば良かったです。。。

鬱陶しいこと書いちゃってごめんなさい。削除できますでしょうか。
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Unknown (mio)
2005-09-21 17:13:27
投稿されてから日が経っていますので、このコメントをご覧になられるかどうか

分かりませんが興味深い話でしたので参加させて頂きます。

triple-iさんはボーイズラブを『完全なリアリティ無視の中の恋愛(ファンタジー恋愛)』と

位置付けられています。ゆえに女性に受けるのだと。

確かにそれも一理あるかと思いますが、完全なリアリティ無視の中の恋愛というものには

かの『ハーレクイン』もあります。(あれは一読してぶっとびました)

ですので、「だから女性はBLを好む」というのは少々違うような気がします。



BLを好きになれるか、受け入れられないかというのは女でも分かれるものですし

かなり微妙な感覚の違いによると思います。「なぜ女はBL好きなのか」という問いに

対しての答えとしては榎本ナリコさんの『大人はわかってくれない』という評論集の中の

意見が一番私は、ははぁ、と納得できるものがありました。

著者自身もBLものを書いている方なので何故自分がBLを好きなのか、というのを

突き詰められたのだと思います。ですのでその感覚をかなり良く分かっていらっしゃいます。



もしも気になるようでしたら読んでみる事をお勧めします。

ただ、男性が読むとしたら相当えげつない内容かもしれませんが……。
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深く考えさせられます……。 (Triple-I@Webmaster)
2005-09-21 19:18:46
 ども。はじめまして、n-mutukiさん。mioさん。



 お二人のレスを読ませていただきましたが、考えさせられる内容が多く、さらに深いところまで考察できる内容で、正直、びっくりしました。



 当方男なので、ちょっと解りづらいところもあるのですが、確かに男性と女性の性差の問題は避けようが無いですから、その点において、一服の清涼剤のような感じになっているところはあると思いますね。



 ハーレクインについては、その存在自体は知っていたのですが、読んだ事は無かったです。

 ただ、本の雰囲気とかそう言ったところから、あれはどっちかと言えば「大人に受けるような」感じなので、その辺りで少しくらいならば説明できそうな感じもあるんですが……。うーん、この点の微妙なところについては、まだまだ深い論考が必要ですね。



『大人はわかってくれない』については、今度探して読んでみます。



 コメントどうも、ありがとうございました。
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すみません…。 (mio)
2005-09-21 20:04:08
 夕飯を作るために一回切ってしまったので。。。

 上で「気になったら読んでみてください」と何の気なしに書いてしまいましたが、

それだけのためにその本を買って下さいね、というのも何ですし覚えている範囲でまとめてみます。

 手元に本がないため、ちょっと違うかもしれないですが。長文の上、連投すみません。



 女がなぜBLを好むかといえば、端的に言えば『男を愛したい』からです。

 それは二次作品などで考えるとかなり顕著に出てくると思います。大抵『受』というのは

作者の愛情を一身に受けています。オリジナルの場合は、作者が好きで好きでたまらない

人物(大抵俳優とかアイドルとか)を元にしたキャラクターであるとか、思い入れの化身で

あったりします。



 つまり書き手が女性である以上、恋愛感情は通常の恋愛と同じように男性に向かいます。

 ですが、どうしてその愛情の矛先がBLとしての形になるかというと、前述の通り愛したいからです。

 これは愛されたい、というのとは大きく違います。

(愛する、愛される、というのは心のありようじゃなくて体の事です。あえてぼかして

書きますがそういう事です。えげつなくてすんません。女でも受にならない、というのは

女にとってありえないのです。精神的に主導権があるとか女性が上だとかそういう話じゃなく、

自分が女で相手が男である以上、体の構造からありえない話なのです。)



 女である以上、恋愛感情は男に行く。けれどその男に愛されるのではなく、愛したい。

 そこで出てくるのが、自分の代わりに男を愛してくれる存在、攻の登場です。

 彼もまた大抵作者あるいは読み手の愛情を注がれています。大抵は受の次に愛されています。

 攻は、自分の愛する男を自分の代わりに愛してくれる存在でもあり、また受側から見た場合ですが

情熱的で受以外目に入らない、という盲目的な愛を捧げる存在です。



 攻から見れば男を愛するという願望が叶えられ、受から見れば男から情熱的に愛される、という

二つの欲求を同時に叶える事ができます。おまけにこれはn-mutukiさんも指摘されていますが

BLは大抵の場合、女が排除された世界なので自分自身は全く傷つかず欲求が満たせるというのが

大きな特徴です。

 つまりBLを女性が好きなのは『妊娠や出産といった女性の痛みを体験することなく

(おまけに性の格差に悩む事なく)魅力的な男を愛して、同時に愛されたいという

欲求を叶えてくれるから』だというのが結論です。女にとってとても都合が良い世界なのです。



 ちなみに、評論集の中ではこれは確かBLとやおいの区別化のために書かれていたと思うのですが、

私の中でBLとやおいの区別があまりないので、女がどうして男同士の恋愛物語(肉体関係あり)を

好むのかといった事の明確な答えとして捉えています。

 なんというか女の子(あえて女とは言いません)の愛情と欲望がきりきり舞いして

乱反射しちゃったのがBLおよびやおいの世界だと言えると思います(笑



 ちなみに白状するとハーレクインは一度しか読んだことないのでまた微妙ですが、あれは肉体関係ありの前時代的な少女漫画だと思えば良いと思います。
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ありがとうございます。 (Triple-I@Webmaster)
2005-09-22 18:35:44
> mioさん。



『男を愛したい』ですか。

 これには「なるほど~」と両手を打ちました。

「身体の構造すら越えた非リアリズム的なもの」と言ったらちょっとおかしいかも知れないですが、確かに(現実的には)女性受けでないもの、というのは、余程切れた事をやらない限りありえませんからね。



 しかしこう考えると、単純に創作の話としてだけではなく、これからの男女平等化社会における男性と女性のあり方(個々の精神論も、恋愛や結婚などの話も)などにも踏み込めそうな、相当に深い話になっていきそうです。



 極めて興味深い投稿、ありがとうございました。参考になる部分も多く、他の閲覧者の方々にも読んでもらいたい話だと思います。
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