Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

錦を競う秋

2017-10-11 | 風景

 

石鎚山系に通うようになって19 回目の秋を数える。

秋の紅葉は、その年の気象条件によって当たり外れの落差が結構激しい。

今年は山の樹々を色づかせるための気象条件が揃った、久しぶりの紅葉の当たり年と云っていいだろう。

目にも鮮やかな錦模様が山肌をタペストリーのように織り成していた。

御覧のように石鎚山系の紅葉は、堂ヶ森から一の森の笹原、二の森、西の冠岳北西斜面の白骨林、

主峰、石鎚山の岩峰とそれぞれに多彩な表情を見せてくれる。

主峰、石鎚山の秋の風景は19年間、ずっと撮り続けて来たので、ブログ内左枠の、カテゴリー「風景」を御覧ください。

今回は堂ヶ森から一の森、二の森、西の冠岳にかけての秋の風景を主体に撮影しました。

 

当初は紅葉シーズン連休の混雑を避けて入山予定だった。

だが連休明けの天候が思わしくない。

再び秋雨前線が列島に停滞して、しばらく雨が降り続けるようだ。

諦めて連休後半の晴天に期待した。

山に入った三日間、夏を思わせるような暑い日が続いた。

黒森峠の山越えの道では10月だと云うのに蝉の声を聴いた。

法師蝉とミンミンゼミだった。

ヒートアイランド都市、東京では12月に鳴く蝉がいると聞く。

真冬でも、ぶ~んと蚊が飛ぶ昨今だ。

秋に鳴く蝉がいたって不思議じゃないだろう?

歳時記に記された生き物たちの営みが年々、怪しくなってゆく…

人は環境の変化に慣れるのが早いからね。

その内、それを異常と感じる前に、当たり前と受け入れる方が多数派になると思うよ。

哀しいけれど、人はそうやって生き延びて来たのだと思う。

それが適者生存なのでしょうね?

私などは、それが受け入れ難くて最初に淘汰される存在だろう(笑)

 

10月の山上で目立つのは竜胆(リンドウ)くらいで咲く花が少なくなって来る。

見晴のいい草原状の堂ヶ森周辺では秋の渡りの途中のノビタキの姿をよく目にする。

夏の信州の高原で群れ咲く花や枝先に止まる黒と白の目立つ小鳥だ。

黒と白の♂は秋羽根に変わり、地味な♀と変わらない褐色の体色に。

ヒタキ科の鳥は、冬のジョウビタキのように真ん丸目玉の愛らしい鳥が多いようだ。

ジョウビタキ同様、300mmレンズがあれば充分に撮影可能な野鳥。

(私は自転車山越えと登山のため、極力、荷物を軽くしたいので重い望遠レンズはパス)

連休中の堂ヶ森避難小屋は、予想通り沢山の人で賑わっていた。

小屋前の更地にテント4張り。

小屋内は幸い二人の宿泊者だけで混雑せずに済んだ。

久しぶりに広島と香川から来られたお二人と色んなお話が聞けた。

山小屋の宿泊者は、共通の話題を共有できるのでコミュニケーションを取りやすいという利点がある。

たまに取りつく島もない人と一緒になった時は悲劇ですが…

広島の人とは翌朝、夜明け前に出発して、何度か前後しながら(私の撮影のため)

石鎚山まで御一緒した。

前夜、慣れない山小屋の夜によく眠れなくて辛そうだった。

私と香川の人は、早くから爆睡したので申し訳ない(笑)

堂ヶ森から石鎚山までの登山道は、愛大山岳会の皆さんによる笹刈りで綺麗に整備されていた。

いつも本当に感謝です。

心ばかりのお礼に小屋の毛布を天日干しして、小屋内とトイレを清掃しておきました。

この日は恒例の秋の登山道整備で面河道だったようです。

尾根道から草刈り機による笹刈の音が響いていました。

偶然、面河道分岐あたりで会ったMさんのお話では、連休中、滑落事故が重なったとか。

一件はヘリコプターの出動するような怪我だった様子。

山小屋宿泊者も小さな子供を連れた家族がいたとか。

そう云えば天狗尾根の岩尾根にも小さな子供連れの家族が多かった。

まだ幼い子供たちが健気に手足を一生懸命動かして岩伝いに足がかりを探す姿は微笑ましい。

ひょっとして、これもTVでの露出度の増した天才クライマー、白石阿島の影響だろうか?

ああいう重力の軛を解き放ったような自由で軽やかな身体能力を持ったヒロインの登場は、

子供たち(特に少女たち)の心を鷲掴みにするのではないだろうか?

