Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

二年ぶりの堂ヶ森

2019-09-22 | 風景

 

2017年の秋以来、二年ぶりの堂ヶ森入山。

この長い空白期間は、仕事を再開した時期と重なる。

やっと、此処に戻って来れたというのが実感。

その間、皿ヶ嶺には自転車+登山を継続していた。

といっても、それも一年前。

身体は使わないと衰えてくる⋯特に私たちの年齢では、それは顕著に。

身体は正直だ。

また出発が遅れて、10時半過ぎの自宅スタート。

最も気温の上がる(33℃)時間帯の黒森峠越えとなった。

息が上がる筋肉が痙攣する⋯熱中症一歩手前。

長い上り坂を登り切り、標高985mの黒森峠から一気に下り梅ヶ市登山口へ。

16時過ぎ登山口、スタート。

日没前の夕暮れの色に染まる薄原を撮影したい。

思いとは裏腹に自転車山越えで酷使した筋肉は、何度も休息を要求する。

なんとか日没前の18時過ぎに樹林帯を抜けて稜線の笹原に到着した。

でも稜線はガスに覆われ真っ白。

ガスがオレンジ色に染まり、目の前が明るくなる。

視界は晴れないまま日没。

急速に闇が降りてきて足元を照らすヘッドランプの明かりを頼りに堂ヶ森避難小屋までの道を辿った。

三連休の初日、小屋泊りの人は私を入れて5人。

外にはテントとツェルトが二張り。

19時半の遅い到着を詫びながら、スペースを開けてもらった。

梨木香歩の新刊を山小屋で読むのを楽しみにしていたが、この混雑では望むべくもない。

山小屋の夜、宿泊客の皆さんの話を聞くのも一興。

自転車競技ツール・ド・大山で左右両鎖骨を折り、ドクターヘリで運ばれたの女性の話。

彼女はトレランもトライアスロンにも参加するという猛者。

ここ堂ヶ森山域は訪れる人が少なく静かなので、なかなか面白い人と出会える機会が多い。

堂ヶ森~赤星縦走をOnedayで走り切ったトレランの若者とか。

夜中に何度も足が攣り筋肉が痙攣して、その度、湿布を貼って就寝中の皆さんに迷惑をかけた。申し訳ない。

二年間のブランクは、こういう形で顕現する。

本当に身体は正直だ。

 

翌朝、沈む満月の月明かりに輝く薄原を狙って、夜明け前に山小屋を出た。

しかし山は深い霧に沈み、視界が晴れない。

時折、高い雲の頂から月明かりが覗く。

堂ヶ森乗越から薄原まで降り、ガスが晴れるのを待つ。

間もなく日の出の時刻を迎え、諦めて堂ヶ森山頂へ引き返す。

ここで束の間、ガスが晴れて雲海に浮かぶ月が望まれる。

しかしカメラをセットする間に、再び雲が覆い視界が閉ざされる。

やっと一の森(鞍瀬)から朝日が昇る時間に覆っていたガスが晴れた。

この日、北東の風に乗って巨大な雲の塊が稜線を雪崩落ちる滝雲が見られた。

二の森まで足を延ばした女性たちの話では、石鎚と二の森間の面河側の谷にも滝雲が流れ込んでいた様子。

残念。帰路の黒森峠自転車登り返し体力温存を考えて、一の森稜線での滝雲撮影と、

堂ヶ森山域の空にシャボン玉を飛ばしナナの魂を解き放つ鎮魂の儀式を行った。

やっと叔父さんの楽園にナナを連れてゆく約束が果たせて安堵した。

ナウシカやラピュタのように、この雲の上の大空を自由に飛び交うナナの歓声が聴こえるような絶好のロケーションだった(合掌)。

 

 


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2 コメント

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念願! (鬼城)
2019-09-23 07:40:46
二年ぶりの堂ヶ森登山もさることながら、ナナさんへの慰霊の登山、シャボン玉に乗せて、念願が叶いましたね。
ランスケさんの優しい想いが伝わってきます。
夕陽、そして朝の霧の流れ、臨場感あふれる久しぶりのランスケ劇場、堪能しました。
お忙しいとは思いますが、間を見つけ山を楽しんでください。
私も最後となるかもしれない紅葉の石鎚登山を計画中です。
一カ月に一度は山へ (ランスケ)
2019-09-23 22:31:20
帰宅してから三日ほど筋肉痛が退きませんでした。
なんとか一カ月に一度をくらいは山へ入り体力維持に努めたいです。
そうしないと、これから増々無理が効かない身体になってきますからね。
鬼城さんも日課の散歩を続けてください。
歩くことは健康の基本ですから。
石鎚登山という目標ができると尚更ですね(笑)

これから何度、石鎚山系に入れるか分からないので安易に今年の紅葉情報をお伝えする約束は、できませんが、
可能な限り、この秋は山へ入りたいです。

梨木香歩の新刊、Amazonで二冊購入しました。
一冊は古事記の海幸彦山幸彦を題材にした物語。
もう一冊は「やがて満ちてくる光の」というタイトルのエッセイ集です。
少しづつ読んでいるので近日中に紹介します。

姪の死も、やっと受け入れることが出来たように思えます。
でもナナの存在を忘れないためにもシャボン玉写真は継続してゆきたいです。

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