コミュニケルーム通信 あののFU

講演・執筆活動中のカウンセラー&仏教者・米沢豊穂が送る四季報のIN版です。

別れの時、それは旅立ちの時。

2009-10-11 | Weblog
観察も 猶予の期間(とき)も無事終えて
     今日の君は輝いて見ゆ  
                     (筆者近詠) 

懲役3年、保護観察付き執行猶予3年。
罪名は覚せい剤濫用である。
彼女は自分の仕事を「デリバリーヘルス」と臆面もなく言った。

彼女(A子)に出会って、ちょうど丸3年目を迎えた。
執行猶予期間も保護観察も無事終了した。

2年が過ぎた頃、
「A子ちゃん真面目やし、もう良好解除を申請するよ」と言うと、
「イヤです。先生には満期まで観て下さい。お願いです」と応える。

ついにその満期の日が来た。
「A子ちゃん、おめでとう。よく頑張ったね。」
「・・・」
「A子ちゃん、幸せになるんだよ」
「・・・」
突然、肩を震わせて泣くA子。
そしてか細い声で、
「センセ、センセこそ、からだ労わって・・・」
後はもう言葉にならなかった。

しばしの沈黙がつづいた。

突然、涙でくしゃくしゃだったA子の顔がにっこりと綻んだ。
その目は、キラキラと本当に輝いているようだった。
このようなA子の顔は初めて見た。
彼女の旅立ちの決意にも見えた。



玄関前で私を見送るA子。
「それじゃ」と別れて車を発進する。
曲がり角手前でミラーを見ると、まだA子は立っていた。
もうこれで彼女に会うことはないであろう。

保護司拝命20余年、本人の希望で満期までというのは、初めての
経験であった。
清々しくも、一抹の寂しさを感じる不思議な「とき」であった。
秋が私を感傷的にさせるのであろうか・・・。
今日は十五夜、満月が美しい。

別れのとき、それは旅立ちの時でもある。

          (★本稿は10月4日に記したものである。) 



   
本文とは無関係なのですが、画像がないのが少し寂しく思い
upしてみました。
この1週間、少しお疲れモードだったので、夏以来の北潟湖へ。
ちょっとリフレッシュしてきました。
湖畔にはムラサキシキブが可愛い実を付けていました。
白い実のものもあるのですねぇ!?