この日も岩尾根に挑戦する幼い少女たちの姿が目についた(笑)

オリンピックの正式種目にもなったことだしね。

同様に、入山の日、ショートパンツにTシャツ、スニーカーという軽装の手足の長い白石阿島のようなカッコいい女の子と出会った。

梅ヶ市から石鎚山をピストンでトレランした帰路だとか。

同伴の男子と共に爽やかな印象の二人だった。

よくあの細い身体でアップダウンの続くハードな山道を走り抜いたものだ。

二人に「凄いね。お疲れ様」と賛辞を送った。

肝心の紅葉は、石鎚山頂周辺はピークを過ぎ、ドウダンツツジの真紅の彩が深まっていた。

ミネカエデやナナカマドは散っていたが、充分に見応えのある山の彩だった。

天狗尾根から見下ろす二の鎖周辺や東稜の錦繍が見事だった。

南斜面の墓場尾根は、思ったほど紅葉が進んでいない。

ピークは、後少し先になりそうな印象。

一番印象に残ったのは、狙い通り一の森から二の森、西の冠岳にかけての北西斜面の

白骨林と笹尾根に帯状に走る緋色の錦模様だった。

あのオレンジ色の彩はミネカエデの色だったのだと確認が取れた。

可能ならば夕陽に染まる斜面と湧き上がる雲の風景をと、頭に描きながら。

また来年、出直して来よう。

  


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
タペストリー (misa)
2017-10-11 17:44:49
冒頭の画像に感嘆の声が出ました
光と紅葉だけでは写真にならない、流石です
のんびり七過ぎからの登山では話になりませんね

数日の違いで紅葉は一気に進みピークを迎えた様子
昨日今日と日中はうだるような暑さですが
さて今年の冬は如何なものか・・・
晩秋の一枚は何処で?
画像先行で掲載中 (ランスケ)
2017-10-11 20:47:17
今日も夏が戻ってきたような暑さです。
山に入っていた三日間も、汗ばむような気温の高い日でした。
紅葉は、ここに来て足踏みでしょうか?

石鎚山系の紅葉は1900mから1800m辺りの彩が見頃でした。
行かないつもりの石鎚山頂周辺(結局足を延ばすことに)は、ミネカエデは散って、
ドウダンツツジの真紅が鮮やかでした。
墓場尾根は予想外に色が良くないですね。
南斜面だから、もう少し先になるかもしれません。

石鎚山頂周辺の紅葉は、今まで散々撮って来たので、
堂ヶ森から西の冠岳、北西斜面の白骨林に広がる錦模様を中心に撮影しました。
こちら方面に足を延ばす写真ヤさんは、ほとんどいないので色んな意味で手応えを感じる山歩きでした。

冒頭の画像は一の森(クラセの頭)の紅葉の斜面で偶然
見つけた真紅のミネカエデとドウダンが重なる叢林でした。
その向こうに雲湧く堂ヶ森の姿が。
日没前の幸運な出会いでした。

そんなこんなで、あちらこちら藪の中に入って、誰も撮っていない風景を探し求めていました。
石鎚紅葉写真と云うと、みんな同じ定番写真じゃつまらないでしょう(笑)

ここのところ画像だけ先に掲載して、文章は時間を置いて書くというパターンになりつつあります。
山に入り連泊すると、撮影する画像も、目の前の風景から受け取る情報も圧倒的なので、
それを整理して言葉に置き換える作業が大変です。
今少しお待ちください。
お疲れ様でした! (masa)
2017-10-11 23:06:13
ランスケさんのパワーにはやはりかないません!!
そしてあの古木はあの場所で 撮影時間は違えど
少し違った角度から撮影するとこんな絵になるという
のも参考になりました。それとあの高さからの墓場
尾根 全景が見渡せますねーーーで 後ろの岩に
登れるというのも気づきました。ありがとうございます!!
追記です (masa)
2017-10-11 23:08:52
天狗の尾根を歩いてる時 ひらひら舞う蝶がさらに
上空から降りてきました。アサギマダラです!!
その姿に見とれて撮影できなかったですが もしかしたら長い旅を終えて 舞い降りてきた個体なのかも
しれないですね
消えたデータ (ランスケ)
2017-10-12 01:22:48
Masaさん、久しぶりの紅葉の当たり年、頂上山荘の予約が取れて良かったですね。

ピークは過ぎていたけれど、ドウダンの真紅が深まった分、まだまだ充分に見応えのある天狗尾根の錦模様でした。
当初は混雑する石鎚まで足を延ばすつもりはなかったのですが、
ついつい西の冠岳まで来たので、そのまま勢いで弥山から墓場尾根まで。

アサギマダラは黒森峠越えの最中、何度もあの空色の翅を透かして優雅に舞っていました。
秋の渡りのシーズンですからね。
これからしばらくは平地でも普通に見られると思います。
フジバカマの咲く場所を探すと遭遇率が高まりますよ。

