Antonio de Pereda(1611-78)は、マドリッドの宮廷で活躍した画家だそうですが、全然知りませんし、関心もありませんw。じゃあ、なぜこの絵を採り上げたかと言えばフェルメールの「画家のアトリエ」(8/15)で述べたアレゴリーについて理解するのにちょうどいいかなって思ったんです。今にして思えばこの絵を先に紹介してから、フェルメールについて書いた方がよかったと思います。
まず、天使が地球儀を抱えてハプスブルク王朝の中心のウィーン辺りを指しています。その地球儀の上には神聖ローマ帝国皇帝カール5世のカメオがあって、世界を支配していることを嘉しているわけです。カール5世はドイツ、オーストリア、スペインを始め、ヨーロッパに広い領土を持ち、スペインではカルロス1世と呼ばれました。その偉大な皇帝の栄光を更に高めているのが、地球儀の前の初代ローマ帝国皇帝アウグストゥスのメダルです。本家本元を持ってきて権威づけているわけです。この赤いヴェルヴェットの台には王家の富と権力と栄光を象徴するものが載せられています。
他方、左手の粗末な木のテーブルには、軍事(鎧兜や鉄砲)、学問(ほどけかけた書物)、何より命(髑髏)のはかなさを砂が落ちた砂時計や火の消えたろうそくで表わしています。髑髏は人生や肉体美のはかなさを表わす最もポピュラーな表象で、回心したマグダラのマリアが抱いていたりします。ちょっと気持ち悪いですけどねw。
この絵については、これで言うべきことはだいたい終わりです。天使は青い肩掛けをしているけれど、聖母マリアとの関係はどうかとか、金きらな機械時計なら砂時計のように終わったりしないのかとか、右はじに見えるいくつかの小さな肖像は皇妃や高位聖職者を表わしているのかとか、タロットカードふうのものがどういう意味なのかとか、いくつか突っ込みたくなるような点はありますが。……
しかし、わかってしまうと無邪気なものだなと思われたんじゃないでしょうか。右の台のカール5世の栄光も今は昔、ハプスブルク王朝は衰退・滅亡し、オーストリアと言えば小国のイメージしかないでしょう。この絵の英語のタイトルは“Allegory of Vanity”ですが、皮肉な気がしますね。そうした自家中毒のようなことが往々にして起こるのがアレゴリーのおもしろいところです。
先日は、著作権と云う重たい記事にコメントを頂き、ありがとうございました。
あれから、かなりの方がそれぞれの考えを述べて下さり、議論沸騰と云ったところです。
私は、件の記事をエントリー後に、何事もチャレンジとばかり「著作権許諾願い」と云うものをあるところへ出してしまいました。
今、思うと何て馬鹿なことをしたと半分後悔していますが、この結果が出ましたら、また、新記事としてエントリーする積もりでいます。
コメントにマッチした記事が見つかりませんでしたので、ここに書き込みました。
すみません!