「サンクトゥス」は、通常文、すなわちすべてのミサに共通して歌われるものです。最初の2行は「イザヤ書」の第6章によるもので、6つの翼をもつ2人の天使セラフィムが神をほめたたえるこの言葉を呼び交わしながら飛んでいるという記述があります。3行目の“Hosanna”は私の持っている辞書には「万才!」なんて訳してありますが、これも賛美する感嘆語なのでしょう。4行目からは「ベネディクトゥス」として独立した音楽がつけられることも多いのですが、その詩句は「詩篇」第118章第26節の「主の御名によって来る人に、祝福があるように。私たちは主の家から、あなたがたを祝福した」の前半から取られています。もちろんこの「主の御名によって来る人」がキリスト教の文脈ではイエスのことを予め示したものと理解されているわけです。
さて、ミサの儀式では、ここで神への捧げ物であるパンとワインが聖霊によりキリストの肉体と血に変化する「聖変化」と「聖体奉挙」が司祭により執り行われます。福音書に記された最後の晩餐に端を発する、典礼上非常な重要な部分であるわけです。