さっきまで書いていたブログの文章データがエンターキー一発で消去しました。
もう気力を失くしたので寝ます。
あーぁ徒労感が。
凄い紅葉 (鬼城)
2017-10-12 08:37:52
今週の日曜日、雨模様のようで、残念ながら遠くよりの仲間と連絡したようです。中止決定・・・来週辺り。面河谷から愛大小屋辺りまで登ろうかと思っています。お天気と相談ですが・・・当たり年というのもランスケさんの写真で分かります。私は白骨林が好きで、一筋の道からの石鎚、最高です。墓場尾根、天狗・・・雨は2年連続ですから、自然に嫌われているのかも・・・(>_<。)
秋の面河道 (ランスケ)
2017-10-12 09:53:45
残念ですね。
天気図を見ても、しばらく秋雨前線が日本列島に停滞するので天候の回復は難しいかもしれません。
中止決定は賢明な判断だと思います。

この連休は愛大山岳会の恒例の面河道整備でした。
面河道分岐あたりで、ばったり前会長の宮内さんとお会いました。
愛大小屋もテント数張りに小屋も満杯の盛況だったようです。
それとこの連休、面河道における滑落事故が続いたと聞きました。
一件はヘルコプターが出動するくらいの怪我だったとか。
ちょうど小屋に山岳会の皆さんがいたことが不幸中の幸い。
救助要請に、すぐ出向かわれたようです。

鬼城さんは、久しぶりに懐かしい面河道を歩かれますか。
来週末だと、面河道の紅葉が丁度見頃ではないかと思います。
登山道も山岳会の皆さんが整備したばかりなので快適に登られるはず。
渓谷からの紅葉を愛でながらの山歩きは、懐かしい想い出の時間へ帰ってゆけることでしょうね。
後は鬼城さんが雨男でないことを祈っています(笑)

もし同行者がいなくて御不安なら声をかけてください。
喜んで御案内します。
投票前に読んでほしい (ランスケ)
2017-10-14 15:02:52
新聞各社による衆院選前半の情勢分析が出ました。
当初の自民党過半数割れの予想が、安倍政権不信任の受け皿とされた小池百合子と希望の党の失速で、
また元の木阿弥の自公圧勝に。

なぜ安倍首相が、この時期に国会を解散して選挙にうって出たのか?よーく考えてほしい。
投票前に読んでほしいのが以下のインタヴュー記事です。
加計問題で、その冷静で堂々とした国会答弁が印象的だった前文科省トップの前川喜平氏の情勢分析です。
本当にこの人はバランス感覚の優れた官僚だったのだと納得する見事な安倍政治の総括です。

http://blogos.com/article/252253/

面白いのは、このBLOGOS人気記事3位にランクインしている小林よしのりの発言です。

http://blogos.com/article/252110/

右派論壇の代表だった小林よしのりが立憲民主党の応援演説を志願するとは(笑)
もう保守と革新が確実に立場が入れ替わってしまった現状です。
戦後の平和と安定を保ってきた憲法を否定する革新勢力が自民、公明、維新、希望、こころの5政党で。
憲法を守るのが立憲、共産、社民ですからね。
わざわざ枝野幸男が政党名に立憲と名付けた意味は明白です。
民主主義の基本概念である主権者、国民を守る憲法が否定され続けて来ているのですから。

しかし不思議ですよね。
アメリカの押しつけだと憲法を否定しながら、そのアメリカの戦争の下請けとして自衛隊を差し出すための憲法改正なのですから。
海外メディアからトランプのおべっか使いと安倍首相が揶揄されている現実を忘れないで。
いつまでもアメリカの従属国であることに目を背け続け、そこから利権を得ている人たちが、
この国を牛耳っているのでしょうね?
右派の小林よしのりが安倍政治を否定するのも、そこです。
こんにちは (鈴木)
2017-10-15 01:22:54
訪問有難うございます
紅葉の写真が綺麗です
そして天狗尾根から見下ろす二の鎖周辺も最高ですね
初めまして (ランスケ)
2017-10-15 10:30:58
こんにちは、鈴木さん。
御訪問ありがとうございます。

紅葉シーズンになると普段よりアクセス数が増える傾向があります。
石鎚山は西日本では最も早く紅葉しますからね。
鈴木さんのような未知の人が訪れてくれる偶然に感謝します。

千葉にお住まいなのですね。
東京に住んでいた頃、よく山越えで千倉の海へ遊びに行った事を懐かしく想い出します。
ビーチコーミングという手工芸があることを初めて知りました。
確かに浜辺を歩いていると目を惹く漂着物(海の忘れ物)と出会いますよね。
私も、よく拾ってしまいます(笑)

また気が向いたら覗いてみてください。
秋雨前線が停滞して、しばらく秋の長雨が続きそうです。
お身体に気をつけて。

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